2015年公開のSFスリラー。過去や未来の出来事を感知してしまう超能力を持つ2人の男が、FBI捜査官と連続殺人犯として激突。前者をアンソニー・ホプキンス、後者をコリン・ファレルが扮する。
善悪の闘いではなく、まるでトロッコ問題への回答を強いられるような、究極の選択を迫る作品だ。

連続殺人犯と、彼を追う捜査官の超能力対決

謎の連続殺人事件を追うFBIは、3人の犠牲者を出しながら、何一つ手掛かりを掴むことができずにいた。操作の指揮をとるジョーと補佐を務めるキャサリンは、藁をも掴む思いで引退した1人の捜査官ジョン・クランシー博士(ホプキンス)に捜査協力を依頼する。ジョンは予知能力とも言える超能力を持ち、数々の難事件を解決に導いていた。

初めは気が進まない様子だったジョンだが、現場に髪の毛一本どころかDNAさえ残さず、常に脳髄への一差しで被害者を即死させる手際の良さを見せる犯人が、自分と同じ能力者であると看破する。しかも、その能力は彼のそれを凌駕するものであると予見したジョンは、恐るべき敵との対決を覚悟するが・・・

親しい人の苦しみを傍観するしかないつらさに絶望するか、罪を背負ってもその苦しみを引き受けるか

コリン・ファレルが演じる犯人チャールズによって命を奪われる被害者たちには、実は隠された共通点があった。
また、犯人を追う側と、追われる側にも(他人の運命が見えてしまう、超能力という)共通点がある。
ジョンは、常人には持ち得ない能力をもちながら、悲劇的な運命を課せられた人々を救えるわけでもなく、傍観者にすぎないことに諦念にも似た絶望を持っているが、チャールズはその能力を使って悲劇に晒される人々の苦しみを少しでも柔らげる手段を思いつく。自らの行為を正義と考えるチャールズの確信と、それを許せない悪とみるジョンの葛藤。
予知能力者という、現実にはなかなか有り得ない設定の中で、どちらの考え方がより自分たちに近いのか。本作は、裏か表かのコイントスを強いられるかのように、観る者にその立場を定めることを迫る。

原題の『Solace』とは、直訳すれば慰めとか同情という意味になるが、ジョンとチャールズの対決は、善と悪の闘いというよりも、苦しみから逃れたいと思う者と寄り添って生きることが救いを与えることになるのか、それともその逃避を手伝うことが救いとなるのか、答えのない問いを常に託されてしまう者の葛藤を描いているのである。

映画『ブレイン・ゲーム』予告編

youtu.be

『羊たちの沈黙』『ハンニバル』『レッド・ドラゴン』のハンニバル・レクター博士でお馴染みの名優アンソニー・ホプキンス。マーティン・マクドナー監督の『セブン・サイコパス』、ヨルゴス・ランティモス監督『ロブスター』などで再注目されるコリン・ファレル。実力派の2大スターが、頭脳戦を繰り広げるサイコスリラーが、待望の日本公開!

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小川 浩 | hiro ogawa
株式会社リボルバー ファウンダー兼CEO。
マレーシア、シンガポール、香港など東南アジアを舞台に起業後、一貫して先進的なインターネットビジネスの開発を手がけ、現在に至る。

ヴィジョナリー として『アップルとグーグル』『Web2.0Book』『仕事で使える!Facebook超入門』『ソーシャルメディアマーケティング』『ソーシャルメディア維新』(オガワカズヒロ共著)など20冊を超える著書あり。