モード選択によってキャラクターが激変!

前のモデルのCB1000Rは実車を見たことはあるのですが、残念ながら試乗したことはないんです。前回に乗ったCB125Rがとても面白かったので、今回新しいCB1000Rに乗るのはとても楽しみでした。フレームのレイアウトはCB125Rに近いレイアウトですが、CB1000Rはプロアームになっているんですね。一方比較用のCBR1000RRはよく乗る機会があるので、同じ水冷1000㏄4気筒の乗り比べをするには、ちょうど良いモデルだと思います。

CB1000Rで走り始めのとき、選んだ走行モードはスタンダードでしたが、その後スポーツを試したら全然別物になりますね!CBRに乗っているときとフィーリングが変わらなくなるくらい、エンジンのキャラクターが豹変しますね。一番穏やかなレインとスタンダードの差は小さくて、スタンダードとスポーツの差が大きい印象です。スポーツでの走りは、フルパワーという感じでめっちゃ面白かったです!

画像: 左:CBR1000RR 最高出力:192PS/13000rpm 最大トルク:11.6㎏-m/11000rpm 税込価格:207万9000円(グランプリレッド) 右:CB1000R 最高出力:145PS/10500rpm 最大トルク:10.6㎏-m/8250rpm 税込価格:163万6200円

左:CBR1000RR
最高出力:192PS/13000rpm
最大トルク:11.6㎏-m/11000rpm
税込価格:207万9000円(グランプリレッド)
右:CB1000R
最高出力:145PS/10500rpm
最大トルク:10.6㎏-m/8250rpm
税込価格:163万6200円

電子制御スロットルで気になるのは「開け始め」と「閉じ始め」なのですが…

旧型CBRのエンジンをベースに低中速を強くしたのがCB1000Rのエンジン、と編集スタッフさんからは説明を受けましたが、やっぱり1000㏄あるのでピークパワーあたりまで使えば、パワーは十分引き出せます。CBRと比較すると、CB1000Rは6000rpmくらいからパワーとトルクの「厚み」がありますね。それが上まで続いている。明確なパワーバンドというより、その繋がりが良い感じです。

CB1000Rは公道を走る分には、CBRよりも確実に扱いやすいです。6000rpmから「ツキ」が良くなるのですが、このツキの違いは誰にでもわかるので、CBRでは峠道で乗せられているような人でも、CB1000Rは楽しく走らせることができると思いますね。

画像: 電子制御スロットルで気になるのは「開け始め」と「閉じ始め」なのですが…

CB1000RもCBRも電子制御スロットルを採用していますが、CB1000Rは良い意味でCBRに比べて全然電子スロットルっぽくないです。開け始めと閉じ始めの「燃え方」などをCBRと変えていて、非常に違和感のない自然な操作感になっています。電子スロットルの場合、操作していて一番気になるのはそこなんですが、CB1000R用は本当に良くできています。このあたりは2017年型のCBRよりも後発だから、新しい分扱いやすさが向上しているのかもしれませんね。

アルミカムアシストスリッパークラッチは、作動しているのが全然わからないくらいでした。そもそもエンジンブレーキの電子制御が自然で、そんなに極端にエンブレが効く感じではないです。スリッパークラッチがなくても大丈夫じゃないか、とも思うくらいです(笑)。

走行モードは「スポーツ」「スタンダード」「レイン」。それぞれのモードで、エンジンブレーキの効きが自然なので、特にユーザーモードでいじる必要は感じなかったですね。それくらい、適切な設定だと思います。

オートシフトに関しては、エンジン設計が新しいCBRのものの方が好みでした。CB1000Rはシフトダウン時にあまりオートブリッピングで回転数を上げない感じで、CBR用の方が自分の乗り方には合ってました。あと排気音もCBRのほうが吹け上がりの音が好みでしたね。CB1000Rも決して悪い音ではないですけど、CBRみたいな音にすれば良かったのに…という印象。

画像: 「今回走ったコースのような狭い峠だと、初心者の方ですとスーパースポーツのCBR1000RRは乗せられているという感じになってしまう人が多いと思いますが、このCB1000Rならどんなレベルのライダーでも走りを楽しめるんじゃないかな?」との伊藤さんの弁。

