MotoGPはもてぎ→フィリップアイランド→セパンのパンパシフィック3週連続レースが終わりました。もてぎで毎日雨に降られ、フィリップ(PIって呼ぶとツゥっぽいですよw)で最終ラップまでバチバチのトップ争いやって、快晴で始まったセパンは、やっぱりMotoGPクラススタート前にスコールが降ってのウェットレースと、大変な3週間でした。関係者の皆さん、おつかれさまでした。
そしてシーズンは、このセパンが最後から2レース目。前戦PIでマルク・マルケス(レプソルHONDA)が優勝し、アンドレア・ドビツィオーゾ(DUCATIチーム)がナゾの13位に沈んでしまったことで、チャンピオン争いは、ランキングトップのマルケスとドビツィオーゾのポイント差が33まで広がってしまい、このセパンでもチャンピオンが決まっちゃうかもしれない、という局面でのレースとなりました。
けれど、ここセパンはドビツィオーゾの大好物。2016年のこのレースでは、ドゥカティでの初優勝を上げました。マルケスは2016年のこのレースで転倒、再スタートから11位に入りましたが、昨年はもてぎでチャンピオンを決めた後のレースだったので、マルケスはこの時期、PIで転んでセパンでも転んでと、ハジけてましたからね(笑)。

画像: ポールスタートのペドロサをマルケスがまくり、イン側からスーッとザルコがトップに浮上!

ポールスタートのペドロサをマルケスがまくり、イン側からスーッとザルコがトップに浮上!

画像: ザルコはソフトのリアタイヤを履いたからか、スタートから逃げを打ちます

ザルコはソフトのリアタイヤを履いたからか、スタートから逃げを打ちます

そして決勝レースは、3列目7番手スタートのマルケスがロケットスタートを見せて、ポールシッターのチームメイト、ダニ・ペドロサに接近。そのイン側から、MotoGPルーキーのヨハン・ザルコ(テック3YAMAHA)がスーッとトップに浮上。2番手にホルヘ・ロレンソ(DUCATIチーム)、3番手にマルケス、4番手にドビツィオーゾがつける出だしとなりました。マルケスとドビツィオーゾの位置取り、なかなか興味深かったですね。ミシュランによると、ザルコはフロントにミディアム、リアにソフトタイヤを履いていたようです。ドゥカティふたりは前後にミディアム、これはザルコが序盤から逃げる構図ですね。

画像: 序盤、マルケスの後ろにつけていたドビツィオーゾが3番手に浮上! 前を行くのはザルコとロレンソ

序盤、マルケスの後ろにつけていたドビツィオーゾが3番手に浮上! 前を行くのはザルコとロレンソ

レースはこのオーダーで周回を消化し、5周目にはドビツィオーゾがマルケスをパス! ドビツィオーゾ3位、マルケス4位、この位置ではまだマルケスはチャンピオン確定圏内。中盤あたりでロレンソがザルコをパス。この頃にはドビツィオーゾがマルケスとの差を広げ始めていて、ドビツィオーゾもザルコをパスしてドゥカティが1-2フォーメーション! こうなると、マルケスもザルコをパスしたいところだけれど、マルケスはペースが上がらずに、または上げずに4番手をキープしています。この位置でも、まだマルケスのチャンピオン確定圏内。マルケスが4番手にいるなら、ドビツィオーゾは優勝しないとチャンピオンを決められてしまいます。逆に、マルケスは3位に入れば、文句なくチャンピオン決定!

画像: トップを行くロレンソにひたひたひたと迫るドビツィオーゾ ウィングカウルつきとナシですね

トップを行くロレンソにひたひたひたと迫るドビツィオーゾ ウィングカウルつきとナシですね

画像: 終盤、ドビツィオーゾがついにロレンソをパス! ドゥカティは今シーズン初の1-2フィニッシュ

終盤、ドビツィオーゾがついにロレンソをパス! ドゥカティは今シーズン初の1-2フィニッシュ

ロレンソ→ドビツィオーゾの1-2体制はそのまま続き、この2台の差も1秒前後で縮んだり広がったり。しかし、15周目にロレンソが最終コーナーであわやスリップダウン、という大スライドを起こし、そのスキにドビツィオーゾがトップに浮上。この時点では、4番手マルケスは3番手ザルコに5秒近く差をつけられてしまっていて、ドビツィオーゾがトップのままならチャンピオン決定は最終戦まで持ち越し、となります!

画像: 「今シーズンいちばんきつかった」というマルケス 写真、プルッと振られて外足外れちゃってます…

「今シーズンいちばんきつかった」というマルケス 写真、プルッと振られて外足外れちゃってます…

結局レースは、このままドビツィオーゾ→ロレンソとドゥカティが1-2を達成、3位にザルコが入って、マルケス4位。チャンピオン決定は最終戦に持ち越しとなりました。
マルケスが4位以下なら、ドビツィオーゾが優勝すればチャンピオンへの望みが首の皮一枚だけ残る――これは、走っているライダー誰もが知っていたわけで、僕も知ってた、あなたも知ってた。もちろん、レース終盤までトップを走っていたロレンソも、2位にドビツィオーゾがいたのを知っていたわけで「あれ、この位置だと……」と思ったに違いありません。それどころか、マルケスが4位以下にいるのも知っていたかもしれませんね。サインボードで出ていなくたって、後方確認すれば後方のライダーのポジションがわかることって、よくあることですから。

