日本一の飛ばし屋を決める大会「ゴルフダイジェスト ジャパン ロングドライブ チャンピオンシップ 2018」(通称・ドラコン日本選手権)の第7ブロック予選が、6月17日(日)に“ドラコンの聖地”こと東名CCで開催された。数日ぶりに照りつけた太陽の日差しが、飛ばし屋たちのハートに火をつける――。

「普通のシャフトだと切り返しで折れちゃう」とシニア王者は語った

ワールド・ロング・ドライバーズ・チャンピオンシップ(WLDC) の公認による国内最高レベルのドラコン競技。このブロック予選は、7月15~16日に行われる決勝大会の出場権をかけた戦いだ。そのファイナルでチャンピオンになった選手は、日本代表として世界大会の出場権が得られる。

競技は5つのカテゴリーに分かれて、それぞれに参加資格がある。国内最高峰の「チャンピオンズリーグ」は有資格者による限定リーグであり、ポイントでランキングされる。「オープンディビジョン」は年齢不問、「シニアディビジョン」は45歳以上、「スーパーシニアディビジョン」は50歳以上、そして女性による「ウィメンズディビジョン」もある。

画像: 最後の予選とあって、会場の東名CCにも緊張感がみなぎった

最後の予選とあって、会場の東名CCにも緊張感がみなぎった

試合で使うクラブはSLEルール適合品で、長さは最長48インチ。大会の公式ボールは、アメリカン倶楽部がドラコン用に開発した、コンプレッション110と一般的なコースボールよりも硬い「Charger X」だ。世界大会で使用されるボルビック(Volvik)のボールと同じコンプレッションとしている。

競技は、カテゴリー別に2~3人が1グループとなって、ドライビングレンジの芝打席から球を打つ。マット打席で練習をしてから本番の芝打席へ移り、与えられた時間(2分30秒)を自分のペースで6球打ち、ベストの1球がその選手の記録となる。

この日の会場は、前日に第5~6ブロック予選(ダブルヘッダー)が開催されたために、熱気や余韻がまだまだ残っているかのよう。試合会場では、飛ばしバトルを盛り上げるアナウンスやアップテンポなBGMが流れていたが、予選ラストとなる第7ブロック予選だけに、ファイナルへ勝ち残ろうとする参加者も多く、いつも以上の緊張感と引き締まった空気になっていた。

そのムードがピークに達したのが、お隣り・韓国から殴り込みをかけてきた「チームKL(KOREA LONGDRIVE)」のメンバーが姿を現したとき。「チャンピオンズリーグ」に挑んだ3選手(キム・ヒョング、キム・ホンシク、オム・ソンヨン)は、韓国のドラコンチャンピオンたちだ。

画像: 韓国の飛ばしチャンピオンたちが殴り込みをかけてきた! 写真左から、キム・ホンシク、キム・ユグン、キム・ヒョング、オム・ソンヨン

韓国の飛ばしチャンピオンたちが殴り込みをかけてきた! 写真左から、キム・ホンシク、キム・ユグン、キム・ヒョング、オム・ソンヨン

ぶ厚い胸板やピンとした背筋、隆起した筋肉はさすがドラコンのスペシャリスト。言葉を交わすと皆フレンドリーだが、ティグラウンドに立つと堂々として貫禄・威圧感ともに申し分ナシ。ステージ1ではオム・ソンヨンが340ヤードの豪打を見せつけて、勝ち進んだステージ2でも一時はトップに立つなどその実力をいかんなく発揮した。彼らは7月のファイナルに参戦する。

