今回はほぼ1ヵ月ほどの間、ラファエル・ナダル(スペイン)自身でさえが自分がもうひとつフレンチ・オープン・タイトルを獲る可能性について疑念を抱いていた。

 そして、彼はひとりではなかった。その部分は別に目新しいことではない。

 人々は何年にも渡り、いつ彼の身体が壊れるのか、いつ彼の信じがたいようなロラン・ギャロスでの成功の疾走が終わるのか、いつクレー王者の頭から王冠を払い落とすための技術、強さ、スタミナを持ったほかの誰かが現れるのか、といぶかりながら彼を疑ってきた。

 今回、真の不安を抱えていたのはナダル自身だった。彼は一大会にも優勝することなく5月に入ったのだが、それは2004年以来起きていなかったことだ。

 彼は右膝の故障のため昨シーズンの終わりを棒にふり、オフシーズンには足首に手術を受けなければならず、それから3月には膝に腫れが出たため大会を棄権しなければならなかった。長年にわたり生じ続けている健康の問題は、今や積み重なっていた。

「ここ18ヵ月にあまりに多くの問題があった。だからこそ、ここ数週間は非常に特別なものとなったんだ」とナダルは日曜日の夜にようやく言うことができた。

「精神的に僕は落ち込んでいた。肉体的にも精神的にも」と彼は右手の指でこめかみを叩きながら心境を明かした。

「でも僕は常に、よりメンタル面に注意を払っている」

 彼が語っている不安や苦悩は、ドミニク・ティーム(オーストリア)に対して手堅い決勝をプレーし、第3セットが始まるや11ポイントを連取することで 可能な限り素早く突破口を開き、最後の14ゲームのうち12ゲームを取って6-3 5-7 6-1 6-1で勝利をおさめたナダルを見ていた皆にとって、見当違いであるように見えた。

 その勝利は、通算12回目のロランギャロス・タイトルと、総じて18勝目となるグランドスラム・タイトルを彼にもたらした。これでロジャー・フェデラー(スイス)の持つ男子最多記録の20タイトルまで、あと2つということになる。

 しかしここにナダル自身と、テニスを追い、テニスについて話す者たちにとっての最大の教訓があるかもしれない。ナダルが戻ってき続け、タイトルを増やし続けることはできないと考えるのをやめることだ。なぜなら彼は、彼が今いるところにとどまろうとするだけでなく、さらによくなっていくために必要なすべてをやるだろうから。

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