画像: 残り5周の国際映像画面 画面右下の注目! 拡大すると……↓

残り5周の国際映像画面 画面右下の注目! 拡大すると……↓

画像: こうです ピットからライダーに送れるようになった文字情報 国際映像にワイプで載るようになったのかな

こうです ピットからライダーに送れるようになった文字情報
国際映像にワイプで載るようになったのかな

さらにレース終盤、残り5-6周目あたりで、ロレンソが前、ドビツィオーゾが後ろにいたときに、ロレンソのマシンのディスプレイには「SUGGESTED MAPPING:MAPPING8」というナゾのメッセージがピットから発信されました。ご丁寧にTV放送でもそのことが画面に表示されて、これは「マップ8にせよ」って意味ですね。SUGGESTEDだから「せよ」というより「マップ8ね!」みたいな提言というか念押しというか、再確認というか。
「ん?ドゥカティはマップが8まであるの? レインでタイヤが減ってきたからこんななの……」と思ったら、これチームからの「ドビツィオーゾを先に行かせよ」というサインだったようです。つまり、チームオーダーですね。
チームオーダーなんてないよ、とチームやライダーは言いますが、シーズン残り2戦ともなればあって当然、だと僕は思っています。ドゥカティが10年ぶりのワールドチャンピオンになろうかどうかって時に、チームオーダーが出ないなんてどうかしているし、ロレンソもドビツィオーゾもわかってるでしょう、プロスポーツマンなんだから。もちろん、あからさまなペースダウンなんかでの順位調整なんて見たくもありませんが、きのうのロレンソは、あの転倒しそうなビッグスライドがあって、そこから復活しての2位ですから、あたりまえです。

画像: 去年までドゥカティで5年で1回しか勝っていなかったドビツィオーゾが、今シーズンだけで6勝です!

去年までドゥカティで5年で1回しか勝っていなかったドビツィオーゾが、今シーズンだけで6勝です!

「(最終コーナーの)ブレーキングで転びそうになって、ドビツィオーゾに抜かれてしまった。それからは追い上げたけれど、リミットまではプッシュしなかった。2位でOKだよ、また表彰台に立てたしね」とはレース直後のロレンソのコメント。この「リミットまではプッシュしなかった」ってコメントは、全力では追い上げなかった、って意味ですが、これがそのまま「チームオーダー」をあらわすのではありません。
そりゃそうでしょう、雨のレース終盤でズルーッと転びそうになって、そこからもう1回リミットまで攻めて追い上げるなんて、ちょっとできないですからね。それよりも、ここで無理して追い上げて転びでもしたら、ドビツィオーゾが優勝してもマルケスが3位→チャンピオン確定、という逆大どんでん返し(笑)も起こるわけですから、ロレンソはそこまで考えて、レース終盤を走っていたんだと思います。
むしろ、3位を走っていたザルコの方が大変だったかもしれませんね。もちろん、全力で勝ちに行くのはいいとして、チャンピオン対象のふたりに、無関係のチームの、ランキングが関係ないライダーが挟まれる、ってのは「あわわ、オレどうしよう。ココ走ってていいの?」となりそうですもんね(笑)。ここにペドロサが走っていたら、チームオーダーとはなんぞや、って議論にもなるでしょうけど。その意味では、きのうのトップ4の順位は素晴らしく良くできた、最終戦へのプロローグになったと思うのです。

これで最終戦を残してのランキングは
1:マルク・マルケス       282P 6勝 2位4回 3位1回
2:アンドレア・ドビツィオーゾ  261P 6勝 2位1回 3位1回
3:マーベリック・ビニャーレス  226P 3勝 2位2回 3位2回
4:バレンティーノ・ロッシ    197P 1勝 2位3回 3位2回
5:ダニ・ペドロサ        185P 1勝 2位2回 3位5回

マルケスがチャンピオンを確定するには、12位以上(4ポイント獲得)でOK。逆にドビツィオーゾは2位じゃダメなんです、優勝するしかありません。ちなみに最終戦バレンシアはホンダが有利なサーキットと言われていて、マルケスが得意とするコースでもあります。逆にドゥカティにとってはあんまりうまく回っていないコースでもありますね。

ちなみに、マルケスがMotoGPクラスに昇格した2013年以降は
2013 マルケス3位 ドビツィオーゾ9位
2014 マルケス優勝 ドビツィオーゾ4位
2015 マルケス2位 ドビツィオーゾ7位
2016 マルケス2位 ドビツィオーゾ7位

という結果です。ドゥカティも06年にはトロイ・ベイリス→ロリス・カピロッシが1-2フィニッシュを決め、08年にはケーシー・ストーナーも優勝していますが、あのころは990ccと800cc、今の1000ccマシンでは素性も性格も戦闘力も違うでしょうし、ドビツィオーゾは2011年に3位表彰台に上がっていますが、あの時はドビ、ホンダのライダーでしたからー! ざんねーん!
ちなみに2012年、マルケスの最後のmoto2クラスでのレース、覚えていますか? 金曜のフリー走行でなんかやらかしたマルケスが予選最後尾グリッドスタートのペナルティを受けて、決勝ではなんと、その最後尾スタートから優勝してしまったのです! それくらい得意なコースなんですね。
泣いても笑っても、最終戦を残すのみ。ホンダ+マルケス絶対優位、って最終戦ですが、レースは何が起こるかわかりません。ほら、2006年の最終戦・バレンシアGPのように……。

そしてこのセパンで、ホンダのコンストラクターズタイトルが決まりました! しかし雨のレースでのヤマハの低迷が気になりますね……コンストラクターズポイントも、ついにドゥカティに抜かれて3位となってしまいました。最終戦、ここでも逆転を狙ったレースが繰り広げられるわけです。
最終戦は11月12日。ここですべてが決まります!

画像: ビニャーレスは9位フィニッシュ 2017年ランキング3位が確定しました

ビニャーレスは9位フィニッシュ 2017年ランキング3位が確定しました 


コメントを読む・書く

This article is a sponsored article by
''.