個人の自由か、社会の安全か?
犯罪が多発する近未来の米国が直面する二択によって、大きく人生を狂わされていく男女の姿を描く長尺のNetflixオリジナル作品。

悪事を行うことを強制的に妨害するシステムを有効化することを決定した米国を描く、ディストピア映画

『ハンズ・オブ・ストーン』で天才ボクサー ロベルト・デュランを好演したエドガー・ラミレス主演のクライム・サスペンス。
あまりの犯罪の多さに辟易した米国政府はAPI(アメリカ平和計画)と呼ばれる新制度の導入を決定。全国民の脳に作用して法に触れるような行為を強制的にできなくさせるシステムを作動させるというもので、社会の安定には役立つだろうが、人権の侵害なのではないか?という反対意見を押し切って施行される。

悪事を働くつもりがなくても、その行為を未然に強制的に妨害される≒個人の自由を制限されるということを忌避して、APIの影響を受けない外国(特にカナダ)への亡命や移住を求める市民や、これまで蓄積していた悪事による資金を奪われることを恐れる犯罪者たちによる暴動が街を騒がせる中、犯罪ゼロの警察国家へと舵を切るまでのわずかな日数の間に、アメリカ最後の犯罪を成功させて一攫千金を果たそうとする計画が進行する。
犯罪計画を立案する、ギャング組織のボスの息子役をマイケル・ピット、彼に誘われて計画に加わる凄腕の犯罪者リックをエドガー・ラミレスが演じる、バードボイルドな作品だ。

2時間半を超える長尺作品

ここで繰り返すのは若干気が引けるが、僕は現代の映画作品は2時間=120分以内に納めるべきだと思っている。90分だとやや短すぎるので100-120分くらいが妥当と思う。それ以上の尺だと長すぎる。冗舌すぎるのは冗長であり、忙しい現代人の 有限資産である時間を、一つの目的で奪うのはそれが限度であると思っている(人間に与えられた時間は1日24時間と決まっている)のである。

その意味で本作は2時間半を超える長尺で、僕の前述のルールから明らかに逸脱している。
だから、正直に言えば、それほど高く評価はできない作品だ。(このルールを超えてもなお凄い作品を作れるような天才クリエイターや巨匠は、そうはいないのである)

が、画面の迫力や展開のうまさ、ガンアクションの演出など、個々のシーンにおける脚色はなかなかのものだし、演者もうまい。ハードボイルドなムード、男臭さはムンムンするので、そこは評価に値する。

結論として、観ても損はない出来に仕上がっている、と言っておこう。

画像: 『ラストデイズ・オブ アメリカン・クライム』近未来SF要素を入れたクライムサスペンス

小川 浩 | hiro ogawa
株式会社リボルバー ファウンダー兼CEO。
マレーシア、シンガポール、香港など東南アジアを舞台に起業後、一貫して先進的なインターネットビジネスの開発を手がけ、現在に至る。

ヴィジョナリー として『アップルとグーグル』『Web2.0Book』『仕事で使える!Facebook超入門』『ソーシャルメディアマーケティング』『ソーシャルメディア維新』(オガワカズヒロ共著)など20冊を超える著書あり。

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