写真上=WBSSバンタム級で復活をかけるノニト・ドネア(写真◎Getty Images)

 実は欧米のビッグファイトはウィークエンド、とりわけ土曜日に集中して開催される。だから、海外ボクシングの熱心なファンの週末は大忙しなのだ。WOWOW、DAZNで生中継される試合はもちろん、どこかでネット中継をゲットできるのなら、ぜひともお勧めのカードや注目の選手を紹介したい。なお、試合は直前になって中止や変更になるケースもあるので、そこのところは承知願いたい。(文◎宮崎正博)

11月3日/グラスゴー(イギリス)

★WBAスーパー世界バンタム級タイトルマッチ12回戦
ライアン・バーネット(イギリス)対ノニト・ドネア(フィリピン)

WBSSバンタム級でトップシードにつけるライアン・バーネット(写真◎Getty Images)

 今週、もっとも注目したいのは土曜日(3日)、イギリスはスコットランド、グラスゴーのSEEハイドロで行われるWBSSのファーストラウンド2試合である。とりわけ、バンタム級の一戦は、日本のファンにとっても井上尚弥(大橋)の近将来のライバルを見極める上でも興味深い戦いだ。なにしろ、豪快なKO劇を連発し、“フィリピーノ・フラッシュ”の愛称で日本でも数多くの“信者”を持つノニト・ドネアが登場するのだ。

 ドネアにとってこの戦いは最後の大冒険になるのだろう。なにしろ7年ぶりのバンタム級の戦いになる。試合の2週間後には36歳になっている大ベテランにとっては、なんとも大胆過ぎる選択だが、それも“もう一度、輝きたい”と願う大ボクサーの執念なのかもしれない。

 WBAスーパーとWBCダイアモンドベルトをかけて対戦するのは、ライアン・バーネットだ。わずか19戦(全勝9KO)でIBFとWBAスーパーのベルトを統一した俊才は、最近やや評価が下がり気味。確かに一撃豪打の迫力もなく、しぶとくペースに食い下がる戦いぶりも見栄えがしない。それでも、対戦者の出方を見極め、きわどくラウンドを奪っていく試合運びができるのは、そのハイセンスがあってこそ。その上、徹底した負けず嫌いときている。

 ドネアに加齢や減量苦による弛みが少しでも見えるようなら、バーネットが一方的に試合を支配するかもしれない。

★スーパーライト級12回戦
ジョシュ・テイラー(イギリス)対ライアン・マーティン(アメリカ)

スコットランドのニュースター、ジョシュ・テイラーはWBSSスーパーライト級の台風の目だ(写真◎Getty Images)

 当日、会場をもっと熱くしそうなのが、地元スコットランドのニュースター、ジョシュ・テイラーだ。こちらはスーパーライト級でWBSS初戦を迎える。テコンドーのイギリス・チャンピオンからボクシングを始め、アマチュアで英連邦大会の金メダリストになってからプロ転向。ここまで13戦(全勝11KO)と短いキャリアながら、その勢いたるやすさまじい。イギリスの無敗ホープ対決でオハラ・デービスをTKO、守りの強さならピカイチのミゲール・バスケス(メキシコ)にボディショットでフルカウントを聞かせ、手練れの技巧派ビクトル・ポストル(ウクライナ)にもダウンを奪って大差判定勝ち。勇躍挑んだWBSSでも優勝候補の筆頭だ。

 マーティン(22戦全勝12KO)はやや地味ながら、深い懐をうまく使って、巧みにペースメイクする。そんな仕掛けにはまると少々やっかいだが、ここは“タータン・トルネード” テイラーが、圧倒的な攻撃力で粉砕していく可能性が強い。

 前座には24歳のホープ、ザック・パーカー(イギリス=16戦全勝11KO)、カムバックを期すビクトル・ポストルも出場するが、しっかりと見届けたいのはポール・バトラー(イギリス)か。この元IBFバンタム級チャンピオンは前戦でエマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)に完敗しているが、WBSSトーナメントの控え選手としても登録されている。準決勝出場者に負傷があれば、そこに登場してくる可能性もある。この日に対戦するヨアン・ボワイエ(フランス)は井上がいとも簡単になぎ倒した相手だが、さて、バトラーはどんな戦いを見せるのか。

