こんにちは、恐竜おねえさんこと生田晴香です。北海道むかわ町穂別で発見されたハドロサウルス類の恐竜は通称「むかわ竜」と呼ばれていたわけなのですが、ついにむかわ竜の論文が英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」で発表され、新属新種認定され正式な学名が決定しました。今回はそのむかわ竜はどんな学名でどんな特徴があるのかを紹介します。

連載コラム「生田晴香、恐竜と生きる」。福井恐竜博物館 公認恐竜博士、古生物学会友の会・恐竜倶楽部メンバーでもある自他共に認める恐竜ラバーのタレント生田晴香が、恐竜の素晴らしさを隅から隅まで語り尽くす。壮大な歴史とドラマ、未解明の不思議が交差する魅惑の恐竜ワールドへ、ようこそ。- dino.network編集部

学名予想

「むかわ竜」だった頃の、組み立てられているのがレプリカ。地面に置かれているのが実物化石。カムイサウルスになるとトサカが付いた復元になります。

皆さんはむかわ竜の学名何になったと思いますか?特徴的なキーワードといえばこのあたり!

  • 北海道
  • むかわ町
  • 白亜紀の牛
  • ハドロサウルス類
  • 堀田(発見した人)
  • 佐藤(恐竜だと気付いた人)
  • 小林快次(研究論文筆頭著者)
  • 化石が8割見つかった
  • ザ・パーフェクト
  • 海岸エリアにいた恐竜
  • 地震に耐えた
  • 7年放置されてた
  • ししゃもが美味しい地域
  • 約7200万年前の植物食恐竜

かなりのメディアに取り上げられているので知ってる方も多いと思いますが、「ムカワタウルス・コバヤシイ」これが生田晴香の予想でした。

筋トレしてます、生田晴香です。

何故そう予想したかというと、他の日本の恐竜は必ず地名を入れなければならないという決まりはないのですが、どの日本の恐竜も地名が入っているのと、タウルスは牛という意味なのですが白亜紀の牛だと言われてるところをとりました。サウルスはよく使われるので外してくるのではないかと思いました。

コバヤシイは、小林先生自身が恐竜界で人気なので名前を入れちゃうのかな?と思ったからです。名前の後ろに「イ」が入っているのは、こぉばやしぃ〜と言いかたをちょっと金貸せや的な感じで変えてみたと言うわけではなく、人の名前を学名に入れる時は「イ」を付ける決まりがあるからです。

当ったらいいなぁと願いつつ、日本時間で2019年9月6日0時、ついに学名が発表されました。

学名決定

「カムイサウルス・ジャポニクス(Kamuysaurus japonicus)」で決定しました!

おっと、予想外してしまいました。悔しいところではありますが素晴らしく神がかった学名になったので文句なしです。素直に拍手、おめでとうございます。

学名の意味は「日本の竜の神」です。

詳しく分けていくと、「カムイ」は、アイヌ語で神、「サウルス」は、トカゲ(竜)、「ジャポニクス」は日本を意味します。土地の特性を生かしつつ、日本を代表するものという思いを込めて名付けたそうです。

カムイといえば「ゴールデンカムイ」というアイヌの文化を知れてアニメにもなっている漫画が面白く人気なので、ゴールデンカムイ好きには「スッ」っと覚えやすいのではないでしょうか。

ジャポニクスで世界に日本アピールできますし、地名を入れなくても「カムイ」で北海道感伝わりますし、竜の神だし、日本代表感満載です。他の恐竜が発見された県の方はやられたー!と悔しがっているのではないでしょうか。お見事!と盛大な拍手を感動の涙を流しながらしたいところです。

カムイサウルスの特徴

ja.wikipedia.org

部位が発見された骨化石は222点で、一般的なハドロサウルス類全体骨格の約6割に当たります。全身骨格の保存率としては約8割になります。

尻尾は既に風化侵食でなくなっていて、鼻先は大きく欠損していて仙椎の部分は発見できてはいないもののそれ以外はかなり見つかっているいい標本です。頭や胴椎に特徴がみられます。

頭は、頭骨の高さが高く相対的に前後が短く可愛らしい形をしています。眼窩と側頭窓の幅が大体同じで側頭窓の上と下では下の方が広いです。前前頭骨のところのカーブが他のハドロサウルス類と違ってゆるいなど、他にもたくさんの特徴があります。

歯は全部バラバラに抜けている状態で発見されていますが歯槽が残っていて、歯根で上の歯なのか下の歯なのかわけることができます。

胴椎の6〜12番目の神経弓が前傾した突起をもっており、それはカムイサウルスにしかみられない特徴ということで、カムイサウルスネイルに取り入れてみました。

上にまっすぐ伸びているパターンがほとんどなのですが、前に倒れている感じがわかりますね!

大腿骨は約1メートルあり、周囲長から体重を推定すると、2足歩行していた場合は4トン(±1トン)、4足歩行していた場合は5.3トン(+1.4トン)くらいだと考えられます。全長は約8メートルです。

大腿骨の薄片と脛骨の薄片

年齢は脛骨の薄片を作り調べてみると木の年輪のような成長停止線が確認できるのですが、9本の成長停止線が残っています。内側は何本かなくなっていますが2本から4本あった可能性があるので、13歳くらいだということがわかります。

成長停止線の幅を見ると、外側に行くにつれてどんどん間が狭くなっているのがわかるので、どんどん成長が遅くなっているという事になります。カムイサウルスがお亡くなりになられた時には成体に近かったのではないかと予想されます。

ハドロサウルス科は大きく2つ、トサカがあるグループ(ランベオサウルス亜科)と、ないグループ(ハドロサウルス亜科)に分かれるのですが、カムイサウルスはハドロサウルス亜科に分類され、エドモントサウルス類に入ります。ですが、トサカ状の突起があった事わかり、面白い恐竜だという事がわかります。

もっと詳しく知りたい方は論文をチェック!

生田晴香 | Haruka Ikuta
恐竜タレント。TV、CMのほかモデルとして活躍中。福井恐竜博物館の公認恐竜博士で恐竜検定所持。恐竜トークショー、クイズ、鳴き声コンテスト審査員。古生物学会友の会&恐竜倶楽部メンバー。恐竜のうた「ダイナソーDANCE」監修。実は元あやまんJAPAN。
YouTubeちゃんねる「恐竜わっしょい!」始めました。

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