日本プロで感動的な復活優勝を果たした石川遼。その勝利がもたらすものとはなにかを、石川遼の“応援団”を自負するプロゴルファー・中井学が語る!

チャレンジャー・石川遼の“初優勝”

石川遼選手の今回の優勝は、今まで積み重ねた14勝のどれよりも重たい1勝だったのではないかと思います。

10代で優勝、プロ転向、賞金王……数々の栄光を築き上げたとき、石川選手には怖いものはなかったと思います。しかし、ゴルフはその怖さを知ってからが難しいもの。PGAツアーに挑戦して自分よりも高いレベルのプレーヤーを知り、腰痛を患って怪我をする怖さも知り、ゴルフの怖さを痛感した上で勝った。だからこそ、今回の勝利は本当に価値があります。

優勝インタビューの中で、彼はこの最終ラウンドを挑戦者として戦ったと語っていました。チャンピオン・石川遼ではなく、チャレンジャー・石川遼としての、初めての勝利だったと言えるかもしれません。

国内メジャーである日本プロの勝利で、石川選手は5年間のシードを得ました。チャレンジャー・石川遼には、まずは来年に迫ったオリンピックの日本代表を目指してもらいたい。埼玉県出身の彼にとって、埼玉県の霞ヶ関CCで開催されるオリンピックはまさに“地元開催”。松山英樹・石川遼が日の丸を背負ってオリンピックに挑む姿を見たいと思うのは私だけではないはずです。

画像: 3季ぶりの復活優勝を果たした石川遼(写真は2019年の日本プロゴルフ選手権 撮影/姉崎正)

3季ぶりの復活優勝を果たした石川遼(写真は2019年の日本プロゴルフ選手権 撮影/姉崎正)

そのために必要なのは、今はとにかく国内で結果を出すことではないでしょうか。日本ツアーの中で複数回の勝利を挙げて、世界ランクを上げる。それは、今後もう一度世界に挑戦するためにも一番の方法だと思います。

PGAツアーは、そこに挑戦しながら成長できるような場ではありません。すでにそこで戦える準備が整った選手が、勝ち負けだけを競う場所。ですので、もし石川選手が今後アメリカに再度挑戦する道を選ぶならば、松山英樹選手がそうだったように、国内で敵なしの状態になってからがいいと思うのです。

アメリカで通用するかどうかの“見極め”、石川選手にはそれができます。なぜなら彼は、一度アメリカに挑戦して跳ね返されて、また復活を遂げた稀有な選手だからです。

PGAツアーに挑み、自信を失い、その後国内ツアーでも思ったような活躍ができなくなる。多くの日本人選手と違い、石川選手はそこからもう一度立ち直ってきました。本当にナイスカムバックなんです。

画像: 100ヤード以内はPGAツアー参戦当時からスタッツ的にも良好。ショートゲームの上手さは定評がある(写真は2019年の日本プロゴルフ選手権 撮影/姉崎正)

100ヤード以内はPGAツアー参戦当時からスタッツ的にも良好。ショートゲームの上手さは定評がある(写真は2019年の日本プロゴルフ選手権 撮影/姉崎正) 

だからこそ、冷静に今の自分の実力を見極め、“勝負できる”というところまで自信を深められたタイミングで、もう一度海を渡ってもらいたい。実際に、彼より飛ばない選手がPGAツアーで勝っていますし、彼のウェッジワークは世界でも屈指です。石川遼は技術的には本当に上手い。今回得た5年シードを生かして、国内で敵なしの状態を作り、PGAツアーに再挑戦し、戻ったその年に勝ってもらいたい。

最後に、ひとつだけ注文をつけるならば、ショット力ではなく、マネジメント力で勝つ試合を見せてもらいたいです。ドライバーでとんでもないナイスショットを放ち、その結果中途半端な距離を残す。そんなところが彼のゴルフにはあり、それは彼の魅力でもあります。しかし、豪快なショット、見る者の息を呑ませるショットをあえて封印し、詰め将棋のようなゴルフで勝つ姿も見てみたい。そう、今年のマスターズでタイガー・ウッズが見せたようなゴルフです。それはきっと、大きな武器になるはずです。

10代の頃の数々のトロフィーに色どられたチャンピオン・石川遼よりも、泥にまみれてそれでも戦う今の遼くんのほうが、より応援したくなる。そんなファンはきっと私だけではないはず。ゴルフの怖さを知り、挫折を知ったチャレンジャー・石川遼のこれからの道のりが、本当に楽しみです。

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