42年前に始まった、スター・ウォーズシリーズ(スカイウォーカー一族の歴史ともいう)の最終話。大団円を迎える本作を早速観てきたのでレビューをお届けする。

「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」最後の予告篇 世界同時解禁

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42年にわたる人気シリーズの大団円

1977年にスタートしたスター・ウォーズシリーズ。その最終章となるのが本作、『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』だ。

スター・ウォーズはもともと全9作(全9部)の予定でスタート。時系列順に製作されるのではなく、4/5/6部がまず公開され、その後1/2/3部が公開されている。ただ、その後の1/2/3部の興行成績が関係者の期待を裏切ることになったため、7/8/9部の製作は長いこと見送られてきた。
それが昨今の、過去に成功したIP(知的所有物)のリブートブームに背中を押される形で2015年にスター・ウォーズ(『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』)は復活し、こうして新三部作が作られることになった。そして、今回2019年12月20日(日本時間)に全世界に公開された最新作『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』で42年間の長期にわたったシリーズが大団円を迎えることになったわけだ。

スカイウォーカー(ジェダイ)対パルパティーン(シス)の設定に忠実

惑星ジャクーでスクラップ収集と売買を生業にしていた少女レイを主人公とする新三部作(7/8/9部)は、強力なフォースを目覚めさせた彼女の出生の謎を軸に、ルーク・スカイウォーカーらによって滅ぼされたはずの帝国の残党ファースト・オーダーと、銀河の自由を守ろうとする(ルークの双子の妹であるレイア・スカイウォーカー率いる)レジスタンス軍の戦いを描いている。
そのなかで、ファースト・オーダーに与するフォースの使い手(ルークとともに帝国軍と戦った、ミレニアム・ファルコン号船長のハン・ソロとレイアの息子でありながらダークサイドに堕ちた、本名ベン・ソロの)カイロ・レン、ファースト・オーダーからの脱走兵フィン、レジスタンス軍の凄腕パイロット ポーなどのキャラクターたちとレイとの絡みが物語を紡いでいく。

この新三部作を含めた全9部となるスター・ウォーズシリーズは、大きく見ればフォースと呼ばれる宇宙全体に存在する超自然的なパワーを使いこなす正義=ジェダイと悪=シスの戦いでもあり、劣勢に追い込まれていくジェダイの最後の希望として生まれるスカイウォーカー一族と、シスの頂点である旧帝国軍の皇帝パルパティーンの戦いでもある。

つまり、ほんの少しネタバレになるが、前作でファースト・オーダーの最高指導者スノークがわりあい簡単に倒されてしまうことでかなり拍子抜けしてしまうのだが(スノークの正体についてさまざまな憶測があったが)、本作ではそのスノークが単なるダミーであり、実はすべての黒幕が死んだと思われていたシスのパルパティーンであったこと、そしてルークとレイアの力を受け取ることでレイが真のジェダイへと成長する流れが描かれることで、新三部作もまたスカイウォーカーvsパルパティーンの物語であることが明確になるのである。

前二作に散りばめられた伏線(謎)は全て回収されている?

ところで、本作は主人公のレイの出生の秘密がキーファクターになっており、本作においてその謎が明かされる(この謎自体は、結構意外というか、そうきたか!と思わせるものではあった、かなり強引な設定ではあるが・・)。
同時に、これまでは前三部作(1/2/3部)でフォースの使い手にはかなり遺伝的要素が強いという設定(ミディ=クロリアンという物質?生命体?が血液中に多く存在する者が強いフォースを持つという設定)がなされており、血の繋がりが重要視されてきたが、本作においても結局はフォースは生まれ持った素質に左右されるものの(努力によって勝ち得るものではないのが残念だが)、血縁より大事なものが存在するという解釈が加えられている。僕としては、そこには高評価を与えておきたい。
(繰り返すが修行ややる気だけでは覆せない、という設定は変わらない・・・。凡人はジェダイにはなれないのである)

レイの出生を中心として、数多くの謎が前二作において伏線として散りばめられてきたが、だいたいにおいて本作で伏線は回収されている。正直全てではなく、“あれ?あそこはどういうことだったの??”と思わないではいられないことも結構あるのだが、それはもう言わないことにしよう。スター・ウォーズのテーマミュージックが高らかに響いた瞬間に、細かいことはどうだっていい、積極的にこの世界観に染まればそれでいい!と思えるからだ。

多少の矛盾は残るが、全9部の最終章としての役割は十分に果たしており、それなりに納得できる本作、なるべく早く劇場に足を運び、長きにわたったその歴史の終わりをしっかり味わうことをお勧めしておこう。

小川 浩 | hiro ogawa
株式会社リボルバー ファウンダー兼CEO。dino.network発行人。
マレーシア、シンガポール、香港など東南アジアを舞台に起業後、一貫して先進的なインターネットビジネスの開発を手がけ、現在に至る。

ヴィジョナリー として『アップルとグーグル』『Web2.0Book』『仕事で使える!Facebook超入門』『ソーシャルメディアマーケティング』『ソーシャルメディア維新』(オガワカズヒロ共著)など20冊を超える著書あり。