まるで“釣り人”のようなへんてこなフィニッシュでSNSを騒がせたチェ・ホソンが「カシオワールドオープン」で5年ぶりに優勝を挙げた。彼はなぜあのようなフィニッシュをとるのか? プロゴルファー・中村修がそのスウィングをじっくり分析した。

「自分も45歳になってもう少し飛ばさないといけないと考えてきました」

その独特の動きを見せるスウィング映像を見たジャスティン・トーマスが、「僕も真似してみようかな」などとSNS上で発信したことで、一躍“時の人”となったチェ・ホソン選手。

トーマスならずとも、気になる選手の一人だったので、9月の「アジアパシフィックダイヤモンドカップ」の会場で話を聞いていました。彼が今スウィングで考えているのは、とにかく“回転”だと言います。

画像: 今年男子ツアーでもっとも注目された選手の一人といっても過言ではないチェ・ホソン。ついに勝利を手にした(写真はマイナビABCチャンピオンシップ 撮影/姉崎正)

今年男子ツアーでもっとも注目された選手の一人といっても過言ではないチェ・ホソン。ついに勝利を手にした(写真はマイナビABCチャンピオンシップ 撮影/姉崎正)

「やっぱり若い人は飛ばすし、自分も45歳になってもう少し飛ばさないといけないと考えてきました。深くバックスウィングして、回転を強くしようと工夫してきました。強くインパクトするよりも回転を意識しています」(チェ・ホソン)

スタッツを見てみると2013年の日本ツアーにデビュー当時は270ヤードほど。その間世界中でプロの飛距離アップが加速し、300ヤードが当たり前となる中、2016年には267.59ヤードと少しずつ飛ばなくなっていました。

それが、2017年には276.23ヤード、2018年には282.25ヤードとかつての飛距離以上に飛ばせるようになっており、それが成績にも結びついているようです。

いったい“虎さん”はいかにして飛距離アップに成功したのでしょうか。フィニッシュに注目が集まるチェ・ホソン選手の、スウィング全体を分析してみたいと思います。

画像: アドレスは右足を引いたクローズスタンス

アドレスは右足を引いたクローズスタンス

まず、アドレスで注目したいのが極端なクローズスタンス。右足を引いたクローズスタンスはテークバックで体が回りやすくなる半面、フォローでは左足がブロックしてしまい回転しにくいデメリットもあります。チェ選手の場合、テークバックでの力感は感じられず、楽にバックスウィングできるメリットを重視しているようです。

画像: 極端なクローズスタンスで構えていることもあり、テークバックはスッとラクに上げているように見える

極端なクローズスタンスで構えていることもあり、テークバックはスッとラクに上げているように見える

非常に特徴的なのは切り返しです。トップの位置に収まる寸前、頭の位置が帽子ひとつ分くらい下がるほど、左足をグッと踏み込んでダウンスウィングに入っているのがわかると思います。こうすることで、上半身と下半身の捻転差が生じ、それが飛距離につながっています。

画像: 強烈に沈み込むダウンスウィング! 左ひざに注目すると、このときから左サイドの回転がはじまっていることがわかる

強烈に沈み込むダウンスウィング! 左ひざに注目すると、このときから左サイドの回転がはじまっていることがわかる

そこからはひたすら体の左サイドを回し続けるのがチェ選手のスウィングのもうひとつの特徴。左ひざをうまく外側に逃がすように使いながら、左足かかとに体重を乗せるように、左サイドを回し続けます。

画像: 左ひざを上手く逃しつつ、左足かかとに体重を乗せていく

左ひざを上手く逃しつつ、左足かかとに体重を乗せていく

試してもらえるとわかると思いますが、左足かかとに体重を乗せるようにひたすら体を回し続けると、フィニッシュでは自然と左足一本立ちになり、釣り竿で大物を釣り上げたようなフィニッシュになります。

当たり前の話ですが、チェ選手の“フィッシャーマンズスウィング”は「あのポーズをしよう」としてやっているわけではなく、とにかく積極的に体を回し続ける、その意識の帰結。実際、45歳にしてそれで飛距離を伸ばし、優勝の美酒まで味わっているんですからアッパレの一言です。

画像: 左サイドを回し続けた結果、左足一本で魚を釣り上げたようなフィニッシュに

左サイドを回し続けた結果、左足一本で魚を釣り上げたようなフィニッシュに

インターネット上では、最初はチェ選手のスウィングを笑って見ていた海外のゴルフファンが、今回の優勝に「誰も彼のスコアを笑うことはできない」などとコメントしているのを見かけました。個性で注目を集め、結果でリスペクトを得る、これぞプロです。

さて、体に負荷の少ないバックスウィングからターゲット方向に向けて力を出し切るスウィングは、強いていえば谷口徹選手と同じタイプと言えます。年齢を重ねてきて飛距離が落ちてきたと感じる人は、思い切ってクローズスタンスに構え、ラクなバックスウィングからのスムーズな回転をイメージしてみてはいかがでしょうか。

とくに、フィニッシュで右足に体重が残るタイプのゴルファーは、ぜひチェ・ホソン選手の“フィッシャーマンズスウィング”の、イメージだけでも取り入れてみてはいかがでしょうか。15ヤードとは言わずとも、飛距離が伸ばせる可能性はありますよ。

連続写真撮影トーナメント/アジアパシフィックダイヤモンドカップ

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