画像: X-ADV「天国にいちばん近いスーパースポーツ」

スクーターのようでスクーターではなく
スポーツバイクのようでそれだけではない。
X-ADVは街乗りからロングツーリングまでをこなす
トランスワールドな新しい乗り物だった。

画像: オフロード版インテグラであり、コミューター版アフリカツインと言えるX-ADV。750ccという排気量で、スポーツバイクとスクーター、さらにクルーザーとオフロードモデルのキャラクターを併せ持つ。

オフロード版インテグラであり、コミューター版アフリカツインと言えるX-ADV。750ccという排気量で、スポーツバイクとスクーター、さらにクルーザーとオフロードモデルのキャラクターを併せ持つ。

何にも似ていない新しい乗り物、X-ADV

 X-ADV。これどんなバイク? って聞かれたら、何と答えよう。
「オートマチックミッションのスポーツバイクだよ」
IIIオートマならスクーター?
「違うね。エンジンはギアつきのNC750なんかと同じ、そのDCTっていう自動変速仕様なの」
IIIじゃ普通のスポーツバイクだ。
「でもオフロードにも入って行ける脚があるんだ。オフ全開じゃないけど、NCじゃちょっと入って行きたくないような砂利道だって行ける」
IIIナニに似てるの?
「なんにも似てない。新しいね」
 そう、X-ADVは新しい。歴史上、オンとオフを兼ねるデュアルパーパス、なんてモデルはたくさんあったけれど、それにスクーターのイージーさが加わって、オンロードスポーツの刺激がある。
 もちろん、このコンセプト自体は先代のインテグラから引き継いでいるが、スクーターとスポーツバイクのどっちつかずだったインテグラと比べて、X-ADVはスクーターとスポーツバイクのいいところ取りをして、さらにオフロード(というか悪路の走破性)のエッセンスを加えている。ここが新しいのだ。
「企画立案はイタリアです。地中海沿いの幹線道路なんかを走ると、切り立った崖、お気に入りの海岸線なんてのがあって、そんな入りくんだところにきれいなコテージとかホテルがあるんです。週末やバカンスに、そんなところに連れ出せるようなオートバイにしたかった」とは、ホンダ技術研究所・二輪R&Dセンターの飯田さん。飯田さん、このモデルの企画スタートから完成までイタリアに赴任されていたそうだ。
 こぢんまりとした海岸線の小さなホテル。いや日本なら、知る人ぞ知る、隠れ家的カフェや定食屋でもいいや、そんなところに行くときには、アクセスが悪いことが多い。幹線道路を走ってきて、小径に入って、カフェにたどり着く、あとほんの200mが未舗装、とかね。
 そのために、アドベンチャーやオフロードモデル並みのサスペンションストロークが必要だった。長い距離を走るスポーツバイクの走り、快適に移動するためのスクーターのイージーな操作性、それがX-ADVのコンセプトになったのだ。

画像: 一般道、高速道路、ワインディングを250km走っての実測平均燃費は約28km/L。走行時のメーター表示瞬間燃費は、DCTが6速に入って70km/h時で約45km/Lだった!さすがNC系のパラツインは燃費がいい! 自宅において、いつでもどこへでも乗りたい!

一般道、高速道路、ワインディングを250km走っての実測平均燃費は約28km/L。走行時のメーター表示瞬間燃費は、DCTが6速に入って70km/h時で約45km/Lだった!さすがNC系のパラツインは燃費がいい! 自宅において、いつでもどこへでも乗りたい!

