旧いバイクに乗っていようが最新モデルに乗っていようが関係ない。こいつを速く走らせたい。それだけさ。
オートバイ2020年9月号別冊付録(86巻 第14号)付録「The Suggestion」(東本昌平先生作)より
©東本昌平先生・モーターマガジン社 / デジタル編集:楠雅彦@dino.network編集部

1999年式のYAMAHA YZF-R1を駆る男の前に現れた同型のバイク

男の愛車はYAMAHA YZF-R1。とは言っても最新モデルじゃあない、1999年式の旧車というやつだ。

この日、温泉街に続く峠を走らせていた彼は、前方に自分の愛車と同じバイクが走っていることに気づき、近くからよく見ようと思って近づいた。20年以上前で同じ型のバイクとなれば、親近の情がわくというものだ。

一瞬でぶっちぎられて唖然??

ところがそいつは思いの外速かった。
もちろん男にバトルを仕掛ける気分などなかったのだが、先行するライダーからすれば、ヌルヌルと近寄ってくるバイクは気味が悪かったことだろう、スロットルを開けると一気に加速したのだ。
慌てて追いすがろうとした男だったが、先行するR1のライダーはかなりの腕前だった、カミソリステアと異名をとったR1を軽々と操り、見事なコーナリングを見せつけたのだ。
「曲がれねェ!」

先行するライダーについて行こうと速度を上げた男は、カーブへの侵入速度を誤って、的確な体重移動をすることができず、無様にブレーキをかけることになる。カーブの途中で停車してしまった彼を置いて、先行するR1はあっという間に消え去っていったのだ。

さて、あなたなら、自分をぶっちぎっていったR1に再戦仕掛ける?

十代の頃のキラめきを忘れない
あなたなら?

楠雅彦 | Masahiko Kusunoki

車と女性と映画が好きなフリーランサー。

Machu Picchu(マチュピチュ)に行くのが最近の夢。