写真上=7ヵ月ぶりに復帰するロマチェンコ。リナレス戦で痛めた右肩が不安材料だ
写真◎Getty Images

12月8日/ニューヨーク(アメリカ・ニューヨーク州)

★WBAスーパー・WBO世界ライト級タイトルマッチ12回戦
ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)対ホセ・ペドラサ(プエルトリコ)

 パウンド・フォー・パウンドの不動王ワシル・ロマチェンコが7ヵ月ぶりのリングで、WBOチャンピオンのペドロサと王座統一戦に臨む。はじめの話はレイムンド・ベルトラン(メキシコ)との対戦だったが、そのベルトランを破って2階級制覇を果たしたホセ・ペドロサに相手が代わった。それでも順当にいけば、ロマチェンコが持つそのテクニック総ざらいのリング・サイエンス・ショーが堪能できるはず。

画像: ベルトラン(右)を破りWBO王者になったペドラサ。ロマチェンコにどこまで食い下がれるか 写真◎Getty Images

ベルトラン(右)を破りWBO王者になったペドラサ。ロマチェンコにどこまで食い下がれるか
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 ホルへ・リナレス(帝拳/ベネズエラ)に不覚のダウンを奪われながらも、あまりにも見事なボディショットでKO勝ちしたロマチェンコ。懐の深さで勝負するペドラサだが、2年前、ジャーボン
タ・デービス(アメリカ)がナチュラルタイミングで打ち込んでくるカウンターの餌食になっている。そんな実績を顧みなくても、実力の隔たりは大きいとみる。

 不安はただひとつ。ロマチェンコに負傷の影響があるかどうかだ。リナレス戦で右肩を痛めて手術を受けている。どこまでも精緻なロマチェンコの技法は、まず右ジャブで精細なデッサンを描き、右手で極彩の色を塗りあげる。ときには右の返しでエンドマークのサインを施す。高密度のそんなボ
クシングに、狂いは生じていないか。30歳のウクライナ人は強靱な精神を併せ持つだけに、その可能性はきわめて低い。多彩な技で築くミラクルテクニックを存分に楽しみたい。
 この試合はWOWOWが生中継する。

★WBO世界スーパーバンタム級タイトルマッチ12回戦
アイザック・ドグボエ(ガーナ)対エマヌエル・ナバレッテ(メキシコ)

画像: 圧倒的な強打でスーパーバンタム級戦線のトップに躍り出たドグボエ 写真◎Getty Images

圧倒的な強打でスーパーバンタム級戦線のトップに躍り出たドグボエ
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 2018年を迎える以前、アイザック・ドグボエはアフリカに浮遊する惑星群のひとつと見られていた。ところが、一発強打のセサール・フアレス(メキシコ)を豪快なTKOで破り暫定王座を獲得。ノニト・ドネア(フィリピン)を食った不敗の正規王者ジェシー・マグダレノ(アメリカ)との統一戦でもKO勝ち。さらには日本の大竹秀典(金子)を初回で粉砕し、その強打が大きな注目の的になった。ただ、3度目の防衛は楽な相手ではない。

 エマヌエル・ナバレッテは連打型の倒し屋。決して上手とは言えないが、サウスポースタイルを頻繁に織り交ぜながら、ストレート系のパンチを軸に連打を畳みかけてくる。ここ最近は20連勝、8連続KOもマーク。その勝ち星にはジョン・ジェミーノ、ヘロン・ポーラス(ともにフィリピン)と手強いところも含まれている。

 一発の威力で上回るドグボエが、やや守りの甘いメキシカンを圧倒するとみるが、もし、ナバレッテの嵐のような連打に直面すれば、波乱も考えられる。

 同じカードでNABF北米ライト級王座決定戦に出場するテオフィモ・ロペス(ホンジュラス/アメリカ)も楽しみだ。とても活発なボクシングを見せる。しかし、対戦するメイソン・メナード(アメリカ)の破壊力は抜群。流れ次第ではとてもスリリングな展開になるかもしれない。

 もうひとつ、期待のウェルター級ブライアン・セバーロ(アメリカ)が38戦のキャリアを持つダニエル・カルサダ(メキシコ)と6回戦。2016年のゴールデングローブ、、2017年の全米選手権チャンピオンのセバーロはプロ6戦目(5勝3KO)。ここは危なげなく切り抜けたい。

