キアヌ・リーブスが人間の意識のコピーと移管技術を研究する科学者に扮したSFスリラー。

映画『レプリカズ』5/17(金)公開/予告

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人間を複製する禁断のテクノロジーに手を染めるマッドサイエンティストをキアヌ・リーブスが熱演

本作で登場する 近未来的禁断のテクノロジーは2つ。1つは人体のクローンと成長促成技術(ドナーの細胞からクローンを作るだけでなく、短期間でドナーの提供時の年齢にまで成長させる技術)。もう1つは人間の意識をコピーし、移植する技術だ。

ジョニー・デップ主演の同様なテーマを題材にした映画『トランセンデンス』では、主に人間の意識をコンピュータにアップロードしていたが、本作ではクローン培養した(心を持たない、白紙状態の)肉体へのインプリメントが描かれており、人間の複製=レプリカを作ることが可能な世界となっている。

ちなみに『トランセンデンス』は意識の移植は、複製ではなくあくまで移動(=同じモノがコピーされるのではなく、肉体からコンピュータへの生命基盤自体が移される。魂が抜かれて、新たなボディとしてのコンピュータに移動)するものだったが、本作で描かれるのは移植技術であり複製だ。だから、実質いくらでも同じモノを作ることができる。前者は意識=生命もしくは魂(ソウル)だが、後者は意識=データであり、魂の存在をどう考えているのか?という点には全く触れられていない。

前半はSo seriousだが、後半はちょっとB級化が進むストーリー、でもまあ良しとしたい

人間の意識を複製して機械に移植する技術の開発を行う、バイオテクノロジー企業のラボの責任者として働くウィリアム(キアヌ・リーブス)は、不慮の事故で家族を失う憂き目に遭うことから、この技術を使って死んだ家族を複製するという暴挙に踏み切る。

ウィリアムは、家族のクローンを作るだけでなく、寸分違わぬ姿で甦らせるため、短期間で事故直前の年齢にまで急成長させたうえで、死体から抜きとった記憶をデータ化し、複製した肉体に移植させる。
苦悩と苦労の果てに、(複製による)家族の蘇生に成功するウィリアムだったが、その技術の軍事利用と 証拠となる複製家族の抹消を迫られることになる....。

愛ゆえに死者を蘇らせるものの、魂の復活には失敗してこの世のものならぬ怪物を生み出してしまうスティーブン・キングの傑作ホラー『ペット・セメタリー』を想起させられる前半の展開には、バッドエンドを容易に予感させられるが、そこはキアヌ作品、後半の展開はちょっと軽さを感じさせられる、娯楽映画のご都合主義が覗いて 安心はしながらもちょっと拍子抜けする。

まあでも、このコラムではいつも書くことだが、映画の芸術性を追求するあまりのバッドエンドやメリバ(メリー・バッドエンド)を僕は好まないので、まあこれはこれでいいか、という終わり方に特にクレームをつけはしないでおく。

小川 浩 | hiro ogawa
株式会社リボルバー ファウンダー兼CEO。
マレーシア、シンガポール、香港など東南アジアを舞台に起業後、一貫して先進的なインターネットビジネスの開発を手がけ、現在に至る。

ヴィジョナリー として『アップルとグーグル』『Web2.0Book』『仕事で使える!Facebook超入門』『ソーシャルメディアマーケティング』『ソーシャルメディア維新』(オガワカズヒロ共著)など20冊を超える著書あり。