長年求めてきた田口良一(32歳=ワタナベ)との対戦を実現させ、大差判定で勝利したWBO世界フライ級チャンピオン田中恒成(23歳=畑中)が、試合から一夜明けた17日、愛知県名古屋市内のCBCテレビで記者会見。尊敬する先輩王者と戦えたことへの喜びを語ると同時に、自らへの課題を真摯に吐露した。

上写真=これまで手にしてきた3本のWBOベルトを、畑中会長(左)、父・斉トレーナー(右)とともに掲げる田中恒成

 目の周りがうっすらと腫れているが、世界タイトルマッチの12ラウンドをフルで戦った選手としては、ひどい腫れではない。それでも、サングラスをかけてきたところに、田中恒成という男のプライドがにじみ出ている。

「田口選手と、いい試合をできた」ことを、本当に嬉しそうに声高に言葉にしつつ、しかし、自身のボクシングについては厳しい表情を崩さなかった。
 特に今回は、「もらわずに打って倒す」を最大の目標に掲げ、トレーニングに励んできたのだから。

「練習してきたことを生かすこともできたけれど、接近戦がだいぶ多かったので」

 相手のパンチの出所、初動を見る。そしてパンチが伸びてくるのをよけながら、自らのブローを放ち、なおかつ打ち終わった後の動作も意識しておく。そのすべてをまとめての「集中力の高さ」を自らに求めてきた。それは、中・長距離ではある程度できたけれど、至近距離では「防御の仕方が変わる」。ボディワークをリズミカルに使い、攻撃につなげられた時間もあったが、全体的にブロッキングに頼り、動きもリズムも止まってしまった。
「(畑中清詞)会長にずーっと『固まるな』って指示されてきたのにあれだけ固まってしまった」。
 まともにもらわなくとも、見栄えは悪い。そしてなにより、攻撃への切り替えの流れも切れてしまう。「×寄りに近い△です」と自己評価した理由だ。

自身への評価は、あくまでも厳しかった

 畑中会長も「腹が効いて倒せる場面があった。10回くらいに倒していれば、スーパースターへのスタートだったかな」と、攻撃面での課題も求める。「倒したい気持ちが強かった」と田中自身も言い、それを実現できなかったのは「いいパンチを空いてるところに打とうという意識だけが強かった。田口選手は、ガードも堅くて、ボディも打ちづらくて、最初から空いてるところがなかった。そこに無理やり1発狙いにいってしまったのが当たらなかった原因。じゃあ、空けるため、当てるために、その前にまず何をすべきか、そこまで頭が回らなかったのが原因」と表した。

 これだけ整理できていて滑らかに話せるのにも理由がある。
「いままでの試合より、だいぶ落ち着いて、冷静に終始できた。試合のときのことも鮮明に覚えている。終わった直後も、すぐに思い出すこともできて。ああ、ここはこうだったな、ああこうしたほうがよかったと、試合の途中、瞬間瞬間に思ったことを、冷静だった分、ずーっと覚えることができてるので。課題がすぐ、明確に出てるので、今後の成長につなげれられるかな」

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 そして、もっとも重要かつ収穫となっているのは、ケガをしなかったことだ。
「拳のケガも全然ない」ことがいちばん大きい。
 これまでは、試合前、試合中、そして試合後と、痛め、堪えて打ち、そしてまた痛め……を繰り返し、トレーニングにも影響を及ぼしてきたが、今回から“バンデージ職人”永末貴之さんがTeam KOseiに加わった。試合中ものびのびとストレートパンチを放ち、どこかのタイミングで痛めてしまい、途中から弾くように打っていたいままでとはまったく違った。これで、立てたトレーニングスケジュールをこなしていくことも可能になるだろう。

「終わったばかりで、(今後については)まだまだ何も決まっていない」と畑中会長。
 田中は、「防衛戦でも、階級を上げるでも、いい試合をできるほうを選びたい」と希望する。

 まずは、明後日19日に迎える中京大学の卒業式だ。
「5年、本当に長かったので、試合に勝つのも嬉しいですけど、(卒業は)とっても純粋に嬉しいです。同級生が全然いないので、ひとりで喜びたいです(笑)」と言って、集まったメディアを爆笑させて締めくくった。

文&写真_本間 暁

画像: 防衛戦か。もしくはスーパーフライ級への転級か。田中恒成の動向は、世界も注目するはずだ

防衛戦か。もしくはスーパーフライ級への転級か。田中恒成の動向は、世界も注目するはずだ

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