こんにちは、恐竜おねえさんこと生田晴香です。トレンドになっていたり、かなりのニュースになっていたので既にご存知の方も多いと思いますが、世界最大の肉食恐竜「スピノサウルス」の復元が2020年、久々に新しくなりました。今回は、新情報とこれまで考えられてきたスピノサウルスを紹介します。

連載コラム「生田晴香、恐竜と生きる」。福井恐竜博物館 公認恐竜博士、古生物学会友の会・恐竜倶楽部メンバーでもある自他共に認める恐竜ラバーのタレント生田晴香が、恐竜の素晴らしさを隅から隅まで語り尽くす。壮大な歴史とドラマ、未解明の不思議が交差する魅惑の恐竜ワールドへ、ようこそ。- dino.network編集部

スピノサウルスとは?

チョコレート菓子キャラパキのスピノサウルス

キャラパキと生田晴香

スピノサウルスは、全長約15〜17メートルの半水生恐竜。大きな帆が特徴的で、恐竜グッズにもよく採用されているので、恐竜に詳しくない方でも一度名前は耳にしたことがあると思います。

今では絶滅しています(当然⁉︎)が、生息していた時代は約1億年前の中生代白亜紀前期〜中期、分類は竜盤類・獣脚類・テヌタラ類・スピノサウルス科です。

肉食といっても他の恐竜を襲っていたわけではなく、シーラカンスなどの魚を円錐形の歯を使って食べていたと思われます。

恐竜映画「ジュラシック・パーク3」では、ティラノサウルスと激しいバトルをして倒したことが話題となり(中にはクレームも!?)世界でもかなり注目されてきた恐竜です。

映画ではティラノサウルスを倒しましたが、実際倒せたかは別として、恐竜人気ランキングでもトップ3には入るんじゃないかという勢いで人気も急上昇。その理由は、やはりティラノサウルスをはじめとするどの肉食恐竜よりも大きいから、ということが挙げられるかと思います。

スピノサウルス発掘の歴史

スピノサウルスの化石が初めて発見された場所は、エジプトでした。もちろん全身の化石が揃っているわけではなく、下顎、頸椎、胴椎、肋骨、尾椎、歯など少しのパーツのみです。

ドイツの古生物学者ストローマーさんは胴椎の神経棘が長いもので2メートルもあり長いことから「棘トカゲ」という意味の「スピノサウルス」と論文に記載し、1936年には全身骨格の復元図を発表しました。現在の復元とは違って当時はゴジラみたいでした。

化石はバイエルン州立古生物学・地質学博物館に展示されていたのですが、なんと!第二次世界大戦の空襲で焼けてしまったのです。まさかの戦争ですよ。

ストローマーさんは元々、安全なところに化石を疎開させてほしいと博物館の上の人に言っていたみたいなのですが、それが反ナチス的だとされ結果スピノサウルスの化石は焼けてしまったわけです。せっかくの貴重な化石が悲しいですね。

戦争は恐竜の為にならないので、どこの国も争いは話し合いで解決できたらいいのですが…なかなかそうもいかないのが人間という生き物ですよね。もっと恐竜のことを考えてもらいたいものです。

ちょっと前まで恐竜はゴジラ立ちかのようにしっぽを引きずっていたと思われていたのですが、しっぽを引きずった後が発見されていないことに気付き、うまくバランスが取れるようなしっぽを引きずらない復元になりました。

データとしては記述があるものの、スピノサウルスの化石自体はほぼない状態なので、謎の恐竜となっていたわけですが、この度新たにスピノサウルスの化石が発見されたのです。

2008年、博士課程のイブラヒムさんはモロッコの遊牧民から教材か何かに使えるだろうと断片的な化石を買いました。そのたまたま買った化石がなんと!スピノサウルスの化石だったのです!

2013年、仲間を連れてその時出会った遊牧民を探し、その化石の産地に案内してもらい、そこから新たにスピノサウルスの化石が発見されたわけですね。

そこから、鼻の位置がわかったり、水生生活に適応していて半水生恐竜だということがわかったり、骨盤が他の肉食恐竜と比べて半分くらいの大きさで、後ろ足が短く四足歩行の可能性が大きくなったりと、色々なことがわかってきました。

画像: スピノサウルス全身骨格

スピノサウルス全身骨格

その時の復元がこちら!

すべてのパーツがわかっているわけではないので、他のスピノサウルス科などの化石を合わせたりして全身こんな感じになっています。国立科学博物館の特別展「恐竜博2016」ではメイン展示されていました。帆は丸い感じだと思われていたのがギザギザ感が出ていました。

画像: スピノサウルス吻部

スピノサウルス吻部

鼻先がワニと似ていて圧力を感じるセンサーがあり水流を感知できる能力を持っていることもわかりました。濁った水中でも魚などのエサを感知できたと思われます。

水中にいるとすると、魚にとっての敵はスピノサウルスでしょうけど、スピノサウルスの敵はワニ類になりそうですね。ワニとスピノサウルスのバトル、見てみたいものです。

2020年復元

そして2020年!ほぼ完全なスピノサウルスの尻尾の化石が発見されたと英科学誌ネイチャー電子版で論文が発表されました!

論文はこちら

しっぽは上下に幅広く、尾びれのようになっていて他の獣脚類のしっぽと比べて最大8倍の推力があり、海流に逆らって泳ぎ、獲物を捕らえるために加速することができるそうです。

完全に水生説決定ですね。となると、これまで考えられてきた復元を新しくしなければいけません。しっぽを上下に太く復元するのが2020年最新の復元となりそうです。

恐竜の想像図はどんどん変化していくので見逃せませんね!これからもチェックしましょう!

画像: スピノサウルスの化石・2020年復元!

生田晴香 | Haruka Ikuta
恐竜タレント。TV、CMのほかモデルとして活躍中。福井恐竜博物館の公認恐竜博士で恐竜検定所持。恐竜トークショー、クイズ、鳴き声コンテスト審査員。古生物学会友の会&恐竜倶楽部メンバー。恐竜のうた「ダイナソーDANCE」監修。実は元あやまんJAPAN。
YouTubeちゃんねる「恐竜わっしょい!」始めました。

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前回の「生田晴香、恐竜と生きる」はこちら

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