 基本骨格はインテグラをベースとし、車体構成を一新。エンジンは、DCT仕様のNC750系パラレルツインに、倒立フォーク、フロント17インチ/リア15インチホイールに、オン&オフタイヤを装着した。
 タイヤの前後径で、前が大きく後が小さいのはクルーザーやオフロードモデルの常道。X-ADVのリアが小さいのは、シート下スペースを確保して、シート高を上げないための工夫。ちなみにベースとなったインテグラは前後17インチだ。
 もちろん、これで林道をガシガシ進めるわけではないが、不意に現れた林道や砂利道くらいならば、躊躇なく踏み入って行けるかも、と思わせる突破性の高さがある。
 そして、それをまとめるルックスがX-ADVのキモのひとつ。吊り目ヘッドライトやクリアスクリーンの奥にメカを露出させる手法はアフリカツインの作法だし、あえてコスト高を覚悟のうえで、質感を出せる倒立フォークを採用した。
 ボディもインテグラの曲面から、平面をつないだようなフラットデザイン。よく「ガンダムチック」って呼ばれる、エッジの効いたカクカクとしたスタイリングだ。
 ライディングポジションは、高めのハンドルに足を前方に投げ出して、ニーグリップ部分がないビッグスクーター的。けれど、DCTボタンをDに入れて走り出した瞬間、そうじゃないと気づくのだ。
「あ、スクーターじゃない」
 スロットル開け始めのトルク、右手とリアタイヤが直結したような反応は、スクーターじゃない、まさに750ccのスポーツバイクだ。

画像: 何にも似ていない新しい乗り物、X-ADV

スクーターの快適さの裏にスポーツバイクのダッシュが潜む

 エンジンをかけてニュートラル、右ハンドルスイッチの走行モードボタンを押して、DCTをDレンジに入れる。普通のオートバイで言う、ローギアに踏み込む瞬間だ。
 ダッシュがインテグラより強めなのは、リアタイヤを小径化したからで、ギア比が相対的にショートになっているから。しかも、D/Sレンジとも、シフトのタイミングを少し遅らせ、より「引っ張る」ようになっている。クルージングというより、加速力を向上させているのだ。
 ハンドリングもスクーターさが少なく、これは車体ウエイトの前後配分が効いているのだと思う。ブレーキをかけるときちんとフロントに荷重が乗り、ワインディングでもクルッと回る回頭性を見せる。このタイヤではエッジグリップまで使って、というわけにはいかないが、センタースタンドを接地させるくらいなら、ビクともしない安定感がある。
 けれど、X-ADVの真骨頂はやはりクルージング。スロットルの開けるスピードをゆっくり、つまりライダーがゆっくり走ろうと考えると、DCTはポンポンとシフトアップし、6速100km/hで3200回転ほど。この時ばかりはビッグスクーターの良さ、ものすごく平和で快適なクルージングを味わえる。

画像1: スクーターの快適さの裏にスポーツバイクのダッシュが潜む
画像2: スクーターの快適さの裏にスポーツバイクのダッシュが潜む

 それと同時に2気筒なりの鼓動を感じられて、スロットルを開けるとダダッと加速、閉じるとエンジンブレーキがかかって自動シフトダウンを始めてくれる。このダイレクトさが、オートバイっぽさだ。
 サスペンションのストローク長を実感するのは、なにも無理やりダートに踏み入って行かなくても、舗装の荒れた路肩とか、時に穴ぼこさえある地方の道路を走っている時にありがたい。ヨーロッパでは、ベルジャン路と呼ばれる石畳や、グリップしない丸石コンクリートを走るのだから、当然と言えば当然。
 スクーターっぽく快適で、遠くへも行けるし、スポーティにも走れる。妄想も含めて行動範囲がものすごく広がりそうだ。
 ワインディングではCBRにかなわない、街乗りではFORZAがいい、超ロングではアフリカツイン、ダートではCRF250Lがイイに決まっている。けれど、この要素がひとつのツーリングに詰まっていたら、文句なくX-ADV。
 誰もが味わえない絶景は、誰もが踏み入って行けない奥の奥にある。
 舗装の駐車場の先に続く砂利道、その先に絶景があるとしたらIII。そう考えるのはオートバイ乗りの性。X-ADVならば、絶景に、天国にいちばん近い場所まで行けるのだ。

画像: ABSを標準装備。ローターとキャリパーはアフリカツインと同一、ホイールはアルミリム+ステンレススポーク。チューブレスタイヤ採用のため、クロススポーク張りとしている。

ABSを標準装備。ローターとキャリパーはアフリカツインと同一、ホイールはアルミリム+ステンレススポーク。チューブレスタイヤ採用のため、クロススポーク張りとしている。

