自動車博物館の楽しみのひとつに「他では見られないクルマとの出会い」がある。愛知県長久手のトヨタ博物館にはそんな出会いが感じられるクルマがずらりと並んでいる。中でもトヨタ自動車の乗用車第1号とされる「トヨダAA型」には思わず見とれてしまうことだろう。(Motor Magazine 2016年7月号より)

トヨダAA型は国産車の歴史の始まり

1930年代と言えば、アルファロメオがミッレミリアやタルガフローリオを制し、メルセデス・ベンツがグランプリを席巻し、BMWが328というスーパーマシンでル・マンなどで活躍していた時代。

欧州ではすでに自動車文化が花開いていた頃、日本では、豊田自動織機を興した豊田佐吉の息子、豊田喜一郎は「これからは自動車の時代だ」と、乗用車の開発に乗り出すところだった。80年前のことである。こうして誕生した「トヨダAA型」は、日本では製造技術もままならない時代に、1400台あまりが生産されている。その後、太平洋戦争の荒波に飲まれて自動車生産どころではなくなるが、この頃からすでにトヨタのクルマ作りは始まっていたのだ。

トヨダAA型は、1936年10月に発売されたトヨタ自動車初の乗用車。エンジンはシボレー・マスター・シリーズDAの直6OHVを参考に作り上げられ、ボディはすでに空力を取りれていたデソート・エアフロー・シリーズSEを範にデザインされていた。

こうして1500㎏のボディに65psのエンジンながら3速のMTを介して実測100㎞/hを実現。インチ単位で設計され、ボディの塗料にはいち早くデュポン製ラッカーを用いるなど先進性にも富んでいた。また、ダッシュボードのウッドは豊川稲荷山門の欅の木目、アシストグリップは組紐を用いるなど和のテイストも盛り込んでいた。

トヨタ博物館には、当時の資料を元にトヨタ自動車の特別な部署で復刻された車両が、同時代に生まれた欧米の名車とともに並んでいる。時代背景を感じながら、トヨダAA型を見るのも楽しい。

画像: 当時の資料によると「価格は3350円と高価だった」とある。

当時の資料によると「価格は3350円と高価だった」とある。

画像: スピードメーターは100マイル/hを意識して150㎞/hまで刻まれている。

スピードメーターは100マイル/hを意識して150㎞/hまで刻まれている。

画像: ドアは観音開き、ソファのようなシートが時代を感じさせる。

ドアは観音開き、ソファのようなシートが時代を感じさせる。

トヨダAA型(1936年式)

主要諸元 ●全長4785mm×全幅1730mm×全高1736mm ●ホイールベース2850mm ●エンジン水冷直列6気筒OHV ●排気量3389cc ●最高出力65ps/3000rpm ●車両重量1500kg

トヨタ博物館

日本最大級の自動車ミュージアム。トヨタ創立50周年を記念して1989年に開館した。自動車の歴史を伝える施設として、今回紹介したトヨダAA型、トヨペットスーパーRHN型、トヨペットクラウンRS型、トヨペットマスターRR型をはじめ、トヨタ2000GT、1600GT、セリカなどトヨタの名車のほか、1951年式ジャガーXK120、1955年式メルセデス・ベンツ300SL、1955年式フォード・サンダーバードなど、国内外、世界の名車を約160台展示している。欧米車、日本車とりまぜて時系列に展示する常設館のほか、企画展示、日本車コーナー、ライブラリー、生活文化展示などもあり、1日ではとてもすべて見ることができなほどの充実ぶり。クルマ以外にも、芸術的なカーマスコットを展示したコーナーなどもあり、行くたびに新鮮な出会いがある。

画像1: トヨタ博物館
画像2: トヨタ博物館

●住所:愛知県長久手市横道41-100 
●入館料:大人1000円、シルバー500円、中高生600円、小学生400円
●休館日:毎週月曜日(祝日の場合は翌日)および年末年始、開館時間9時30分〜17時(入館受付は16時30分まで) 
●駐車場:あり
●問い合わせ先:☎0561-63-5151
●アクセス:地下鉄東山線藤が丘駅よりリニモに乗り換えて芸大通駅下車、徒歩5分。クルマの場合は、名古屋瀬戸道路、長久手ICより西へ0.4kmグリーンロード沿い。東名名古屋IC、名二環状本郷ICより東へ4kmグリーンロード沿い。
●展示車両は入れ替えの場合あり。

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