「USオープン」(アメリカ・ニューヨーク/本戦8月27日~9月9日/ハードコート)の男子シングルス準々決勝。

 ジョン・イズナー(アメリカ)は大きな体を折り曲げて両膝に肘をつき、顔をしかめて頭を左右に振った。

 彼は、その場から逃げ出したいようにも見えた。USオープンでの消耗する蒸し暑さの中で、フアン マルティン・デル ポトロ(アルゼンチン)とのゲーム差をどんどん引き離されていった。

 アメリカの男子選手として12年ぶりにUSオープンのベスト4に残るというイズナーの野望は、火曜日に潰えた。アーサー・アッシュ・スタジアムで、2009年のチャンピオンでもあり、今大会第3シードのデル ポトロに7-6(5) 3-6 6-7(4) 2-6で敗れた。

 気温は32℃を超え、3時間半の激闘をさらに厳しいものにした。50%を超える湿度も選手を苦しめた。このコンディションは前夜、世界ランク55位のジョン・ミルマン(オーストラリア)に敗れたロジャー・フェデラー(スイス)を襲ったものでもある。この夜はイズナーが高温多湿なコンディションに苦しみ、明らかに相手のデル ポトロよりも疲弊していた。

「外のコートや街はわからないけど、センターコートの湿度はそれらの場所よりもかなり高いと思う。対処するのが本当に難しい。ロジャーが汗をかく姿など見たことがない。もし、彼が大量に汗をかいてウェアを着替えているのなら、そこはかなり湿度が高いということだ」とイズナーは不満を口にした。

 この試合が厳しい条件の中で行われたのは、ジュニアの試合が数時間遅れたことも影響した。全米テニス協会(USTA)が導入した新たなヒートポリシーでは、男子は第3セットのあとに10分間の休憩を与えられる。だが、それはイズナーにとって何の助けにもならず、第4セットの立ち上がりから0-3とリードされてしまった。

 一方、デル ポトロは休憩時間にシャワーを浴びて、足首のテーピングを巻き直したという。

「それからテーブルの上で横になった。コートに戻りたくなかったよ」と微笑んだ。

 イズナーはこの試合で10回ほどシャツを着替えた。この試合で体重が3、4kg減ったのではないかと思ったという。

「犠牲になるのは選手たち。僕も、そしてフアンも。でもおそらく、彼のほうが少しだけうまく対処したと思う」とイズナーは語った。

 33歳のイズナーにとって、今季はブレークの年と言える。ハードコートで2つのタイトルを手にし、7月のウインブルドンで初めてグランドスラムのベスト4入りを果たした。そしてニューヨークで行われた今大会では、2011年以来となる準々決勝進出を果たした。

 アメリカの男子でこのステージの先へ進んだのは、もっとも最近でも2006年のアンディ・ロディック(アメリカ)となる。彼は2003年のUSオープンで、アメリカ男子として最後のグランドスラム優勝を果たしている。

画像: 顔に水をかけるフアン マルティン・デル ポトロ(アルゼンチン) 写真◎Getty Images

顔に水をかけるフアン マルティン・デル ポトロ(アルゼンチン) 写真◎Getty Images

 だが、今夜はイズナーの前にデル ポトロが立ちはだかった。

 そのサービスはイズナーと同じくらいの威力を発揮し、目の覚めるようなフォアハンドは、時速160km以上のスピードでイズナーを襲った。この試合でデル ポトロは安定感があり、アンフォーストエラーの数を14本に抑えた。それに対してイズナーは、3倍近い52本だった。

「彼が試合をコントロールしているとき、形勢を逆転するのはかなり難しい」とイズナーはその強さに脱帽した。

 ニューヨークでは基本的にイズナーが地元のサポートを受けるが、デル ポトロも熱狂的なアルゼンチン人の大声援をバックに戦った。水色と白の国旗がスタンドを彩り、同じ色のサッカー代表ユニフォームを着用した男たちが、“デルポ”コールと拍手で盛り立てた。

 このようなコーラスは、デル ポトロがブレークポイントをしのいだときなど、大事なポイントのあとにスタジアムに鳴り響いた。それでも第1セットを先取したのは、タイブレークをセンターへの時速212kmのサービスエースで制したイズナーだった。今大会、デル ポトロが初めてセットを失った瞬間でもあった。そこからデル ポトロが、3セットを連取して逆転したのだった。

 この試合は、第2セットの序盤が大きなポイントになった。イズナーのシャツと白いキャップは汗でびっしょりに濡れていた。ポイント間に頬を手で打ちつつ、深く息を吸っていた。そして、何度もスタンドにいるコーチの姿を探した。何より最悪だったのは、中途半端なハーフスイングが目立ち始めていたこと。フォアハンドをワイドに外し、1-3とブレークされた。

 ゲーム後半のエンドチェンジでは、イズナーはベンチにどしんと落ちるように腰かけた。キャップを脱ぎ、リストバンドを外して脇に放り投げた。シャツを脱ぎ、上半身裸のままアイスタオルを首に巻いて座っていた。

 この瞬間に突然暑さがイズナーを襲い、すべてのエネルギーを奪ってしまったかのようだった。26本のエースを放った力は消え失せ、それ以降は何もインパクトを残せなかった。

 当然、その後も試合を続け、第3セットは競った展開になったが、デル ポトロを追い込むことはできなかった。デル ポトロはグランドスラムで6度目、USオープンでは3度目となる準決勝に駒を進めた。

「すごくきつい試合だった。最後はどちらも力が残っていなかったよ」とデル ポトロは振り返った。

 金曜日に行われる準決勝では、第1シードのラファエル・ナダル(スペイン)と対戦する。ナダルはデル ポトロと16回顔を会わせ、11度勝利している。直近の3試合はすべてグランドスラムでの対戦で、すべてナダルが制している。昨年のUSオープン準決勝、今年6月のフレンチ・オープン準決勝、7月のウインブルドン準々決勝で、ウインブルドンでの対戦は5セットに及ぶ死闘だった。(C)AP(テニスマガジン)

※トップ写真はジョン・イズナー(アメリカ)
NEW YORK, NY - SEPTEMBER 04: John Isner of The United States reacts during the men's singles quarter-final match against Juan Martin Del Potro of Argentina on Day Nine of the 2018 US Open at the USTA Billie Jean King National Tennis Center on September 4, 2018 in the Flushing neighborhood of the Queens borough of New York City. (Photo by Elsa/Getty Images)

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