準備編
練習から取り組みたい
始まる打順による
シミュレーション

 3月23日に開幕する選抜高校野球大会ではタイブレーク制度が採用される。同点のまま延長13回を迎えた場合、その後は無死一、二塁からイニングを始めることになる(決勝を除く)。そこで、無死一、二塁の攻防について、同制度を採用する国際大会で日本代表チームを率いた小枝守氏(日本高等学校野球連盟技術・振興委員会副委員長)とともに考えていく。

 今春のセンバツ大会から導入されることが決まったタイブレーク制度の無死一、二塁からの攻防には野球の醍醐味が詰まっている。まずは攻撃する側の視点から、戦略を考えていく。

「無死一、二塁から、どんな狙いを持って攻撃していくかは指揮を執る監督に委ねられることになります。考えられる作戦はバント系、エンドラン系、盗塁系、強攻系の4つが柱で、セーフティーバントやバスターエンドラン、ランエンドヒットなどにまで派生していきます。これらの駆け引きも見どころでしょう。個人の能力を前面に出すプロ野球と比べると、チームスポーツの要素が色濃い高校野球では、作戦面を駆使してチーム全体で本塁を取りにいく練習を数多く行っているでしょうから、普段のそうした取り組みが勝敗に強く影響していくことになります。

 タイブレークを考えるためには、練習から無死一、二塁からの攻撃に取り組み、シミュレーションしておく必要があると思います。打者と2人の走者の組み合わせと後続の打者の顔ぶれによって、次にどのような展開に持っていきたいか、狙いが変わってきます。

 例えば、後続に勝負強い打者がいて「一死二、三塁」をつくりたいのであれば、それが最も高い確率で可能な作戦は何なのかを選手ごとに把握しておくことです。足が速くてダブルプレーの可能性が低い左打者が打席にいて、「一死一、三塁からスクイズで1点取り、二死二塁からワンヒットでさらに1点」とシナリオを描くのであれば、引っ張ってゴロを打てれば、最低限の形をつくりつつ、さらにチャンスを広げる可能性を生むことができます。それができる打者かどうかの見極めです。自チームの選手の特徴を掌握することが、最も効率的な攻撃を可能にします。

 タイブレークは12回までの継続打順で始まります。代打策や代走策を使うことまで含めて、始まる打順による9通りの攻撃のシミュレーションが練習からできているチームは選手も展開を読むことができるでしょう。監督としてスムーズに采配が振れるだけでなく、選手も作戦に惑わされることなくプレーできるというメリットがあります。

 また、先攻の場合は先頭打者からの打順の流れで、作戦を選択できる半面、「何点取りにいくか」という監督の判断が大事になってきます。自チームの攻撃力を相手の投手力や攻撃力と照らし合わせた指揮官の読みが問われる部分です。

 逆に後攻の場合は先攻チームの得点数によって同点を狙うのか、勝ち越し、逆転を狙うのか、あらかじめ明確にできることがメリットです。しかし、始まる打順によっては取りたい戦術との齟齬が生じる可能性が高くもなります。例えば3点取らなければならないのに、バント以外に取る選択肢がない打者から攻撃が始まるようなケースです。そのときのためにも、「長打力がある」「バントがうまい」「機動力がある」など、一芸であってもさまざまなことができる選手をベンチに置いておくことも戦略の一つになります」

画像: こえだ・まもる/1951年7月29日生まれ。東京都出身。日大三高、日大を経て、76年から日大三高監督を務める。79年夏の甲子園に出場。81年に拓大紅陵高(千葉)の監督に就任し、春夏通じて9度、チームを甲子園に導いた。92年夏に全国準優勝など、甲子園通算10勝。2014年限りで勇退し、15年からは日本高等学校野球連盟技術・振興委員会副会長。侍ジャパンU-18代表監督として16年アジア選手権(台湾)優勝、17年U-18ワールドカップ(カナダ)3位の成績を収めた。

こえだ・まもる/1951年7月29日生まれ。東京都出身。日大三高、日大を経て、76年から日大三高監督を務める。79年夏の甲子園に出場。81年に拓大紅陵高(千葉)の監督に就任し、春夏通じて9度、チームを甲子園に導いた。92年夏に全国準優勝など、甲子園通算10勝。2014年限りで勇退し、15年からは日本高等学校野球連盟技術・振興委員会副会長。侍ジャパンU-18代表監督として16年アジア選手権(台湾)優勝、17年U-18ワールドカップ(カナダ)3位の成績を収めた。

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