熟練の職人の手で1本1本、組み立てられていく
BBS工場の一角にあるスペースに用意されているのは、専用の加工台だ。職人がそこで、ディスクとリムを合体させる。サイズごとに径の違う台座を用意し、円周上に並んだ穴にピアスボルトを一本いっぽん手作業で差し込んでいく。そこにディスクを載せ、ボルトのすべてが取り付け穴に通される。さらにリムが載せられて同じく、取り付け穴にボルトを通していく。
固定作業としてボルトを素早く正確に締めていくのは、確かに専用のマシン。だが、全体的には想像以上に「手作り」感が溢れる印象だ。
もともとBBSのホイール作りは、巨大なプレスマシンや最新の工業用ロボットが活躍する一方で、細かな面取り作業や品質チェックは多くのシーンで人間が行っている。いわば、最新マシンと職人技の「共同作業」から、BBSブランドとしての高い信頼性や品質が生み出されてきた。
そういう意味では2ピースホイールは、鍛造1ピースの製品以上に人力による「手間」がかかっていると言えそう。BBSのモノ作りに関わる哲学を、しっかり主張しているのだ。
個性の選択が人気の秘密
BBSブランドの2ピースラインナップは、LM系やRS系など、定番的デザインの製品を中心に揃えている。その一方でRI-Sのような、挑戦的なスポークアレンジを施したモデルも用意してきた。
大きさやリム幅だけでなく、インセット部分についても幅広いサイズが展開されているので、愛車にピッタリの「個性」もより選びやすいハズ。
不滅の人気を誇る定番商品たちが定番であるためには、機能性や信頼性だけでなく、そうした自由度の高さもまた不可欠ということなのだろう。
神原 久|Hisashi Kambara
Motor Magazine誌など自動車雑誌の編集者としてはや30年が経過。「寄り道」と「回り道」が好きで、自動車以外にも五輪写真集や美人アスリート本、外国人ジャーナリストの文化論的単行本など、さまざまなジャンルの媒体編集を担当。特技はバレエ。趣味はゴスペルとバドミントン、配信動画鑑賞。