旅好きセレクターによる、旅へと誘う本をご紹介! 今回は、「かもめブックス」店主の柳下恭平さんに選書してもらいました。

 

本は旅のスパイスに。

本を読むだけの人間を、僕は信用することができない。うん、ちょっと言い過ぎたかもしれない。でも、たしかに、本には世界の秘密の半分が書かれているかもしれないけれど、当たり前だけれど、残りの半分は書かれていないからね。それは、音楽だったり、恋人だったり、映画だったり、日々の食事だったり、特別な食事だったり、友人との会話だったり、エトセトラエトセトラ、そのようなものから得ることができると思う。大切なのはインプットのバランスだ。
 

画像1: 本は旅のスパイスに。

グレープフルーツ・ジュース
オノ・ヨーコ 著/講談社文庫(1998年)
「想像しなさい」「聴きなさい」といった言葉で著者の美意識を表現した詩集。名曲「イマジン」を生み出すきっかけにもなった。

だから、僕は旅が好きだ。旅は、受動的でも、能動的でも、自発的でも、迎合的でも、豪遊でも、清貧でも、ひとりでも、友人でも、少し緊張する関係性でも、歩いても、自転車でも、モーターバイクでも、レンタカーでも、自家用車でも、列車でも、飛行機でも、いかなる組み合わせでもあり得るし、組み合わせによってまったく違うものになる。そこがいい。
 

画像2: 本は旅のスパイスに。

ニューヨークで考え中
近藤 聡乃 著/亜紀書房(2015年)
2008年に単身でニューヨークへ渡り、海外一人暮らしを始めた筆者の徒然日記。6年間の日々のあれこれを1話完結型で綴る。

同じ場所に行って、帰ってくるだけでも、自分の気持ちと、旅の仲間と、移動手段で全く異なる体験になる。そして、僕は知っている。そのコンビネーションにさりげないスパイスを混ぜるとしたら、それは本だっていうことを。
 

画像3: 本は旅のスパイスに。

黒祠の島
小野 不由美 著/新潮文庫(2007年)
作家葛木志保の失踪をきっかけに連続殺人が発生。その真相とは? 嵐の夜に孤島で巻き起こる猟奇殺人を描いた本格派ミステリー。

旅先で読んだ本は、いつもとは全く違う読み心地がして、たった一行を読むためにでも、僕は本を持っていくのが好きだ。旅をするだけの人間を、僕は信用することができない。うん、それは言い過ぎかもしれないけれど、本があれば、尚、旅は味わいが深くなるから。

 

PROFILE

柳下恭平 Kyohei Yanashita
書籍校閲専門会社「鷗来堂」代表。書店「かもめブックス」店主。世界中を放浪したのちに、編集者から校閲者に転身し、現職。

 
●情報は、2018年10月現在のものです。
Photo:Toru Oshima

 

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