宮里藍や石川遼の登場で、ジュニアゴルフの人気に火が着いたことは記憶に新しい。しかし、そんなジュニアゴルファー人口の爆発的増加が、ゴルフ人口増加に繋がっていないと成田美寿々や川岸史果などのトッププロをジュニア時代から教える井上透コーチは言う。一体、どういうことなのか? ジュニアゴルフの実情を教えてもらおう。

ジュニアが増えればゴルフ人口は増えるのか

私は現在、国際ジュニアゴルフ育成協会の代表理事として毎年、多くのジュニアゴルファーをIMGA世界ジュニアゴルフ選手権に引率しています。日本のジュニアゴルファーは世界的に見ても非常に優秀でとくに低年齢のカテゴリーでは多くの優勝者が誕生しています。

これは宮里藍プロや石川遼プロがアマチュア時代に優勝してスター選手になった事が影響しています。下の図を見ても2人の優勝を機にジュニアゴルファー人口が急激に増えた事がわかります。

画像: 宮里藍や石川遼の活躍がジュニアゴルファーの増加に繋がった

宮里藍や石川遼の活躍がジュニアゴルファーの増加に繋がった

もちろん、21世紀になった頃から多くのゴルフ団体がジュニアクリニックやジュニアイベントを開催したことも増加の一因と考えられます。幼少期にゴルフ場に行ったり、ゴルフクラブに触ったことがあるという経験が大人になってゴルフというスポーツに親近感を覚えて選択してもらえる可能性はあります。またそれをきっかけに本気でゴルフに取り組む子供もいると思います。

70台は当たり前。低年齢化が進んだことで「途中参加」が難しくなっている

今度は見方を変えて男女ジュニアゴルファーの比率を見てください。

画像: ジュニアゴルファーの母数が増えたのはもちろん、男女の比率にも変化が訪れた

ジュニアゴルファーの母数が増えたのはもちろん、男女の比率にも変化が訪れた

ここ20年で女子のジュニアゴルファーの比率が高くなっている事がわかります。これは男女プロトーナメントの現状を色濃く反映してます。2018年、女子は38試合、賞金総額は37億2500万円で、6年連続で過去最高額を更新しました。対して男子は前年の26試合から25試合となり、賞金総額は約35憶円と苦境が続いています。この状況が女子のジュニアゴルファー増加につながっていることは間違いありません。

今度はジュニアゴルファーの年齢比率を見てください。

画像: 小学生のころからゴルフを始めるジュニアが増加。ジュニアゴルファーの“低年齢化”が進んでいる

小学生のころからゴルフを始めるジュニアが増加。ジュニアゴルファーの“低年齢化”が進んでいる

1996年には12歳以下の小学生のジュニアゴルファーが非常に少なく、13歳から18歳になるにつれて比率が大きくなっているのに対して、2016年では12歳以下の小学生の比率も高く、とくに13歳から17歳までの比率がほぼ変わっていないことが分かります。

これらの結果から今のジュニアゴルファーが低年齢からゴルフを始めていること、また中学生や高校生から新たにゴルフを始めるジュニアゴルファーが少数であることがわかります。この傾向を考察するとゴルフというスポーツがピアノやフィギュアスケートなどと同様に低年齢から始めないとプロになれないというイメージを持たれてしまっている可能性があります。今のジュニア大会では多くの選手が70台でラウンドするため、なかなか途中参加しにくい状況も生まれています。

このようにジュニアゴルファーの総数が増えていてもその性別や年齢構成を見なければ現状を正しく把握したとは言えないのです。

これらのことから今のジュニアゴルフの普及は、ゴルフの参加人口が徐々に増え社会に送り出す健全な普及モデルになっていないことがわかります。

画像: 小さい頃に始めたゴルファーが離脱せず、上の世代でゴルフのインフルエンサー・伝道師的存在となっていく、逆ピラミッド型の普及モデルが理想系

小さい頃に始めたゴルファーが離脱せず、上の世代でゴルフのインフルエンサー・伝道師的存在となっていく、逆ピラミッド型の普及モデルが理想系

画像: ジュニアゴルファーの増加がゴルファー人口の拡大というよりも「プロ予備軍」の増加になっている……?

ジュニアゴルファーの増加がゴルファー人口の拡大というよりも「プロ予備軍」の増加になっている……?

業界全体で、ただジュニアゴルファーを増やせばゴルフ人口が増えるという考え方を改め、社会の中でゴルフのインフルエンス(影響力)を高められるようなジュニアや学生ゴルファーの育成を目指す必要があるのです。

画像提供:井上透

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