クオリティの高いワインで定評のあるオーストリアは、フランスやイタリアなどに比べて流通量が少なく、小さなワイン大国と呼ばれています。また市内にツーリストでも手軽に見ることができる葡萄畑があり、目の前の畑の葡萄から作られるワインを楽しめるのも特筆すべきポイント。

そして、葡萄畑が広がるエリアにはHeurige(ホイリゲ)(※)と呼ばれる酒場があり、訪問すればウィーンっ子気分を満喫できること間違いなしです。最終回は、すこし足をのばせば楽しめる景色や、オーストリアワインの楽しみ方、ソウルフルなホイリゲなどをご紹介して参ります。

 

葡萄畑も、見渡す景色もご馳走
19区Grinzing(グリンツィング)

ウィーン市北部に位置する19区のGrinzing(グリンツィング)は、ホイリゲが集中するエリアとして知られています。中心部からはすこし離れていますが、地下鉄やバスを使えば葡萄畑にアクセスできるというのはツーリストにとって嬉しいところ。葡萄畑と中世のムード漂うホイリゲを眺めながらの散歩が楽しいエリアです。

またぜひとも訪ねていただきたいのは、KAHLENBERG(カーレンベルグ)のカフェへ。ウィーン市街とドナウ川を一望できる景色は圧巻です。散歩で渇いた喉を潤すのに最適なワインの飲み方はGesprizter(ゲシュプリツター)という、ワインと炭酸水または水を、1対1や7対3(またはその逆)などで割ったもの。場合によっては、希望の比率に応じてくれたり、一緒に供される水で好みの比率に調整させてくれることもあり、お酒に強くなくてもワインを楽しみたいという方にもおすすめです。
 

※「Heurige(ホイリゲ)」とは

画像: ※「Heurige(ホイリゲ)」とは

「今年の」という意味の言葉で、その年にできた新しいワインを指すのですが、ホイリゲを出してくれる酒場のこともホイリゲと呼ばれています。日本の造り酒屋の軒先に杉玉がぶら下がっているのと同じように、新ワインのあるお店は束ねた松の枝を店先にぶら下げているのが目印です。
 

KAHLENBERG
Am Kahlenberg 2-3, 1190 ウィーン
営業時間:月~土11:00~24:00、日11:00~23:00

 

アルプスのはじまりとも言われる
西部13区のホイリゲへ

画像: アルプスのはじまりとも言われる 西部13区のホイリゲへ

ウィーン市中心部から地下鉄で約20分、13区のHietzing(ヒーツィング)はアルプス山脈のはじまりとも言われているエリアです。地下鉄U4のOber St. Veit 駅を降り、15分ほど歩いて静かな住宅街を抜けたところにあるのが Hotel & Heuriger Schneider-Gössl(ホテル・ウン・ホイリゲ シュナイダゲスル)

木々に囲まれたガーデン席と屋内席があり、過ごしやすい季節ならガーデン席がおすすめです。陽が落ちてほの暗くなった庭でアコーディオンの生演奏の音色が耳に届きはじめたら、気分は中世へタイムトリップ。オーセンティックなホイリゲの世界はいかがでしょうか。
 

13区のさらなるおすすめは、THURN Heurigen Restaurant(トゥルン ホイリゲン レストラン)。ガーデン席や、白とウッドを基調とした店内で、伝統料理にアレンジを加えたスタイルで提供してくれる今風ホイリゲレストランといった雰囲気です。

通常は牛肉や豚肉を使うことが多いヴィーナーシュニッツェルを鶏肉でアレンジ、またオープンサンド(長方形のパンに様々な具材がのったウィーンのクイックミール)は具材とパンが別々に供され、好みの具材をパンにのせて楽しめるスタイルになっているなど、ワイン片手にゆっくり楽しめる料理もおすすめです。

Hotel & Heuriger Schneider-Gössl
Firmiangasse 9-11, 1130 Wien
営業時間:16:00~24:00
 
THURN Heurigen Restaurant
Firmiangasse 8, 1130 Wien
営業時間:月~土11:30-23:00、日11:30~17:00

 

ビールの名前でも有名なOttakring
16区のホイリゲにも足をのばす

画像1: ビールの名前でも有名なOttakring 16区のホイリゲにも足をのばす

ウィーン中心部から西に向かったOttakring(オッタクリング)と呼ばれる16区は多国籍ムードがあり、移民の多いオーストリアのリアルな一面を感じられる地域です。

この街にも数こそ多くはないですが、地元の方が愛用するホイリゲがあり、軒先のテーブルに腰掛け、待ちゆく人を眺めながらワインを傾けるのも楽しい時間です。訪問したのはちょうど秋のはじめ、手書きの「STURM(シュトゥルム)」というメニューが目に入って即注文。STURMとは作りかけでまだ発酵中のワイン。にごりの残る、微発泡のワインは季節限定、秋だけ飲めるワインです。