12月8日/カーソン(アメリカ・カリフォルニア州)

★スーパーフライ級10回戦
ファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)対ビクトル・メンデス(メキシコ)

画像: もうひと暴れを期待したい実力者エストラーダ 写真◎Getty Images

もうひと暴れを期待したい実力者エストラーダ
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 HBOが放映する最後のボクシング。本来ならローマン・ゴンサレス(帝拳/ニカラグア)が出場するはずだったが、負傷でキャンセル。代わって主役を張るのはファン・フランシスコ・エストラーダだ。ロマゴンに惜敗した後、故障でブランクを作りながらも6年間無敗だった。しかし、満を持して挑んだWBC王者シーサケット・ソールンビサイ(タイ)戦は熱戦の末に判定負け。もうこれ以上、敗北は許されない。対するビクトル・メンデスは28勝中20KO、3つの敗北はすべてスプリットデシジョンという戦歴を持つが、中堅レベル以上との対戦はない。エストラーダは持ち前の攻撃力を見せたいところ。

★WBA・WBC・IBF・WBO女子世界ウェルター級タイトルマッチ10回戦
セシリア・ブレーカス(ノルウェー)対アレクサンドラ・マグジアク・ロペス(ポーランド/アメリカ)

★WBA・WBC・IBF女子世界ミドル級タイトルマッチ10回戦
クラレッサ・シールズ(アメリカ)対フェンケ・エルマンス(ベルギー)

画像: 4本のベルトを持つクイーン、ブレーカス 写真◎Getty Images

4本のベルトを持つクイーン、ブレーカス
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 この日はむしろ女子ボクシングのふたりのスターに注目が集まる。モデルでもある美人ボクサー、セシリア・ブレーカスは主要4団体すべてのタイトルを手にするスーパーウーマンだ。挑戦者のマグジアク・ロペスはかつて自らのライバルでもあったミカエラ・ローレン(スウェーデン)に敗れてい
るだけに、危なげなくクリアしたい。

画像: ブレーカスとの対戦も計画されるスーパーレディ、シールズ 写真◎Getty Images

ブレーカスとの対戦も計画されるスーパーレディ、シールズ
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 五輪2大会連続金メダルのクラレッサ・シールズの相手は少しばかり不気味。フェンケ・エルマンスは今年、なんと5度目の試合。3月にニューヨークで初黒星を喫したが、その2ヵ月後、敵地ドイツで元WBA・IBF女子世界スーパーミドル級チャンピオン、ニッキー・アドラーを撃破して名を上げた。常識的にはスピード、テクニックで大きく上回るシールズにスキはないと見えるが、決して油断はできない。なお、シールズは11月17日の防衛戦で判定勝ちしてから3週間のスパンで再び世界タイトルを戦うことになる。これは現代ボクシングでは、レアケースと言っていい。

 欧米ではブレークハスとシールズを対戦させる計画が進行中という。テレビボクシングのジャンルとして女子ボクシングが見直されている現在、もし、両者の対決が実現すれば、なかなかの話題を作りそう。そういう意味でもブレークハス、シールズともにかっこよく勝ってほしいものだ。

 この日のライトフライ4回戦には、日本の岩田翔吉がデビューする。日出高校時代には田中恒成、井上拓真を破った実績を持ち、早稲田大学を経てプロに転向。その最初から本場アメリカのリングで勝負する。対戦者のホエル・ベルムデス(アメリカ)はプロ経験が浅いだけに、ここはレベルの違いを見せたい。

12月8日/ルバロワペレ(フランス)

★WBA世界スーパーウェルター級暫定王座決定戦12回戦
ミシェル・ソロ(フランス)対グレグ・ベンデティ(アメリカ)

画像: 暫定王座決定戦に出場するフランスの強豪ソロ 写真◎Getty Images

暫定王座決定戦に出場するフランスの強豪ソロ
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 コートジボワール生まれでフランスをベースに戦うミシェル・ソロは3度目の世界挑戦になる。前回はブライアン・カスターニョ(アルゼンチン)相手に1-2の惜敗。今度こそチャンスを活かしたい。ぐいぐいとプレッシャーを強めるファイター型で、伸びのいい右ストレートに、左もフック、アッパーで上下を打ち分けるなど小技も利く。村田諒太に挑んだエマヌエーレ・ブランダムラ(イタリア)をKOに破っているし、グレン・タピア(アメリカ)、ファン・フランシスコ・マシエル(アルゼンチン)らを前半で料理。さらにこの3月にはWBAタイトル挑戦者決定戦で、無敗のサウスポー、ジョン・ベラ(アメリカ)にも大差勝ちした。

