旅好きセレクターによる、旅へと誘う本をご紹介! 今回は、精神科医の星野概念さんに選書してもらいました。

 

ぼくが旅に出る理由、
ときどきためらう理由。

ここ1年くらいは国内の様々な場所に、1泊とか日帰りで出かけています。旅の習慣がなかった自分に、きっかけを与えたのは酒です。ハマるとどこまでも知りたくなる性質が自分にはあるようで、日本酒を好きになって飲み倒しているうちに友人の輪が広がり、酒蔵に行って話を聞いたり、旅先で好みの飲食店を知ることに強い喜びを覚えるようになりました。最近は酒の歴史をたどり、古事記を読んで神社を巡り始めています。
 

画像1: ぼくが旅に出る理由、 ときどきためらう理由。

ポテト・ブック
マーナ・デイヴィス著 伊丹十三 訳/河出書房新社(2014年)
最も美味しいポテトの食し方をユーモラスなイラストで表現した料理本。ポテトにまつわるすべてが伊丹流の洒脱な訳で綴られている。

今回選書するにあたり、酒のように自分の旅ごころを刺激する本を選びました。1冊目は『ポテト・ブック』。伊丹十三訳というだけで購入した、ポテト愛に溢れたポテト料理の本です。伊丹十三はアメリカのポテト料理を「百発百中、絶対にうまい」といいます。今のところ、自分はポテト料理をあまり好きではありませんが、これを読んでいるとアメリカに行って確かめたくなるのです。
 

画像2: ぼくが旅に出る理由、 ときどきためらう理由。

かわ
加古里子 作・絵/福音館書店(1962年)
小さな流れは、いつしか大きな川になる。一つの川をめぐる自然と人間の営みを横長の画面いっぱいに細部まで描き込んだ絵本。

2冊目は『かわ』。加古里子の科学絵本のファンですが、『かわ』では、川が上流から下流まで流れていくさまが精緻に描かれています。中流くらいの描写がのどかで、人々の表情も豊か。眺めていると、こんな場所に行ってみたいと思うのです。
 

画像3: ぼくが旅に出る理由、 ときどきためらう理由。

ムーたち①②
榎本俊二 著/講談社(2006年,2007年)
父、虚山実が息子無夫の子供ならではの深淵な問い掛けに答える物語。じっくり噛み締めるほどに、生きる幸せが実感できる一冊。

3冊目は、思考だけで宇宙みたいなところまで連れていってくれる『ムーたち』。自分にとって、こんなに思考が自由になる本は他になく、その副作用か、読むといまだに「あぁ、外に出なくてもいいな」と、思考の旅に思いっきり身を委ねたくなります。

 

PROFILE

星野概念 Gainen Hoshino
精神科医。ミュージシャンなど。総合病院に勤務する傍ら執筆も行う。著書に、いとうせいこうとの共著『ラブという薬』がある。

 
●情報は、2018年11月現在のものです。
Photo:Toru Oshima

 

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