国内男子ツアー最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」は小平智の優勝で幕を閉じた。マスターズ翌週のPGAツアー「RBCヘリテージ」で初優勝を挙げて以降は苦しい時期もあったが、さすがの実力を示した小平。その世界基準のショット力を、プロゴルファー・中村修が解説。

圧巻だった小平の上がり3ホール

見事なプレーを見せた小平智選手。いわゆるゾーンに入っていたと言っていいのではないでしょうか。とくに勝負どころの上がり3ホールでのパフォーマンスは見事なものがありました。

ティショットをややミスし右の斜面からピンを狙って惜しくもパーに終わった16番、2打目をピンを一直線に狙い、イーグルパットをオーバーさせてバーディを奪った17番パー5、やはり果敢にピンを攻めてバーディ逃しのパーでおさめた難関の最終18番と、非常にアグレッシブなプレーで観客を魅了してくれました。

画像: 国内最終戦を優勝で締めくくった小平智。世界レベルのショット力を示した(写真はJTカップ3日目)

国内最終戦を優勝で締めくくった小平智。世界レベルのショット力を示した(写真はJTカップ3日目)

スコアは驚異の64(パー70)と、この試合のベストスコア。クラブハウスリーダーとしてホールアウトした姿は、さすがはPGAツアーで勝った選手、という凄みがありました。

さて、小平選手はすでに開幕しているPGAツアーの2018-2019年シーズンに数試合参戦しています。そのスタッツを見ると、持ち味であるドライバーの正確性を示すフェアウェイキープ率は全体の4位(2018年は39位)。そして、スコアに対するショットの貢献度を示す指標(ストローク・ゲインド・ティ・トゥ・グリーン)では6位(2018年は187位)と、ショット力が世界でも上位にあることを示しています。

ドライバーの飛距離とフェアウェイキープ率の順位を合計したトータルドライビングのランキングもPGAツアー全体で4位。まだ始まったばかりではありますが、たびたび報道されてきたエースドライバー破損に伴う不調からは脱却した、あるいはしつつあるのではないかと思います。

優勝した日本シリーズのスタッツを見ても、フェアウェイキープ率は7位タイ、パーオン率は1位タイと、PGAツアーでのスタッツが伊達ではないことを証明しています。来年はPGAツアーの優勝選手として活躍し、日本ツアーでは若手に対する高い壁として、ますます存在感を高めていってもらいたいです。

小平選手のショットが世界基準。それを目の当たりにし、理解することは、若手のプロたちにとって非常に有意義なことではないでしょうか。

来季に向けて希望が見える石川遼

一方で、今シーズンはドライバーの不調に苦しみ結果が出せずにいた石川遼選手も最後の最後に輝きを見せました。出だしの1番ホールのダブルボギーから7つのバーディを奪う65の猛追でプレーオフにまで駆け上がりました。キレのあるアイアイショットと、とにかく入るパッティングは久しぶりに石川遼らしさを見せてくれました。

画像: プレーオフで敗れた石川遼だが、来季に向けて期待を抱かせる内容だった(写真はJTカップ3日目)

プレーオフで敗れた石川遼だが、来季に向けて期待を抱かせる内容だった(写真はJTカップ3日目)

二人に共通していたのは非常に高い集中力。頭でイメージしたことと、体の動きが一致し、持っている技術の高さを最終日の優勝争いの中で存分に発揮していました。PGAツアーで勝った小平選手はもちろん、勝利こそ挙げられませんでしたがその舞台で5年に渡り戦った石川選手も、当然のことながら只者ではありません。

練習日に田中秀道プロに、今季の男子ツアーでの若手の活躍についてコメントを聞いたところ、最後に「石川遼を中心とした中堅選手が、若手の台頭を許さない壁にならなければいけない」という指摘がありました。

谷原秀人、宮里優作、池田勇太選手らが積極的に海外に出ていく中、来季も国内中心に戦うであろう石川選手には、今季以上の活躍が期待されます。

最終18番、バーディパットは惜しくもカップインしませんでしたが、「ああいう緊張感の中で、しかもこの(東京よみうりCCの高速)グリーンなのでそこまでのタッチが出せたのはプラス材料」と振り返っています。ギャラリーの多い18番でバーディを奪う、かつての石川遼を取り戻すのは時間の問題かもしれません。

一方、小平選手に“壁”として立ち塞がれたのがダンロップフェニックスに続き、最終ホールでダブルボギーを叩き、初優勝を逃した堀川未来夢選手。ただ、ダブルボギーはあくまでバーディを奪いに行った結果とのことで、下を向く必要はありません。

来シーズンは、規定の変更により下部ツアーのAbemaTVツアーから20名のイキのいい若手がツアーに殴り込みをかけてきます。今平周吾選手が賞金王となり、それに続けと台頭する若手、虎視眈々と下克上を狙うルーキー、そしてそれを迎え撃つ石川選手を中心とした実績組……彼らが死闘を繰り広げることで、きっとツアーも盛り上がっていくのではないでしょうか。

写真/姉崎正

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