料理の美味しさを引き出してくれるのが日本酒であり、逆に日本酒のうまさを際立たせてくれるのが料理。日本酒と料理は切っても切れない関係ではあるが、それぞれには相性がある。本特集内【知識不要】日本酒を楽しむ簡単な方法にて、味わいは薫酒、爽酒、醇酒、熟酒の4つのタイプに分けることができると解説した。ここでは4つのタイプと相性のよい料理、そして日本酒を楽しむうえでは外せない“温度”について解説していく。
※取材協力:日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)

4タイプの日本酒と相性のいい料理

【知識不要】日本酒を楽しむ簡単な方法にて解説した通り、日本酒は薫酒、爽酒、醇酒、熟酒と4つのタイプに分けることができる。

ここでは、前項にてご紹介した「お酒と料理が同調する・バランスタイプ」を軸に、相性の良い料理を解説していこう。

薫酒(香りの高いタイプ)

フルーティな香りが特長の薫酒。このタイプの日本酒と合うのは、「華やかな香り」「清涼な風味」「柔らかな甘味」を持つ料理だ。柑橘類を添える料理や、果実そのものを使った料理などであればより理想的。主に前菜系の料理との組み合わせがよい、と覚えておこう。

■相性のいい料理

  • 白身魚の刺身(スダチ添え)
  • 香りがよくさっぱりとした味わいのサラダ
  • 香草風味のマリネ

代表的な薫酒タイプのお酒
純米吟醸酒 出羽桜(山形県)・純米大吟醸酒 獺祭50(山口県)・純米大吟醸酒 久保田 萬寿(新潟県)など

レモンを添えた鯛のカルパッチョなどもマッチするだろう

爽酒(軽快でなめらかなタイプ)

シンプルな香味の爽酒は、料理との相性の幅が広く、「軽快な旨味」「淡い味付け」「爽やかな風味」のある料理と同調させるのが理想。また、爽酒は濃厚な味わいの料理や脂分成分の多い料理を食べた後のウォッシュ・リセット効果も出しやすい。

■相性のいい料理

  • 冷奴
  • バジルソースの効いたパスタ
  • サラダ全般

代表的な爽酒タイプのお酒
純米吟醸酒 上善如水(新潟県)・吟醸酒 八海山(新潟県)・普通酒 吉乃川 厳選辛口(新潟県)など

組み合わせの効果を簡単に知ることのできる冷奴。居酒屋などで気軽に試してみては?

醇酒(コクのあるタイプ)

米の酒ならではの旨味やコクを感じさせる深い味わいが特長の醇酒。こちらのタイプの日本酒と相性がよいのは「豊富な旨み」「濃厚な味つけ」「適度な塩分」をキーにした料理。煮つけなどの味の濃いものだけでなく、チーズやバターを使用した料理とも相性がよい。酒の肴の定番であるイカの塩辛、カラスミなどの珍味類などもマッチするだろう。

■相性のいい料理

  • ピザ
  • 煮物
  • 酒盗類(塩辛)

代表的な醇酒タイプのお酒
沢の鶴 1973年醸造(兵庫県)・特別純米酒 人気一 1998年醸造(福島県)・達磨正宗3年古酒(岐阜県)など

醇酒と塩辛はベストマッチだ

熟酒(熟成タイプ)

濃厚な味わいや独特の香りで個性の強い熟酒は、他のタイプの日本酒ではなかなか合わせられない「風味の強い料理」「油脂成分の多い料理」「煮込んだり焦げ味をつけた料理」「スパイスの効いた料理」などと相性が良い。また濃厚な甘さのあるデザートとの組み合わせもオススメなので、食後酒として楽しむのもいいだろう。

■相性のいい料理

  • 麻婆豆腐
  • うなぎの蒲焼
  • パルミジャーノ・レッジャーノ(チーズ)

代表的な熟酒タイプのお酒
純米酒 山廃仕込み 天狗舞(石川県)・純米酒 大七 生酛(福島県)・純米大辛口 澤乃井(東京都)など