54ホールの短縮競技となった三井住友VISA太平洋マスターズ。松山英樹の久しぶりの日本ツアー参戦でも話題となったこの試合を制したのは、34歳の額賀辰徳。日本ツアー屈指の飛ばし屋として知られる額賀のスウィングを、現地で取材したプロゴルファー・中村修が解説する。

練習日、額賀のショットは“大荒れ”だった

一度でも実際の打球を見たことがある人ならご存知の通り、額賀辰徳選手はキャリーで300ヤード飛ばせる数少ない日本人プレーヤーの一人。その弾道は非常に高く、はるか300ヤード以上先に着弾する弾道は、目で追うのも難しいくらいです。

額賀選手が凄いのは、それだけ飛ぶにも関わらず、ドラコン選手のようなスウィングではなく、ごくオーソドックスなスウィングで飛ばしていること。スウィングの特徴はゆったりと動いているのにヘッドスピードが速い効率のいいところ。

画像: 平均飛距離は306.50ヤードで1位。飛ばし屋がついに栄冠を手にした

平均飛距離は306.50ヤードで1位。飛ばし屋がついに栄冠を手にした

この額賀選手、先週火曜日の指定練習日に、松山英樹、宮里優作、佐藤太平の3選手と4人で練習ラウンドをしており、私も(正直に申し上げて)松山選手目当てでその組について歩きました。

その週勝つ選手は練習日から調子の良さがうかがえるものですが、これも正直に申し上げて、その時はまさか数日後に初優勝を遂げるとは思えないほどボールが散らばっていました。そこからどうやってショットを立て直し他のか。優勝後のインタビューで聞いてみました。

「ツアーも終盤で焦っちゃっていたところもあって、(1週前の)平和PGMでデータや方向性はよかったのに、今週また月、火で違うことをやり始めてボロボロだったんですよ。そこでいろいろ考えて、(松山)英樹ともちょっと話したりして、沖縄でやっていたことを続けて行ったほうがいいじゃないかってことで、そこからまた練習を立て直してやっていました」(額賀)

平和PGMで良かった→練習日の月・火は違うことをやってボロボロ→それ以降平和PGAで良かったことに戻した、という流れだったようです。

火曜日は雨のせいもあって9ホールでラウンドを終え、そのあと練習場では宮里優作選手にも指導してもらいながら、みっちり練習していました。インタビューにあるようにそこから立て直すことができたようです。

では、具体的にはどのような取り組みをしたのでしょうか。それは、インパクトを点ではなく、ゾーンで迎えるイメージへの変更だそうです。

写真2を見てください。最終日の16番のドライバーでのティショットの写真ですがインパクト後にフェースがまだ真っすぐに動いているように見えます。イメージ通りフェースの開閉を抑えてゾーンでとらえていることがわかります。

画像: 写真2。インパクト後もフェースをグッと押し込んでいるように見える

写真2。インパクト後もフェースをグッと押し込んでいるように見える

フェースの開閉を少なくした分を体の回転量を増やすことで補えば、飛距離は落ちません。方向性もよくなるし、手先を使う意識が少ないので距離感を出しやすくなることもメリットです。飛距離が落ちさえしなければ、基本的にはメリットの多い打ち方だと言えます。インパクトでは左の腰が回り、お腹でヘッドを押しこむような感覚になると思います。

スウィング中にフェースを開閉させることが苦手な人、開閉のタイミングがまちまちで方向性が安定しない人はこの感覚を試してみる価値はあると思います。PWのハーフショットくらいからフェースの向きをキープする意識で始めてみると感覚をつかみやすいです。方向性を重視する林から脱出などの際にも使えますのでできるに越したことはありません。

34歳と遅咲きの初優勝となりましたがそのポテンシャルは折り紙付き。兄貴と慕う宮里優作の姿を追って海外ツアーも視野にいれながらも、それは日本で結果を出してからと、足元を見つめることも忘れていません。

キャリーで300ヤードを超える大器の初優勝。初優勝までには時間がかかりましたが、まだまだ世界で戦うための時間はたっぷりと残っているのではないでしょうか。

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