カリフォルニアとネバダの州境にあるホテル、ホテル・エルロワイアル。かつては栄えていたそのホテルだが、いまでは従業員が1人しかいない。そして、このホテルには誰にも言えない秘密があった。
訳ありホテルに訳あり宿泊客、大きな謎を巡っての大騒ぎとなれば三谷幸喜作品を思い起こさせるが、本作はコメディではなくクライムサスペンス。若かりし頃のアクションが懐かしいジェフ・ブリッジスや、『マイティ・ソー』のクリス・ヘムズワースら、有名どころを揃えている。
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画像: 『ホテル・エルロワイヤル』3.6[デジタルロードショー]配信中/4.19ブルーレイ&DVDリリース youtu.be

『ホテル・エルロワイヤル』3.6[デジタルロードショー]配信中/4.19ブルーレイ&DVDリリース

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セレブの隠れ家的存在だったホテルに隠されたお宝とは

時はニクソン政権下、1970年代前半と思われる。辣腕で有名な初代FBI長官のフーバーの名前も出てくるから、勘のいい人なら舞台であるホテル・エルロワイアルが政府の要人などが私用に使っていた“隠れ家”的存在であったのだろうと、すぐに察しがつく。

有名人が密会に使っていたのであろうこのホテルだが、かつての隆盛は過去のものとなり、いまではすっかり寂れてしまっている。しかし、このホテルには いくつかの謎があり、お宝が眠っているのだった。

そして、偶然にも同じく訳あり宿泊客が集まった夜、このホテルに隠された秘密にも着火し、すべての謎が暴発し、大事件を起こしてしまうのだった。

謎めいたいくつもの伏線が織りなす、複雑なストーリー

本作では、登場人物にはすべて謎がある。ホテルの管理を1人で切り回している従業員は、当然ホテル側の秘密を抱えているが、同時に個人的にも深い闇を隠し持っている。
宿泊客は4組だが、彼らもまた、他人に言えない複雑な事情を抱えている。

登場人物

  • 従業員
    • マイルズ・ミラー(ルイス・プルマン)
      ホテルの秘密を隠し持つ。他にもトラウマを抱えているらしい。
  • 宿泊客
    • ダニエル(ジェフ・ブリッジス)
      偽神父。アルツハイマーを患う元服役囚。
    • ダリーン(シンシア・エリヴォ)
      場末の黒人女性歌手。枕営業を拒否してどさ回りを強いられている。
    • エミリー(ダコタ・ジョンソン)
      ヒッピーの女性。カルト教団に洗脳された妹を助け出したいと思っている。
    • ララミー(ジョン・ハム)
      FBIの潜入捜査官。ホテルに眠っていると思われるお宝の行方を探るが。
  • その他
    • ビリー(クリス・ヘムズワース)
      カルト教団のカリスマ。エミリーの妹を可愛がっている。

本作は上映時間141分とまあまあ長く、かつ謎が多すぎて観ているものをかなり混乱させるので、事前に基礎的な背景を理解しておいた方がいい。(と言うより、だいたいどんな話かを事前に仕入れておかずに、全くの白紙状態から見て本当に面白い作品は滅多にない)

本作の時代背景は、ニクソン政権下で、そもそもニクソンとフーバーは仲が悪いうえ、どちらも性格的に狷介で疑り深いから、どちらも相手の後ろめたい部分を探ってやろうと考えていたことは容易に想像できる。恐らくは、本作は異性にモテるうえにプレイボーイであったとされる人気政治家(1963年に暗殺される)らのスキャンダルを得るために、盗撮や盗聴目的で用意されたホテルが舞台であり、それを仕掛けたのは彼らの政敵である(当時の)政権の権力者なのだろう。
そして、その政権の悪事の証拠を得るためにホテルの調査に乗り出したFBI(つまりライリー捜査官)の思惑、というのが本来の背景であるはずだ。

そこに、ホテルの謎とは別の伏線が絡んで、物語が加速していくわけだが、逆にいうと、上記の設定(ホテルを利用した悪事を考えた黒幕が誰だかは、明かされていない。あくまで僕の推論だ。だが、それが合っているか間違っているかは別にして、ホテル自体の謎に何らかの解釈がないと全体の流れを見失う)とは関係がないさまざまな事情が、ホテルが持つそもそもの謎によって一気に重大化する。

謎が謎を呼ぶ、ちゃんと見ていないと、すぐに置いていかれるリスクを持つ作品なので、気合を入れて見てもらいたい。一見単なるB級にもみえるが、なかなかに凝った面白い作品であるので、事前にちゃんと準備して臨むことをお勧めする。

画像: 『ホテル・エルロワイアル』
〜訳ありホテルに集まった訳あり宿泊客が起こした騒動の訳とは

小川 浩 | hiro ogawa
株式会社リボルバー ファウンダー兼CEO。
マレーシア、シンガポール、香港など東南アジアを舞台に起業後、一貫して先進的なインターネットビジネスの開発を手がけ、現在に至る。

ヴィジョナリー として『アップルとグーグル』『Web2.0Book』『仕事で使える!Facebook超入門』『ソーシャルメディアマーケティング』『ソーシャルメディア維新』(オガワカズヒロ共著)など20冊を超える著書あり。

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