日本映画を見て育ったというアクション映画の巨匠ジョン・ウー監督。そんな彼があの高倉健主演作「君よ憤怒の河を渡れ」(76)の原作小説(西村寿行・著)の再映画化に挑んだ「マンハント」が2018年2月9日から公開される。来日したウー監督に本作の裏話などを聞いてみた。
画像: 「マンハント」(c)2017 Media Asia Film Production Limited. All Rights Reserved.

「マンハント」(c)2017 Media Asia Film Production Limited. All Rights Reserved.

STORY
大阪にやってきた国際弁護士のドゥ・チウが目覚めると、ベッドに女の死体が横たわっていた。突然殺人事件に巻き込まれたドゥ・チウは何者かにはめられたと気づき、異国の街を逃走することに! 容疑者を追うのは真実こそ正義と信じる刑事・矢村。捜査を続けるほどに違和感を覚える矢村は、ついにドゥ・チウと対峙するが、思わぬ展開が二人を待っていた。

すでに映画化されたものは使わず一から作り直した

激しいアクションを得意とするウー監督の素顔は、豊かな知性と誠実な人柄を感じさせる静かな印象の人物。このおとなしそうな人からあの過激なアクションがどう生まれるのか?と、戸惑ってしまうほど。
『今回もアクションシーンは、ハードで荒々しいものになりましたね(笑)。最初に訪れたのは「レッドクリフ」のキャンペーンの時だったのですが、大阪という街自体も大変エキサイティングなところで、いろいろなインスピレーションを与えてもらいました。そこから生まれたアクションもあります』
──本作は「君よ憤怒の河を渡れ」の再映画化ですが、オリジナルと違っているところもありますね。
『映画のリメイクではなく、原作をもう一度映画化するということになりました。小説のリメイクということです。すでに映画化されたことは使わず、一から作り直すような作業でした。例えばオリジナルでは建さんが演じた主人公とヒロイン真由美のロマンスがもう少し描かれていましたが、今度は彼を追う刑事との友情や絆といった方に重きを置いたんです。異なる文化でも友情を育むことはできるとね。真由美は小説ではとても美しい女性に描かれていたのですが、私の考えで今回は彼女がかつて婚約していたという設定にしました』

画像: 撮影:杉田重男

撮影:杉田重男

──そういえばドゥ・チウと矢村が手錠で繋がれたまま逃走し、友情が芽生えていくところは、昔のハリウッド映画ですが白人と黒人の逃走犯を描いた「手錠のまヽの脱獄」(58)を思い出しました。
『仰る通りです。この映画にはいろいろなものを脚本で付け加えました。本当は二人が手錠で繋がれたまま真由美を助けに行く、というシーンも描くはずだったんです。女性の二人組の殺し屋というキャラクターも私が考えたものです。彼女たちは殺し屋というだけでなく、加害者であり被害者でもある。こんな風に脚本には自分のスタイルである、義理とか悲劇的な運命などの要素を加えていったんです』

この映画で私も女性を描けることが証明できたと思う

──その女性の殺し屋コンビ(ハ・ジウォンとアンジェルス・ウー)だけでなく、真由美役のチー・ウェイさん、矢村の部下・百田里香役の桜庭ななみさんなど女優陣も活躍しますね。
『殺し屋二人も、ハ・ジウォン演じるレインは自身の運命のコントロールが効かない面もあり、アンジェルス演じるドーンはプロそのものだけど違う面もみせるなど、複雑な設定にしています。この映画には、いつもの私の映画より女性がたくさん出てきます。私は男性のキャラクターは描けるけれど、女性を描けないと言われてきましたので、新しくチャレンジしたんです(笑)。これで女性も撮れることが証明されたので、次回作は女性を主人公にアメリカで撮影する予定があります』

──もちろん男優はいつものように魅力的に描かれていますが、矢村役の福山雅治さんには誰か特定の俳優のイメージを重ねたりしたんでしょうか。
『個人的に好きな男優を挙げると、ピーター・オトゥール、ローレンス・オリヴィエ、ケーリー・グラント、ジェームズ・ディーンなどですが、みんな二枚目でクリーンなヒューマニストのイメージがある人で、そういう男優が好きなんです。日本人ではもちろん高倉健さん、小林旭さん! 演出する時そういうアクターをイメージしているんですが、演じている俳優にはもちろん、そんなことは言いません(笑)』

画像: この映画で私も女性を描けることが証明できたと思う

──國村隼さん演じる製薬会社の社長は切れ者ですが、いわば親ばかですよね。そういう人物の心情は個人的に理解できますか?
『國村さんはもう30年くらい前からの知り合いです。信頼できる俳優さんです。その彼が演じた父親の心情はわかります。自分も子供が小さい頃は仕事が忙しくて、一緒にいることが殆どできませんでした。自分にばかり時間を費やし、家族には申し訳ないことをしたと思います。数年前、大病を患ってから家族の大切さに気づきました。なので今は家族を優先しながら仕事をするようにしています』
ウー監督の愛するオリジナル作品へのリスペクトに裏打ちされた、オール日本ロケの一級アクション&サスペンス。ぜひ見逃さないでほしい。

「マンハント」2月9日公開
監督:ジョン・ウー
主演:チャン・ハンユー、福山雅治、チー・ウェイ、ハ・ジウォン
友情出演:國村隼 特別出演:竹中直人、倉田保昭、斉藤工 共演:アンジェルス・ウー、桜庭ななみ、池内博之、TAO
原作:西村寿行『君よ憤怒の河を渡れ』(徳間書店・刊)および 株式会社KADOKAWAの同名映画
配給:ギャガ

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