「今回走ったコースのような狭い峠だと、初心者の方ですとスーパースポーツのCBR1000RRは乗せられているという感じになってしまう人が多いと思いますが、このCB1000Rならどんなレベルのライダーでも走りを楽しめるんじゃないかな?」との伊藤さんの弁。

とはいえ、CB1000Rのエンジンは、良くしつけられていると思います。6000rpmからツキのある特性ですごく乗りやすいので、145馬力を普通に使えます。パワー的にも不足なく、自分にはちょうど良いパワー感ですね。エンジンの回り方も、フリクションを感じるようなことは皆無。芯が通っているような感覚で、低回転から高回転まで綺麗に回って気持ちいいですね。

出始めのころの2輪車用の電子制御は、不自然な感じが常につきまとう印象があり、そのために電子制御は嫌いと言う人もいるみたいですが、CB1000Rに関しては何の問題もないです。普段皆さんが乗っている4輪車にも電子制御がついてますが、そのことを意識することってないですよね? 今の2輪の電子制御はそのレベルまで来ているので、CB1000Rの電子制御の仕上がりについて文句言う人はいないだろう、と思いますよ。

車体の「ヨレ」や「ねじれ」が気持ちの良いフィーリングを生み出している!(伊藤)

今回の試乗は福島・裏磐梯で行ったのですが、移動で大雨の中、大関さんがCB1000Rに乗ってくれたんですよ。大丈夫かな? と心配したんですけど、その後で自分がCBに乗ってみて、なるほどこれならそんなに怖くないだろうな、と思いましたね。

CB125Rのときも感じたのですが、CB1000Rもやっぱりリアタイヤの接地感が優れていますね。スチールのモノバックボーンとアルミビボットプレートの構成は125と一緒ですが、当然CB1000Rは125ほど剛性的には柔らかくないです。でもリアタイヤの接地感が、手で路面を触っているみたいに伝わるのは同じですね。

CBRのアルミフレームとCB1000Rのフレームを比較すると、CBの方は高負荷がかかった状態でちょっとヨレるところがあります。峠道とかで切り返して行くときもちょっとした遅れがありますが、それが逆に気持ちいい「遅れ」になっているんです。125もそうでしたが、バンクしたままフロントブレーキをかけたときとか、切り返したときの「ねじれ」は人間のフィーリングと合うんです。

スチールフレームというとアルミフレームに比べ、コスト減らすために採用するというイメージを持つ人もいるかもしれませんが、CBのフレームはそういう理由ではなく、この接地感の良さとか、乗り味の良さとかを考えて採用していますね。CBは発進したときのリアの接地感と最初のサスの動きもすごく良いですが、リンクレスのモノサスでこういうしなやかな乗り心地ってなかなか出せないんです。リアサスのスプリングやダンパーが非常に考えられて作られているのでしょう。

125、250と違ってCB1000Rはスイングアームにプロアームを採用していますが、乗っていてプロアームということを意識することは、あまりなかったです。昔のRC30やRVF/RC45のプロアーム車は、当時レースで乗っているときは若干バネ下が重い印象がありました。ただその重さがトラクションに繋がった感じもしましたね。ホイールは軽い方がいい気がしますけど、スイングアームは軽ければいいと言うより、バランスが大事だと思います。

CBRは乗り慣れていますが、やはりCBから乗り換えると峠道では扱いづらいですね。サスの動き方やフレームの違いから、CBRの接地感はソリッドな感じです。速く走らせることはできますが、CBRはミスが許されないという感じですね。OEMタイヤはどちらもブリヂストンS21を履いていますが、CBRはちゃんとタイヤを温めてから行かないといけないけど、CBの方はすぐに走り出せそう。それくらい、接地感が違います。S21との相性も良いですね。

CB1000Rの走りは、リアがすべてを「支配」している印象です。もちろんフロントサスのチューニングも上手く、リア側とのバランスが取れています。この手のストリートファイター的なモデルはすぐにフロントが地面から離れようとするじゃないですか? CBはその離れるときの微妙なセッティングが絶妙で、伸びきったときにフロント側が振られて怖いということがないです。スプリングとか良く考えて設定しているのでしょう。