画像: 韓国から参戦の「チームKL(KOREA LONGDRIVE)」のメンバーのひとり、オム・ソンヨン。350ヤード飛ばし「チャンピオンズリーグ」3位に

韓国から参戦の「チームKL(KOREA LONGDRIVE)」のメンバーのひとり、オム・ソンヨン。350ヤード飛ばし「チャンピオンズリーグ」3位に

その「チャンピオンズリーグ」のステージ2も終盤に差しかかり、オム・ソンヨンがマークした350ヤード(3位)に触発されたのか、ラスト3人の選手たちは“飛ばしのスウィッチ”がON。それぞれ、南出仁寛が348ヤード(4位)、山崎泰宏が354ヤード(1位)、落合基樹が352ヤード(2位)という僅差でフィニッシュした。

画像: 354ヤード飛ばし、「チャンピオンズリーグ」を制した山崎泰宏

354ヤード飛ばし、「チャンピオンズリーグ」を制した山崎泰宏

ここ何年にわたって「チャンピオンズリーグ」の上位をキープしている山崎だが、この日にもし記録が伸ばせず予選落ちを喫したら、来年は「オープンディビジョン」からの出場となるピンチ。実はボールの特性に今イチ対応しきれていなかったために、この日は“イチかバチか”でスウィングを変えたという。

「このボールはくっつきがいいので、振れば振るほどつかまり過ぎる傾向だったんです。なので今日は、いつもより早いタイミングで、右足の前でヘッドが加速するように調整しました。それが功を奏しましたね。ドラコン選手ってみんなそうだと思いますが『芯を喰えば負けない』というメンタリティがあるんです。ボクもHSは67~68m/sと速いほうなので、ナイスショットをすれば勝てるつもりで戦いました」(山崎)

画像: ボールの特性を加味してスウィングを変更したことが功を奏した山崎

ボールの特性を加味してスウィングを変更したことが功を奏した山崎

そう話す山崎が休む間もなく出場した「シニアディビジョン」を制したのは髙橋健(334ヤード)。前日の第6ブロック予選でもチャンピオンとなり連勝した。打つ前に鋭いかけ声を上げるが、それはアドレナリンを出すためだ。

「飛ばしのポイントはココ(上腕を指さす)。右上腕の腕周りは45センチあります。太い腕の“重さ”を生かして腕を真下に振り下ろし、その重さをボールにぶつけて叩く。体は止めて、ヘッドが体を追い越すイメージで腕を振ります。このHS(67~68m/s)とパワーで振ると、普通のシャフトだと切り返しで折れちゃうので、ドライバーのフレックスは3X、手元側をさらに硬くしてもらってます」(高橋)

画像: 「シニアディビジョン」を制したのは髙橋健。腕の“重さ”を生かしたスウィングで334ヤード飛ばした

「シニアディビジョン」を制したのは髙橋健。腕の“重さ”を生かしたスウィングで334ヤード飛ばした

体がゴッツくて猛々しいプレーヤーがそろう中で異彩を放っていたのが、パッと見はドラコン選手とは思えないスマートなクールビューティだ。「ウィメンズディビジョン」で272ヤードのビッグキャリーをかっ飛ばしてチャンピオンになった林佳世子。みんなのゴルダイジェストでは“日本一飛ばす受付嬢”として、飛ばしのコツを紹介してもらったドラコン女子だ。

画像: 軽くて硬いシャフトで見事勝利した林

軽くて硬いシャフトで見事勝利した林

「クラブを勢いよく振り上げてトップを深く大きくして、その反動で振り下ろすことでHSが上がります。そうやって左足が上がるくらいの素振りをいっぱいしてから本番に臨みました。

ドライバーのシャフトは“軽・硬”(4・X)で、バランスをC5~6と軽く作ってもらったんです。私はもともと関節がズレやすい体質ですが、このクラブなら体への負担が少なくて6球をフルスウィングできる。今日の目標だった270ヤード越えはクリアできましたが、今年こそ300ヤード行けるようにガンバりたいです」(林)