画像: 中央にスピード、タコメーターはバーグラフ式で、瞬間/平均燃費、時計/カレンダー、外気温を常時表示し、走行モード、オド&ツイントリップ、ギアポジションを表示する。

中央にスピード、タコメーターはバーグラフ式で、瞬間/平均燃費、時計/カレンダー、外気温を常時表示し、走行モード、オド&ツイントリップ、ギアポジションを表示する。

画像: ショートマフラーを装備し、EURO4対策で、これまでの日本車よりもサウンドは大き目(それでも十分静かだが)。タンデムステップボードはサイドカバー後方に折り畳み式。

ショートマフラーを装備し、EURO4対策で、これまでの日本車よりもサウンドは大き目(それでも十分静かだが)。タンデムステップボードはサイドカバー後方に折り畳み式。

画像: リアホイールはシート高を下げ、サスストロークを確保するために15インチを採用。二次減速比はインテグラ同様だが、15インチホイール採用で、相対的にギア比はショートに。

リアホイールはシート高を下げ、サスストロークを確保するために15インチを採用。二次減速比はインテグラ同様だが、15インチホイール採用で、相対的にギア比はショートに。

画像: フルフェイスはもちろん、ツバつきオフロードヘルメットも収納できるシート下スペース。12V電源、ETC車載器を標準装備。海外仕様と同じくグリップヒーターも標準装備。

フルフェイスはもちろん、ツバつきオフロードヘルメットも収納できるシート下スペース。12V電源、ETC車載器を標準装備。海外仕様と同じくグリップヒーターも標準装備。

画像: 給油口はシート先端に。フューエルリッドはハンドル部にボタンがあり、シート開閉とともに行う。ライダーの真下に給油口がある。スマートキーなのも嬉しい装備だ。

給油口はシート先端に。フューエルリッドはハンドル部にボタンがあり、シート開閉とともに行う。ライダーの真下に給油口がある。スマートキーなのも嬉しい装備だ。

画像3: スクーターの快適さの裏にスポーツバイクのダッシュが潜む
画像: スクリーンは手動で5段階に調整可能。最大差は136mmで、高速走行時に最高位置にセットすると、伏せ姿勢を取らずにヘルメット上部まで走行風が当たらなくなる。パンタグラフ式の稼働システムもよく考えられている。

スクリーンは手動で5段階に調整可能。最大差は136mmで、高速走行時に最高位置にセットすると、伏せ姿勢を取らずにヘルメット上部まで走行風が当たらなくなる。パンタグラフ式の稼働システムもよく考えられている。

画像4: スクーターの快適さの裏にスポーツバイクのダッシュが潜む
画像: ■エンジン:水冷4ストローク並列2気筒SOHC4バルブ ■最高出力:54ps/6250rpm ■最大トルク:6.9kg-m/4750rpm ■ミッション:DCT=電子式6速 ■全長×全幅×全高:2230×910×1345mm ■軸距:1580mm ■シート高:790mm ■車両重量:238kg ■タイヤ前・後:120/70R17・160/60R15 ■価格:シルバー120万9600円 レッド×ブラック124万2000円

■エンジン:水冷4ストローク並列2気筒SOHC4バルブ ■最高出力:54ps/6250rpm ■最大トルク:6.9kg-m/4750rpm ■ミッション:DCT=電子式6速 ■全長×全幅×全高:2230×910×1345mm ■軸距:1580mm ■シート高:790mm ■車両重量:238kg ■タイヤ前・後:120/70R17・160/60R15 ■価格:シルバー120万9600円 レッド×ブラック124万2000円

画像: ヨーロッパ仕様よりも約30mm下げられているシートは、CB1100RSやCB250Fとほぼ同じ790mm。しかしシート下スペースやフューエルタンク容量確保のためにボディ幅が広く、股が開き気味になって足つき性は見た目ほど良くはない。ライダーは178cm/75kgで足裏半分が接地する。

ヨーロッパ仕様よりも約30mm下げられているシートは、CB1100RSやCB250Fとほぼ同じ790mm。しかしシート下スペースやフューエルタンク容量確保のためにボディ幅が広く、股が開き気味になって足つき性は見た目ほど良くはない。ライダーは178cm/75kgで足裏半分が接地する。

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