中京テレビ・ブリヂストンレディスの練習日に長年愛用していた「J815」ドライバーが破損し、急遽新しい「ツアーB JGR」を手に戦った松田鈴英。そのJ815を「隠れた名器」と評するゴルフトレンドウォッチャー・コヤマカズヒロが、“変えられないクラブの功罪”を考えた。

「中京テレビ・ブリヂストンレディス」で3位と健闘した松田鈴英。練習日に話題になったのは、長年愛用したドライバーが割れてしまい、その週から支給が始まったブリヂストンの新しいツアーB JGRドライバーを急遽投入したこと。

優勝は出来なかったものの、飛距離も伸びているようで、新ドライバーの初戦としては、まずまずの出足と言えそうだ。

新ドライバーの話はひとまず置いて、筆者が注目したのは割れた方のクラブ。それまでのエースドライバーだったJ815だ。2015年に発売され、クラウン部に派手で複雑なグラフィックが施されているのが特徴。今見ても目を引くというか、正直好き嫌いのはっきりしそうなデザインではある。

画像: 中京テレビ・ブリヂストンレディスの試合前に割れてしまった「J815」ドライバーを長年愛用していた松田鈴英(写真は2019年のダイキンオーキッドレディス 撮影/姉崎正)

中京テレビ・ブリヂストンレディスの試合前に割れてしまった「J815」ドライバーを長年愛用していた松田鈴英(写真は2019年のダイキンオーキッドレディス 撮影/姉崎正)

松田は、長年このクラブを愛用しており、飛距離に定評のある彼女のなくてはならない相棒となっていた。堀琴音をはじめ、松田同様に長く愛用した女子選手が多いのがこのクラブの特徴だ。

以前、クラブアナリストのマーク金井氏に過去数年で性能に優れて、お買い得な中古ドライバーを聞いたところ、真っ先に名前が上がったのがJ815だった。市場ではあまり目立たなかったものの、実は、知る人ぞ知る隠れた名ドライバーなのだ。

J815は投影面積がやや大きく、ヘッド後方が下がった形状で、あえて言ってしまえば海外メーカー風のヘッド。これまでのブリヂストンにはほぼ見られなかった形状だ。契約プロが長く愛用したのは、他に似たヘッドがなかったことも理由のひとつだろう。

当時は、長年ファンに愛好された「ツアーステージ」ブランドが終了し、新たに「ブリヂストンゴルフ」がローンチされたころ。同社としても斬新で意欲的なクラブを出したかったのではないだろうか。デザインも性能も一風変わった、季節外れに咲いた名器だった。それをプロたちが評価したのである。

画像: 「J815」は従来のブリヂストンにはほぼ見られなかったヘッド形状だ

「J815」は従来のブリヂストンにはほぼ見られなかったヘッド形状だ

さて、松田のケースのように、プロゴルファーには長年愛用して、その選手の代名詞になるようなクラブがある。今はともに変えてしまったが、谷口徹の「スチールヘッドFW」や8年間愛用した松山英樹の「スリクソンZR30」ドライバーはとみに有名だ。

手足のように操ることが出来るクラブは、ゴルファーにとって最大の武器になる。プロのような技術はなくても、この一本は手放せないという信頼のクラブがあるアマチュアも少なくないだろう。ボールを操るためには、自分の血が通うようなクラブが必要だ。

一方で、あまりにそのクラブに馴染んでしまうと、他のクラブに変えられないという問題が出てくる。一流のフィギュアスケートの選手が、新しい靴が合わなかったり、メジャーリーグに挑戦したプロ野球のピッチャーがボールの違いに苦労したりと、一流であればあるほど道具の違いに敏感に反応してしまうものだ。数年来愛用し、何万発もボールを打ち、何十試合も戦ったクラブであればなおさらだ。

新しいドライバーの性能は向上している。しかし、その性能の向上すら、フィーリングの違和感につながってしまうこともあるのが難しいところだ。世界のトッププロは毎年のように発売されるクラブに上手くアジャストして、その性能を活かしている。クラブを自分流に調整できることは、最早一流プロにとって不可欠なスキルなのだ。松田が新しいドライバーの機能を自らの血肉に出来るかは、今後の微調整がカギになるだろう。

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