1995年に大ヒットしたアドベンチャー・ファンタジー『ジュマンジ』をリブートして大ヒットした『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』の続編。
前作では、主人公のオタクな高校生がゲームの中では無敵のマッチョ ドウェイン・ジョンソンに変身して大活躍。今回も、ゲームの世界でもリアルの世界でも前作と同じキャスト、同じキャラが登場して違和感なく世界観を再現している。

ドウェイン・ジョンソン主演 前作を超える体感型アクション・アドベンチャー『ジュマンジ/ネクスト・レベル』2020年3月11日(水)デジタル先行配信 / 3月25日(水)ブルーレイ&DVD発売

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ゲームの中の無敵ぶりを忘れられず再びプレイしてしまい・・・キャラクターに自己投影し過ぎは危険?

3D VRゲームをプレイすることによる没入感を先取りしたかのように、プレイヤーがゲームの世界に完全に入り込んで、ゲーム内のキャラクターとして生死を懸けてゴールを目指さなくてはならなくなる、というのが元々の「ジュマンジ」のコンセプト。
オリジナルではボードゲームだったのだが、リブートされた新シリーズではビデオゲームに進化。本作では、前作で味わったゲーム内での高揚感を忘れられずに、再び「ジュマンジ」の世界に入ってしまう少年と、彼を救い出すために集まった友人たちの冒険を描いている。

前作で「ジュマンジ」を攻略した高校生たちが長じて大学生になって再度「ジュマンジ」をプレイ。ゲームの中のキャラクターも前作同様、ドウェイン・ジョンソンやジャック・ブラックらおなじみの顔を揃えて、観る者に違和感を与えない。

リアルデスが待っているとわかっているけれどプレイをやめられない魔力?

非日常的な空間で出会ったカップルは長続きしないと言うが(その昔キアヌ・リーブスとサンドラ・ブロックが主役を演じた名作映画『スピード』でもそんなセリフがあったし、実際その言葉通りになっていた)、前作で無敵マッチョのドウェイン・ジョンソンのキャラに同化した主人公のオタク少年スペンサーは、同じくゲーム内で無敵美女ルビーに変身した根暗少女のマーサと恋人になったものの、リアルの世界では変わらず病弱でオタクでヘタレな自分に自信が持てず、さらに進学を機に遠距離恋愛を余儀なくされたため、マーサとの関係を続けていく自信をなくしてしまう。

自分を見失った スペンサーは弱気の末に禁じ手に手を出す。すなわち、前作で破棄したはずのジュマンジのゲーム機を修理し、再起動させてしまうのだった。

スペンサーのその姿は、現実にゲーム依存が過ぎて中毒になってしまう若者たちのあり様に重ねられるし、麻薬など違法薬物やアルコールの常習者が 禁断症状に耐えきれずに再使用してしまう様を思い起こさせる。
現実の苦悩を断ち切るためには、その苦悩を生む源に向き合うほかないのだが、それはなかなかに難しく、クリアできなければ破滅するほかない厳しく苛烈な世界であることがわかっていながらも、断ち難い強い高揚感と興奮を与えてくれる手段(この場合は 「ジュマンジ」というゲーム)にすがってしまうのも、ある意味普通の人間が普遍的に持つ弱さだと言えるだろう。

rたいていのゲームでは、死んでもゲームオーバーになるだけで、リアルの自分は安全なままだが、「ジュマンジ」ではゲーム内での死は(2回までは復活できるが、3回目は現実世界に戻れなくなるので)、リアルデスを意味するので、本来は 簡単にはプレイできない、恐ろしい現実があるのだが、それをも忘れさせるだけの中毒性が「ジュマンジ」にはある。麻薬などの薬物中毒者に、続けていれば死にますよ!と強くたしなめてもなかなかやめてくれないのも、同じようなものであり、死んでもいいからやめられない強いスリルやエキサイトメントを提供することで、現実世界での惨めさを忘れさせてくれる“何か”というものは、確かに存在するのだろう。
幸にして、僕にはその“何か”の魔力はいまのところわからないし、近づこうと思わないが、いつ何時それに囚われるものかわかったものではない。(自分は絶対に大丈夫、とは思わずに)あくまで、遠ざけておく、というのが正解だろうと思う。

(「死んでもいいから闘争する」という気分は、バイク乗りにはどこか共感してしまう刹那的な勢いというか破滅的な魔力というか、強く惹きつけられてしまうものなので、スペンサーたちの気持ちも全く分からない、ということはないな、とあとからふと思った。)

小川 浩 | hiro ogawa
株式会社リボルバー ファウンダー兼CEO。
マレーシア、シンガポール、香港など東南アジアを舞台に起業後、一貫して先進的なインターネットビジネスの開発を手がけ、現在に至る。

ヴィジョナリー として『アップルとグーグル』『Web2.0Book』『仕事で使える!Facebook超入門』『ソーシャルメディアマーケティング』『ソーシャルメディア維新』(オガワカズヒロ共著)など20冊を超える著書あり。