オーストリアでは白ワインのほうが生産量が多いため、STURMも白のことが多いですが、こちらStippert(スティペルト)では赤のSTURMもあり、ぜひ覚えておきたいホイリゲのひとつ。STURMの時期を目指してウィーン旅行というのもワイン好きにはたまらないプランです。
 

画像2: ビールの名前でも有名なOttakring 16区のホイリゲにも足をのばす

中心部からすこし離れると、地元の方が実際に生活している街が広がるウィーン。Ottakringのような住宅街では、週末などに地元のお祭りに遭遇することがあります。そんな時にぜひトライ頂きたいのがLángos(ラーンゴシュ)。同じハプスブルク帝国の統治下にあったお隣の国、ハンガリー発祥ともいわれる平たい揚げパンで、さくっとした表面と中のもっちり感とが絶妙なバランスです。

ハンガリーでは様々なトッピングとともに頂くこともあるそうですが、オーストリアでは風味づけにガーリックオイルをぬったスタイルが多く、揚げたてのパンに温められて鼻に届くにんにくの香りがおなかを刺激すること間違いなしです。

Stippert
Ottakringer Str. 225, 1160 Wien
営業時間:月~土15:00~23:00、日10:00~13:00

画像3: ビールの名前でも有名なOttakring 16区のホイリゲにも足をのばす

この他、最初にご紹介したGrinzingと同じ19区のNußdorf(ヌスドルフ)もホイリゲでメジャーなエリア。Nußdorf 駅からKahlenberger Straße(カーレンベルガーストラッセ)通りを目指すと、オーセンティックな佇まいのホイリゲ群に遭遇します。観光客でも立ち寄りやすい雰囲気で、石畳の通りを散策しながら、気になったホイリゲにふらっと入ってみるという楽しみ方ができるエリアです。
 

画像4: ビールの名前でも有名なOttakring 16区のホイリゲにも足をのばす

また、ホイリゲのあるエリアに足をのばす時間がないという方には、市中心部のStephansdom(シュテファンズドム寺院)近くのワインバー Wein & Co がおすすめ。スタイリッシュな店内でワインを頂けるほか、併設されているショップでワインを買うこともでき、とても便利です。

お土産に一本という場合は、オーストリアを代表する白ワイン品種Grüner Veltliner'(グリューナ・ヴェルトリーナ)から作られたワインを是非。すっきりとした中辛口~辛口で、余韻に残る爽やかなフルーティさが特徴です。

中でも、オーストリアワインの名手 CHRISTIAN TSCHIDA(クリスティアン・チダ) は注目のワイナリー。ウィーンから南西に約80km、ハンガリー国境に近いエリアで、先代からバイオダイナミック農法に取り組まれています。エレガントで深い透明感のあるCHRISTIAN TSCHIDAのワイン、当代クリスティアン曰く「日本の懐石料理とノルディック料理にあうと思っている」とのこと。お店で、またはお土産として、ぜひお試し頂きたい作り手さんです。

 

最終回は葡萄畑とワイン、ホイリゲを中心にお伝えさせて頂きました。ワイン好きの方でしたらホイリゲ巡りを旅行の軸に据えるのもいいかもしれません。その際、冬季はお休みのホイリゲもあるので事前確認をお忘れなく。

2018年5月にはオーストリア航空の直行便(東京-ウィーン)が再開予定で、ウィーンへのアクセスが便利になりそうです。3回にわたり、ウィーンの市場、レストラン、そしてワインのレポートをして参りました。市の中心部リングの外側でローカルなウィーンも感じるトリップ、次回のヴァカンスの参考にしていただけたら嬉しいです。

 

☆乗り継ぎ便で行くならパリ経由で

画像: ☆乗り継ぎ便で行くならパリ経由で

名だたるレストランやビストロ、ワインバーが軒を連ねるパリの中から、今回は Restaurant TOYO をご紹介。パリでオーナーシェフとして腕をふるう傍ら、日本でも活躍されている中山豊光シェフの料理は、旬と素材の組合せから生み出される美味しさと美しさがあふれています。

「フランスの自然の中で出逢った花々を押し花にしていた」という中山シェフの感性を表すような、季節の恵みを生かした料理は、地元だけでなく海外からも多くの方を惹きつけています。来年3月には東京ミッドタウン日比谷に海外初出店とのこと。今からオープンが待ち遠しくて仕方ありません。

Restaurant TOYO
17 Rue Jules Chaplain 75006 Paris

 
 
▼前回の記事はコチラ!

 
Text & Photo:奥田ここ Coordinate:Weronika Anasz

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