 グレグ・ベンデティは亀海喜寛(帝拳)に引退を決意させた技巧派。試合運びには長けているが、これといった武器はない。31歳のソロが暫定王座にたどり着く可能性が高い。

 前座カードで注目は、スーパーミドル級のルイ・トタン(フランス)。アマチュア時代にはU17ヨーロッパ選手権でゴールドメダリスト。プロ転向後は12連勝11KOだ。ファイタースタイルでパワーパンチが魅力だが、よどみないコンビネーションの中に織り込む左右のアッパーカットが素晴らしい。対戦者のペドロ・イワノフ(ウクライナ)も負け知らず(9勝2分)だが、その豪腕をいかんなく発揮してほしい。

 リオ五輪銅メダリスト、2015年世界選手権優勝のモハメド・ラビ(モロッコ)がスーパーウェルター級8回戦でアレクサンドル・ズラフスキー(カザフスタン)と戦う。ラビはまだプロ7戦(全勝5KO)で修行段階だが、しっかりと白星を重ねてほしい。

12月8日/シェフィールド(イギリス)

★スーパーウェルター級12回戦
ケル・ブルック(イギリス)対マイケル・ザラファー(オーストラリア)

画像: ブルックは連敗から再起後も強敵との対戦が続く 写真◎Getty Images

ブルックは連敗から再起後も強敵との対戦が続く
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 連敗で世界王座から陥落したケル・ブルックだが、まだ目を離せない存在だ。再起戦では強打のセルゲイ・ラブチェンコ(ベラルーシ)を一撃KOし、いまだ危険なパンチャーであることを証明した。その後も負傷で試合間隔は空いたが、9ヵ月ぶりでも、楽な相手は選ばれない。マイケル・ザラファーは2015年にピーター・クイリン(アメリカ)にTKO負けを喫した後は8連勝、その間に伝統ある英連邦タイトルも手に入れている。「ケルに、オレがどんなに危険か思い知らせてやる」と威勢もいい。戦力的にはブルックが上。そんなザラファーにもきちんと引導を渡したい。

 イギリスではDAZNでの中継が決まっているこのイベントは、前座はとっても豪華版だ。イギリスのオリンピック代表が3人も出てくる。ジョシュ・ケリー(ウェルター級)、アンソニー・フォーラー(スーパーウェルター級)、カイス・シュファク(スーパーバンタム級)。加えて10月、アメリカのボストンで有望株と言われるトカ・カーン・クレーリー(リベリア/アメリカ)に勝ったキッ
ド・ギャラード(カタール/イギリス)。いずれも、トップ戦線に浮上する可能性大。とくにケリー(8戦8勝6KO)は、元WBAチャンピオンのデビッド・アバネシャン(ロシア)との対戦だ。早くも世界上位進出への足がかりにしようとしている。

 もうひとり、注目してほしいのはミドル級のシャキール・トンプソン(イギリス)だ。プロでは1戦のみ(KO勝ち)。今度の相手も8勝36敗。それでも、身長191cmのサウスポーの素質を、今から確認しておきたい。

まだまだあるぞ!注目カード
南アのリングに実力者が続々

 長らく不振をかこってきた南アフリカのリングに、なんとか活気が蘇りそうである。7日、8日の2日間に、興味深い興行が3つも行われる。

 まずは7日。イーストロンドンのバンタム級10回戦には、キービン・ララがニカラグアから遠征してくる。2年半前、井岡一翔の持つWBAフライ級タイトルに挑み、KOで敗退したものの、闘志を前面に打ち出して善戦した。その後は8連勝だ。対する地元のヤンガ・シグキオも8連勝中。軽量級に意外なタレントが多い南アフリカだけに、シグキオがララを破れば、世界路線に乗ってくるかもしれない。