画像: “日本一飛ばす受付嬢”としておなじみの林佳世子。272ヤードのビッグキャリーで「ウィメンズディビジョン」のチャンピオンに

“日本一飛ばす受付嬢”としておなじみの林佳世子。272ヤードのビッグキャリーで「ウィメンズディビジョン」のチャンピオンに

戦いに挑む林へ随所にアドバイスを送っていた師匠が、浦大輔(√dゴルフアカデミー/ヘッドコーチ)。浦も選手として大会にエントリーしている。他のドラコン選手たちに比べれば体のサイズは決して大きくないが、今シーズンの開幕時点で「チャンピオンズリーグ」の有資格者に名を連ねるロングヒッターだ。「オープンディビジョン」に出場したが、実のところ数日前から左肩を痛めてしまい左腕が上に上がらない状態。そこで一つの賭けに出た。

「いつもとは違うスウィング、一本足打法で挑みます。バックスウィングで左足を上げて、インパクトにかけて振り下ろす。普段は肩の回転とクラブの速度で飛ばしますが、今日は下半身のパワーと体重移動で飛ばしにいきます。ミート率がエラく落ちるリスクはありますが、出場するからには勝ちたいので。ドラコンでは“100%”じゃ勝てません。“120%”が必要なんです」(浦)

画像: 左肩を痛めて普段通りのスウィングができない浦大輔は、野球さながらの一本足打法でドラコンに挑んだ

左肩を痛めて普段通りのスウィングができない浦大輔は、野球さながらの一本足打法でドラコンに挑んだ

持ち前の勝負強さでステージ1を突破したが、戦いの後、限界を超えた左手は痙攣していた。

その「オープンディビジョン」を制したのは「6年越しの悲願達成」と喜ぶ近藤鉄也だ。なんと2位とは、たった1ヤード差の340ヤード。他のドラコン選手には体格で敵わないぶん、ギアをチューニングしてVを手繰り寄せた。HSは60m/s。

画像: 「オープンディビジョン」を制したのは近藤鉄也。“ノーフレックス”のシャフトで勝利をつかんだ

「オープンディビジョン」を制したのは近藤鉄也。“ノーフレックス”のシャフトで勝利をつかんだ

「勝因は、しなり戻るシャフトにあります。どの部分も同じようにしなる“ノーフレックス”のシャフトであり、ボクに合うようにシートを巻いて作ってもらったプロトタイプ。決して軟らかいんじゃなくて、しなってからスピードが出て戻ります。ただの軟らかいシャフトだと振り遅れたり球がフケちゃいますが、これは吹き上がりません。シャフトを大きくしならせてパワーをタメて、インパクトでヘッドが一気に加速する。このクラブで先日、初めて400ヤードを飛ばせたんです」

地元は広島県。この日は早朝3時に起きて、4時半から練習場で球を打ち、始発の新幹線を乗り継いで会場へ駆けつけた、レフティの橋本幸正(HS56~57m/s)。308ヤードをマークして「スーパーシニアディビジョン」で優勝した。

画像: 「スーパーシニアディビジョン」の勝者は308ヤード飛ばしたレフティの橋本幸正

「スーパーシニアディビジョン」の勝者は308ヤード飛ばしたレフティの橋本幸正

「ドラコンの諸先輩に打ち方の話を聞いたり、チャンピオン・南出さんの本を買って参考にしています。私は散髪屋をしていますが、立ち仕事なので足腰は鍛えられているはず。思いついたときに重いバーベルなどを持ち上げて、背中側を中心に筋トレしてます。仕事に影響が出ないようにね(笑)」(橋本)

出場選手の誰もが、自らのプライドをかけて、人生をかけて、ドラコンに挑んでいる。それでいながら、誰一人として悲壮感を漂わせることなく明るくフェアに戦い、勝者には惜しみない拍手を送り健闘を称え合う。そんな気持ちのいい“サムライ”たちが、7月の決勝大会ではどんなハイレベルでアツい戦いを見せてくれるのか、楽しみでならない。

※記事内の記録は「予選第7ブロック」です。

詳しい成績とエントリーの詳細はこちら

画像: www.golfdigest.co.jp
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撮影/三木崇徳

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