「オーストラリアン・オープン」(オーストラリア・メルボルン/本戦1月15~28日/ハードコート)の男子シングルス4回戦で、第3シードのグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)が第17シードのニック・キリオス(オーストラリア)を7-6(3) 7-6(4) 4-6 7-6(4)で倒し、ベスト8進出を決めた

 キリオスがこの試合で最初の2セットを落とし、すごすごとサービスラインに戻るときにひとりの観客がこう叫んだ。

「顔を上げろ!」

 キリオスは文字通りにしばらく顔を上げて、満員のロッド・レーバー・アリーナのスタンドから笑いが起きた。顔だけでなく、魂も自分自身のプレーも引き上げ、劣勢だった試合を少しずつよい方向に戻していった。

 だが、キリオスのプレーでよく起きるように、徐々に彼の集中力は切れていった。そして、ディミトロフが第4セットのタイブレークを制して勝利をおさめた。キリオスは今回も、メジャータイトルから見放されている要因を見つけなければならない。

 グランドスラムで複数回優勝し、世界ナンバーワンになるだけのポテンシャルがあるとキリオスは長くもてはやされてきたが、22歳となり、トップに近づこうともがいている最中だ。

 実際、彼の残している結果は少しずつ悪い方向へ進んでいる。キャリアの中でグランドスラムの準々決勝に残ったのは2度だが、もっとも最近は3年前のオーストラリアン・オープンまで遡る。最近のグランドスラム12大会で、9度は4回戦より前で敗退している。

 日曜日の4回戦でも敗れたキリオスは、敗北にも楽観的で、まだ勝利への過程の中にあると信じているようだ。

「あの試合に負けたあとも、自信は揺らいでいない。今週は自分のベストを尽くして戦った。あとほんの少しだったと思う。レベルの高い相手を3人も倒したんだ。4回戦は、世界トップのうちのひとりに負けた。思い切ってプレーしたけど敵わなかった。明らかに、今回の敗戦に関してはポジティブにとらえている」とキリオスは、昨年よりも今年の全豪のほうがよかったと振り返っている。

「去年は、オーストラリアン・オープンのあとに、自分が何をすべきなのかわからなかった。今年はもっとビジョンを持っているし、目指すべきゴールも見えている。非常にいい状態にあるよ」

 キリオスはこれまで長く、安定感を欠いてきた。一瞬、とんでもないスーパープレーを見せるけど、次は何でもないようなミスをおかす。今年のメルボルンパークでは、落ち着いてプレーできるようになったようだ。ディミトロフ戦に関しては、不用意なプレー、必要のないリスクをおかすプレーも散見されたが……。

 この試合で時速200kmくらいの強烈なセカンドサービスを何本か放った。挑戦して何度かミスもした。長いラリーを終わらせるためにフォアハンドで強打を放ち、ディミトロフのファーストサービスに対してサービスラインの辺りに出てリターンエースを狙った。

 キリオスのような予測不能な選手とプレーするのは「ストレスがたまる」とディミトロフは言う。「シンプルさ。いつも警戒しないといけないから。何が起こるかまったく予想できない。この試合では何度かセカンドサービスを時速200km以上打ってきた。それに対して、どうすることもできないよ」。

 昨年は一時、元世界4位のセバスチャン・グロージャン(フランス)をコーチにしていたが、現在はふたたびコーチなしでツアーを回っている。新しいコーチを探している様子もない。ノバク・ジョコビッチ(セルビア)のコーチを務めるアンドレ・アガシ(アメリカ)は、キリオスにコーチがつくことは大いに利点があると主張する。「ひとりで戦うことで、何にチャレンジできたのか、また何を学んだのかを放棄してしまうのは、アンフォースドエラーのようなものだ」とアガシはキリオスについて、オーストラリアのメディアに語っている。

 キリオス自身は、コーチなしでも問題ないと感じているようだ。

「今年、まだ1試合しか負けていないんだ。だから、何も問題ないよ。若い頃、周囲をがっちり固められた環境だったけど、それが大嫌いだったんだ。今は極端に違う方法でうまくいっている」と今季はここまでブリスベン国際で優勝し、オーストラリアン・オープンでベスト16の成績を残しているキリオスは語った。(C)AP(テニスマガジン)

※写真は4回戦でグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)に敗れたニック・キリオス(オーストラリア)
MELBOURNE, AUSTRALIA - JANUARY 21: Nick Kyrgios of Australia reacts in his fourth round match against Grigor Dimitrov of Bulgaria on day seven of the 2018 Australian Open at Melbourne Park on January 21, 2018 in Melbourne, Australia. (Photo by XIN LI/Getty Images)

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