 前座には元IBFミニマム級チャンピオンのニコシナシ・ジョイがリングに登る。長身痩躯の俊才と評判だったジョイは、その後、急に勝てなくなってリングを遠ざかった。35歳になって、これが2年半ぶりのリングになる。相手のムフォ・セフォロ(南アフリカ)はキャリア3年の伸び盛りだけに厳しい戦いを覚悟しなければならない。

 同じ日、ハウテン州ブラックパンのフライ級12回戦に出場するアルフレド・ムウォオ(ザンビア)の評判が高い。10戦全勝8KOの強打で自国では “センセーション” と騒がれている。対戦するのは長らく南アフリカの軽量級を引っ張ってきた33歳のジャクソン・チャウキ。こちらも手堅い実力者だけに、ムウォオには真価を問われる一戦にもなる。ムウォオはすでにアフリカチャンピオンだが、この試合には空位のWBCインターナショナル・タイトルがかけられる予定だ。

 8日のケンプトンパークはトリプルメインイベントになる。なかでも最大の売りはクルーザー級のライバル対決だ。トーマス・ウーストハウゼンとタビソ・ムチュニは9月に戦い、ウーストハウゼンが2-0判定勝ちしたが、ジャッジのスコアには異論も多く、即座のリターンマッチとなった。ウーストハウゼンはデビュー以来の27連勝がストップした後、1年半のブランクを経てのカムバック戦がその試合。ムチュニはハイセンスを謳われながら、2015年以降は勝ちと負けを交互に繰り返している。ともに今回の結果が今後のキャリアを大きく左右する。

 14戦全勝11KOのウェルター級ホープ、スラニ・ムベンゲはIBO(日本未公認)の世界タイトルをかけてミゲール・バスケス(メキシコ)と対戦する。ムベンゲは際だった長身で、伸びのいいパンチを武器にする。31歳になった元IBF世界ライト級チャンピオン、バスケスは間合いの長いディフェンスマスターだ。やや線の細いムベンゲがあまりに勝負を急ぎすると手痛い目に遭う。

 もうひとつのミドル級12回戦では、総合格闘技から転向してきたウェイド・グロットに人気が集まる。7戦7勝5KOの29歳は、ボクシングのみでじっくりキャリアを刻んできた同じ南アフリカ人、ウォルター・ドラミニを蹴破れるか。ちょっとした挑戦ではある。

 7日、プエルトリコでは、ニュースター候補と評判のスーパーフライ級、ヘイビエル・シントロンが2度目の10回戦に臨む。21歳にして五輪連続出場のシントロンは、ここまでの8戦(全勝4KO)でまだひとつのラウンドも失ったことがない。今度の相手はキャリア豊富なマルビン・ソラノ(ニカラグア)。ひとつの節目になる。

 土曜日、ベルギーのアルドーイェではWBC女子世界ライト級チャンピオン、デルフィーヌ・ペルスーンがメインイベントのリングに立つ。女子ボクシングというと、ちょと地味にも思えるが、ペルスーンが2014年に世界チャンピオンになったときには、フィリップ国王に謁見がゆるされるほどのヒロインになったもの。ペルスーンはその後もアクティブに活動し、頻繁にノンタイトル戦を挟みながら、タイトル防衛もこれが9度目。今回の挑戦者は33歳のジュディ・ワグチー(ケニア)。きちんと戦えば、怖い相手ではない。ペルスーンがその人気をベルギー以外にも押し広めたいなら、ここを勝ちきって、大きな勝負に出たい。

 バルカン半島のボクシングも次第に熱を帯びてきている。そんな波のリーダーシップを握ろうとしているのが、フリップ・フルゴビッチ(クロアチア)だ。こちらも国家的なヒーローで、リオ五輪スーパーヘビー級で銅メダルを持ち帰ると、女性大統領のコリンダ・グラバル=キタロヴィッチ氏から勲章を授与されている。

 その後はドイツの大手プロモーション、ザウアーラント・イベントと契約してプロ入り。6連勝5KOと無難なスタートを切っている。そんなフルゴビッチが8日に対戦するのはイターロ・ペレア(エクアドル)。こちらもロンドン五輪に出場している。フルゴビッチが198cmの長身から打ち下ろす右ストレート、左フックは強力だが、これまでKO負けの経験のないペレアを打ち崩せるだろうか。

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