CB1000Rのフロント側は、ステアリングダンパーがついているように安定しています。今回は高速道路を走らなかったので高い速度域でフロントが振られたときどうなるかは試せなかったですが、自分の感覚では大丈夫だろうと思いました。

画像: 伊藤真一(いとうしんいち) 1966 年、宮城県生まれ。88 年ジュニアから国際A 級に昇格と同時にHRC ワークスチームに抜擢される。以降、WGP500 クラスの参戦や、全日本ロードレース選手権、鈴鹿8 耐で長年活躍。昨年は若手育成に携わりながらも、鈴鹿8 耐や全日本ロードに参戦。

伊藤真一(いとうしんいち)
1966 年、宮城県生まれ。88 年ジュニアから国際A 級に昇格と同時にHRC ワークスチームに抜擢される。以降、WGP500 クラスの参戦や、全日本ロードレース選手権、鈴鹿8 耐で長年活躍。昨年は若手育成に携わりながらも、鈴鹿8 耐や全日本ロードに参戦。

1100も1300ももちろん良いバイクですがCB1000Rは単純明快に面白いバイクなんです!(伊藤)

フロントブレーキはCBもCBRもトキコ製のキャリパーですが、自分はこのキャリパーに慣れちゃっているので、いつもの効き方だなという印象でした。ABSも備わっていますし、どちらもこれくらいの制動力があれば公道では十分だと思います。

ライディングポジションはグリップエンドが上がっていますけど、跨ってみると何の違和感もないですね。シートの乗り心地も良いです。悪いところ……探すのが難しいですね(笑)。ひとつ気になったのはサイドスタンド。足を引っ掛ける部分が、ステップが邪魔になって足が届きにくく、ちょっと下ろしずらい。不満はこれくらいしかないですね。

このモデルが出て、ホンダはリッターネイキッドがCB1100、CB1300と全部で3車種となりましたけど、CB1000Rが一番値段が高くて、1300SF、1100と20万円ずつくらい違うんですね。

CB1000Rは3台の中では如何様にもできる感じでは突出していますね。ストリートファイターのスタイリングも格好良いし、各パーツの質感もあって高級感もある。装備も電子制御、電子スロットル、クイックシフター、ABSなどイマドキの最新型スポーツについているものはすべて採用されているわけですから、十分価格に見合った価値はあります。

1100も1300ももちろん良いバイクです。でも2台に比べるとCB1000Rは単純明快に面白いバイクと言えるでしょうね。自分はやっぱり馬力が欲しいときがあるので(笑)、3機種でどれか1つとなったら、CB1000Rを選んでしまいますね。

同じ水冷1000㏄のCBRと比べてみた場合ですと、CB1000Rはカウルが付いていないのでより峠向きのバイクだと思います。カウルがない分フロント側が軽くて軽快だし、まともに風圧を体に受ける分「スピード」を感じて楽しめます。多分、ギアを3速まで使うような峠道なら、CB1000Rの方がCBRよりも速いと思いますよ。

画像: 1100も1300ももちろん良いバイクですがCB1000Rは単純明快に面白いバイクなんです!(伊藤)

街中からツーリング、そしてスポーツモードを選択すればCBRより峠道を速く走れるだけのポテンシャルがある……。ひと昔前のネイキッドは、スポーツライディングでスーパースポーツのように走るのは無理でしたけど、CB1000Rはそれができちゃいます。狭い峠道でも破綻することなく走りが楽しめる。今回は気温が10℃を下回った寒い日の中での試乗でしたが、暖かい日に改めてCB1000Rに乗ってみたいですね。

DETAILS

画像: HONDA CB1000R 新しいCB-Rシリーズの最高峰モデル。旧CBR1000RR(SC57)を母体とするエンジンに4種類のライディングモードを持つ「Hondaセレクタブルトルクコントロール/エンジンブレーキ」を組み合わせている。またアルミカムアシストスリッパークラッチ、クイックシフターも標準装備。フレームは高張力鋼モノバックボーンと新構造のアルミピボットプレート、そしてアルミダイキャスト製シートレールで構成されている。

HONDA CB1000R
新しいCB-Rシリーズの最高峰モデル。旧CBR1000RR(SC57)を母体とするエンジンに4種類のライディングモードを持つ「Hondaセレクタブルトルクコントロール/エンジンブレーキ」を組み合わせている。またアルミカムアシストスリッパークラッチ、クイックシフターも標準装備。フレームは高張力鋼モノバックボーンと新構造のアルミピボットプレート、そしてアルミダイキャスト製シートレールで構成されている。

