19日、神戸市・ポートピアホテルのIBF世界ライトフライ級タイトルマッチのセミファイナルで行われた日本ライトフライ級タイトルマッチ10回戦は、チャンピオンの堀川謙一(三迫)が自慢のテクニックと駆け引きを存分に披露。1位の挑戦者、多田雅(TI山形)を寄せつけず、大差判定勝ちで初防衛に成功した。

写真上=多田(右)を追い詰める堀川

 キャリア20年、55戦、39歳になっても日本屈指の技巧の持ち主として評価される堀川も、やっていないことがある。現在手にしているベルトを含めて日本で2度、WBOアジアパシフィックでも1度チャンピオンになっているのだが、1度も防衛戦に勝ったことがない。だからなのか、序盤戦は慎重すぎるくらいに慎重だった。

 初回はほぼ何もしなかった。2回も距離をとりながら、大きな左フックとロープを背負いながらの右クロス、左ボディ2発くらい。ただし、ここまででじっくりとネジを巻き終えたか、堀川は3回から急速にテンポを上げていく。もう多田は何もできなくなった。

「練習してきたことをまったくさせてもらえなかった。たまにパンチは当てても、感触さえなかった」(多田)

 挑戦者は堀川が作りに作り込み、練りに練り上げた技巧にまったくお手上げだった。
「あの年でまだまだ強くなっている。大したものです」(三迫貴志会長)

 以降は堀川のひとり舞台だ。長短の距離を自在に管理し、間合いを計り、多彩なパンチをヒットしていく。とくに左のボディブローが効果的。さらにあえて頭をつけての打ち合いに持ち込んで打ち込むアッパーも強い。そのたびに多田の動きは止まり、あるいは小さくよろけた。
 堀川の攻勢は衰え知らず。いや、ラウンドを追うごとに厳しさを増す。最終回には左ボディブローでダウンを奪うなど、まったく危なげなかった。

「ほっとしている。多田も自分もオールマイティに何でもできるタイプと思い込んでいて、不安だった。対戦相手のこともあるので自己採点は明かしたくないが、50点くらい」

 対戦者を気遣うのもベテランのたしなみ。初めてベルトを守った喜びより、宿題を優先するのは衰えぬ気力の表れ。そんな堀川だから、さらなる目標のためにもっと地力をあげていくに違いない。

「違う色のベルトは45歳くらいまでに」

 やっと笑顔がのぞいた。

文◉宮崎正博
写真◉福地和男

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