名匠ソダーバーグ監督が描くオーシャンズ11のパロディ的クライムエンターテインメント。
チャニング・テイタム、アダム・ドライバー、ダニエル・クレイグ、ヒラリー・スワンクなどスター、名優を集めた痛快作だ。

『ローガン・ラッキー』2018年8月8日(水)Blu-ray&DVD発売/同日Blu-ray&DVDレンタル開始

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不運につきまとわれた兄弟たちが、起死回生に挑むクライムアクション

主人公は元高校アメフトのスターで脚の怪我で引退を余儀なくされたジミー・ローガン(兄)と、イラク戦争の退役軍人で左前腕を失ったクライド・ローガン(弟)。

ジミーは仕事を失い、さらに離婚した妻が再婚相手と共に州外に引っ越すために、愛娘と過ごす時間をも奪われようとしていた。
クライドもまた、安い義手に耐えながら街外れのバーを経営していた。

2人は不遇な境遇から脱出しようと、これまでに何度もさまざまな計画を立ててはトライしてきたが、ことごとく予期せぬ不運につきまとわれて失敗。クライドはそれを“ローガン家の呪い(ローガン・アンラッキー)”とぼやくが、ジミーは今度こそ大きなヤマを当てるための計画を思いつく。
それは、州内のカーレースのサーキットの収益金を強奪することだった。

ジミーとクライドは、妹のメリーや、金庫破りのプロのジョー・バングらを仲間に引き入れ、周到な計画を立て始める。果たして今度こそ、ローガン家の幸運(ローガン・ラッキー)を引き当てることができるか?

起死回生の大勝負が始まった。

『オーシャンズ11』などで知られる名匠スティーブン・ソダーバーグ監督が久しぶりにメガホンをとった本作、オーシャンズ11に見られる、テンポの良い都会的なプロ犯罪者集団の小気味いい計画遂行 とは真逆の、モタモタとした 田舎の素人犯罪者たちの泥臭い犯行 を描きながら、コンセプトは同じく鮮やかに観ている者を欺いていく、爽快なエンターテインメントになっている。

一流のスターを集めた豪華作品

主人公ローガン兄弟を演じるのは、『GIジョー』『ステップ・アップ』で主演を務めるチャニング・テイタムと、新『スター・ウォーズ』シリーズでカイロ・レンを演じたアダム・ドライバー。
さらに彼らと組む金庫破りのプロを007役で大ブレイクしたダニエル・クレイグ、そして犯罪者たちを追い詰めようとするFBI捜査官には『ミリオンダラー・ベイビー』のヒラリー・スワンクが配されるという豪華さ。

日本ではあまり話題にならなかった本作だが、さすがはソダーバーグ作品、と言えるだろう。

田舎くさい計画に見えて、その実綿密なトリックを見破れるか?

結論を言えば、本作はソダーバーグ作品らしく、スタイリッシュなトリックを駆使されて、さまざまな予期せぬトラブルを巧みにかわしつつ遂行されていく犯罪計画を愉しむための映画だ。無論、彼らを追う敵対者(時にギャング、時に警察官など。本作ではFBI)の執念もまた、丁寧に描かれており、それらのプロットはいつもと変わらない。

計画そのものを綿密に描いていく中で、トリックを暴くための無数のヒントが観客に示されているのだが、もちろん観ている者にはなかなかそれとはわからずに見逃してしまう。
ソダーバーグ監督は、計画がうまく行ってから、種明かしのようにそれらを紐付けていき、観客はほおぅっと感嘆のため息をつく、という仕掛けもいつも通りである。

ただ、本作に限って言えば、ちょっと凝りすぎたのか、一度見ただけではなかなか種明かしをされても全体を理解できないかもしれない。(え?え?今のどういうこと?と観客がきょとんとしてしまいかねない)
それが祟ったのか、本作は評論家からの評価は高いものの、商業的にはあまりうまくいかなかったと聞く。

映画館では何度も見るわけにはいかないだろうが、自宅でストリーミングでもDVDででも、分からなければ遠慮なく戻して確認しながら観ることができる。ある意味本作は、作り手がそういう見方に合わせて、多少のわかりづらさを敢えて仕込んだ、とも言えるかもしれない。

まずは、実際に観て確かめてもらいたい、と思う。

小川 浩 | hiro ogawa
株式会社リボルバー ファウンダー兼CEO。
マレーシア、シンガポール、香港など東南アジアを舞台に起業後、一貫して先進的なインターネットビジネスの開発を手がけ、現在に至る。

ヴィジョナリー として『アップルとグーグル』『Web2.0Book』『仕事で使える!Facebook超入門』『ソーシャルメディアマーケティング』『ソーシャルメディア維新』(オガワカズヒロ共著)など20冊を超える著書あり。