11月3日/エルパソ(アメリカ・テキサス州)

★WBC世界スーパーフェザー級タイトルマッチ12回戦
ミゲール・ベルチェルト(メキシコ)対ミゲール・ローマン(メキシコ)

三浦隆司に引導を渡したミゲール・ベルチェルト。久々にアメリカのリングに立つ(写真◎Getty Images)

 昨年、三浦隆司(帝拳)を破って以来、メキシコに帰ったままだったベルチェルトが、16ヵ月ぶりにアメリカのリングに立つ。その間、いささか軽すぎる挑戦者ばかりだったが、4度目の防衛戦の相手は少しばかり危険だ。

 32歳になるローマンは実に頑丈である。その上、パンチはやたらと重い。荒々しい喧嘩殺法でこれまで72度も戦い、60勝47KOをマークしている。ここ7年間で、負けたのは三浦隆司の豪打に屈した一度きりだ。

 ベルチェルトがその長いリーチを利したアウトボクシングで、注意深く戦えば十分にさばけるはずだが、ひとたび油断すれば、乱打の雨に沈むことになる。慎重な相手選びで、もうひとつ影の薄い存在になっている26歳のチャンピオンは、ここでかっこよく勝っておきたい。

 前座では不敗(21勝15KO1分)のサウル・ロドリゲス(アメリカ)が20ヵ月ぶりに帰ってくる。スマートな試合運びと切れ味鋭い左フックで注目されながら、格下相手に思わぬ苦戦で評価を落としたままリングを留守にした。久々の実戦の相手はこのところ3連敗のクラウディオ・ロセンド・タピア(アルゼンチン)。まずは帰還祝いの派手な勝利を見てみたい。

 8回戦にはリオ五輪ライト級の覇者ロブソン・コンセンサン(ブラジル)、6回戦にはカザフスタンのアマチュアスター、ジャニベク・アリンカムリー(ミドル級=リオ五輪出場、2013年世界選手権優勝)も出場する。着実な足取りでキャリアを積み立てたい。

まだまだあるぞ! 注目カード
期待の新星が続々登場

 ビッグイベントではないが、アメリカ東海岸の老舗プロモーション、メインイベンツがニューヨーク・ブルックリンで打つ3日のカードは、なかなかマニア向き。メインイベントはサリバン・バレラ(キューバ)対ショーン・モナハン(アメリカ)のライトヘビー級10回戦。アンドレ・ウォード、ドミトリー・ビボルには敗れたが、安定した力を持つバレラが、かつて世界ランクの常連だった37歳の大ベテラン、モナハンにどんな勝ちっぷりを見せるのか。

 注目のボーン・アレクサンダー(アメリカ)に初黒星を与えて中堅クラスから再浮上のダグ・ドーリン(アメリカ=スーパーミドル級)もメキシコの古株サウル・ローマン相手に力試し。素質が買われている9戦全勝7KOのラショーン・ロドリゲス(アメリカ=ミドル級)、13戦全勝7KOのカシアス・チェイニー(アメリカ=ヘビー級)も出場する。

 アル・ヘイモン傘下のエリートだったスーパーウェルター級、ジャスティン・デローチ(アメリカ)はこのところの連敗で出直し。やはり3日、故郷ジョージア州アトランタのカードで出直しファイトを行う。身長185cmの豊かな長身をうまく生かせれば、まだ24歳と若いだけに成長できるはず。格下のケニア人マイケル・オディアンボ相手の8回戦は、楽々とクリアしたい。

 フランスのオルヌ県アランソンのカードでは、リオ五輪女子ライト級金メダリストのエステル・モスレ(フランス)がプロ2戦目(8回戦)を行う。五輪では三色旗を織り込んだヘアスタイルがとってもおしゃれで、手堅い技巧も出色だった。プロではライバルのケイティ・テイラー(アイルランド)が早くも世界チャンピオンとなるなど大疾走しているが、モスレは追いつけるだろうか。パートナーのトニー・ヨカ(リオ五輪スーパーヘビー級金メダル)も早くもスターになっているだけに、妻も負けられないところ。

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