SPECIFICATION
●全長×全幅×全高:2120×790×1090㎜
●ホイールベース:1455㎜
●シート高:830㎜
●車両重量:212㎏
●エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
●総排気量:998㏄
●ボア×ストローク:75.0×56.5㎜
●圧縮比:11.6
●最高出力:145PS/10500rpm
●最大トルク:10.6㎏-m/8250rpm
●燃料タンク容量:16L
●キャスター角:25゜00′
●トレール量:100㎜
●タイヤサイズ(前・後):120/70ZR17・190/55ZR17
●ブレーキ形式(前・後):φ310㎜ダブルディスク・φ256㎜ディスク
■価格:163万6200円

画像: 「見た目CB1000Rは腰高な印象ですが、実際跨ってみると若干腰高という感じで、そのことで体が前に行ってフロント側を押すとか、そういう変な違和感は全然ないですね。ハンドルのグリップエンドがちょっと上がっているのが面白いと思いましたが、ライディングポジションは実に自然でしたね。当然CBR1000RRはCB1000Rよりも前傾のライポジになりますけど、この手のスーパースポーツとしては自由度があって快適ですね。 ライダー身長:179㎝、パッセンジャー身長:172㎝

「見た目CB1000Rは腰高な印象ですが、実際跨ってみると若干腰高という感じで、そのことで体が前に行ってフロント側を押すとか、そういう変な違和感は全然ないですね。ハンドルのグリップエンドがちょっと上がっているのが面白いと思いましたが、ライディングポジションは実に自然でしたね。当然CBR1000RRはCB1000Rよりも前傾のライポジになりますけど、この手のスーパースポーツとしては自由度があって快適ですね。 ライダー身長:179㎝、パッセンジャー身長:172㎝

画像: 伊藤さんが気に入ったのは、エンジンのフィーリングと電子制御の仕上がり。「電子スロットルで一番気になる開け始めと閉じ始めの"燃え方"がいいですね。エンジンはフリクションなく綺麗に回ります」

伊藤さんが気に入ったのは、エンジンのフィーリングと電子制御の仕上がり。「電子スロットルで一番気になる開け始めと閉じ始めの"燃え方"がいいですね。エンジンはフリクションなく綺麗に回ります」

画像: 「リンク式ではないですが、最初の動きがすごく良いです。リンクレスでは今までこういう乗り心地ってなかなか出せなかった」と伊藤さんが大絶賛するショーワ製リアサス。

「リンク式ではないですが、最初の動きがすごく良いです。リンクレスでは今までこういう乗り心地ってなかなか出せなかった」と伊藤さんが大絶賛するショーワ製リアサス。

画像: フランジレス製法の燃料タンクは高級感に溢れる。伊藤さんも「凝った作りで良いですね。側面のえぐりもライポジ的にフィットする形状です」と高評価。

フランジレス製法の燃料タンクは高級感に溢れる。伊藤さんも「凝った作りで良いですね。側面のえぐりもライポジ的にフィットする形状です」と高評価。

画像: 「エンブレが自然」と伊藤さんが評価するCB1000Rのエンジン。ただオートシフトに関しては、「シフトダウン時はあまり回転上げない感じ。CBR1000RR用の方が好みですね」と評価した。

「エンブレが自然」と伊藤さんが評価するCB1000Rのエンジン。ただオートシフトに関しては、「シフトダウン時はあまり回転上げない感じ。CBR1000RR用の方が好みですね」と評価した。

画像: 「CBRは峠道では乗り手を選びますね。どの場所でもCBRのほうが+10㎞/ほどCB1000Rよりスピード出るので、速いですけどね」。CBR1000RRは、乗りこなす喜びを見いだせる人向きか?

「CBRは峠道では乗り手を選びますね。どの場所でもCBRのほうが+10㎞/ほどCB1000Rよりスピード出るので、速いですけどね」。CBR1000RRは、乗りこなす喜びを見いだせる人向きか?

PHOTO:柴田直行、まとめ:宮崎健太郎

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