こんにちは、恐竜おねえさんこと生田晴香です。ギネス世界記録というのは、あまりにもたくさん種類がありすぎて、いつか私も何かしら取れるんじゃないか!? なんて思ってしまいます。周りで取っている人間がいるわけでもないし、もちろんそんな簡単なことではないことは十分理解していますが、我ながら謎です。自分の話はさておき、恐竜ならどうでしょう。今回は、ラジオやネットで話題となっていた恐竜のギネス記録についてご紹介します。

連載コラム「生田晴香、恐竜と生きる」。福井恐竜博物館 公認恐竜博士、古生物学会友の会・恐竜倶楽部メンバーでもある自他共に認める恐竜ラバーのタレント生田晴香が、恐竜の素晴らしさを隅から隅まで語り尽くす。壮大な歴史とドラマ、未解明の不思議が交差する魅惑の恐竜ワールドへ、ようこそ。- dino.network編集部

ギネス世界記録とは?

まず、ギネス世界記録というのはイギリスの『ギネスワールドレコーズ』という組織が収集や認定をしているもので、日本には『ギネスワールドレコーズジャパン』という名称の日本支社があります。

毎年「ギネス世界記録」という数々の世界一が集められた書籍が出版されていて、これまでに約5万件もの記録が登録されているそうです。

ギネス申請があると、過去の記録の更新なのか、新しい挑戦の場合は、計測ができる記録なのか、他の人間が挑戦できるルールなのか、などといった基準で審査をします。

日本人がギネスを取ったり、海外で変わったギネス世界記録が認定されたりするとテレビなどで紹介されたりしますよね。

さて、他人がどんなギネス記録更新をしていようが興味がない皆様、お待たせしました。恐竜に関わるギネス世界記録なら興味津々になってくれると思うので、ご紹介していきます。

恐竜のギネス世界記録

そもそも、恐竜に関わるギネス世界記録は存在するのか気になるところですが、しっかりと存在しています。

中国広東省(Guangdong)河源市(Heyuan)にある河源恐竜博物館では、恐竜の卵化石を最も多く収蔵する博物館として、2004年にギネス世界記録に認定されました。

そのとき認定された恐竜の卵化石の数はなんと10,008点!「なんだこの数は…!!」と嬉しい驚きができ、とにかく最高です。博物館へ行ってずらーっと並べてあるところをリアルで見てみたいですね。

その後も博物館の記録は更新され続けていて、なんと今では18,000点にまで増えているそうです。(拍手)この勢いで更に増えていくことでしょう。

なぜ中国ではこんなにも多くの恐竜の卵化石が産出されるのかというと、赤い地層が多いことがひとつの理由として挙げられます。その赤い地層は、アルカリ性の土壌のため、卵が溶けやすい酸性土壌と比べて卵が残りやすく、その結果たくさんの卵化石が産出されるそうです。

ちなみに、恐竜化石が発見されたことを考古学用語で「出土」とよく書き間違えているのを目にしますが、恐竜は考古学ではなく古生物学の学問なので「出土」ではなく古生物用語で「産出」と使いましょう。

日本でもギネス世界記録

こちらはネットやラジオなどで話題になりましたが、テレビでももっと全人類に知れ渡るようなニュースになっていいはずなのに!!と声を大にして世界に言いたい最新の恐竜情報です。(2020年記載)

www.guinnessworldrecords.jp

「Smallest fossilized non-avian dinosaur egg(世界で最も小さい非鳥類型恐竜卵化石)」という研究論文がCretaceous Research誌電子版に2020年5月23日付で記載報告されました。

論文はこちら↓
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0195667120302056

それがギネス世界記録のイギリス本社から照会があり世界最小認定に繋がったそうで、なんと!2020年11月に発行される「ギネス世界記録2021」に掲載される予定だそうです。

どのようなものか詳しく説明しますと、あのNHKラジオ番組「子ども電話化学相談」にて恐竜の卵専門の先生で有名な、筑波大学生命環境系の田中康平助教授と、カナダ・カルガリー大学、カナダ・王立ティレル古生物博物館、兵庫県立人と自然の博物館などの国際研究チームが兵庫県丹波市で発掘した獣脚類恐竜の卵化石が、世界最小の非鳥類型恐竜卵としてギネス世界記録に認定されたということなのです。

2019年1〜3月、丹波市の白亜紀前期(約1億1000万年前)の「タンバティタニス」という恐竜が発見されている地層からの発掘でした。

形状を留めた卵化石(4点)や卵殻片の化石(約1300点)が収集され、これらの卵殻は4種類に分けられ、うち1種類は新卵属・新卵種として「ヒメウーリサス・ムラカミイ」と命名されました。

「ヒメウーリサス・ムラカミイ」の大きさは45×20ミリ、推定重量は約10グラムとウズラの卵ほどの重さだったことから、世界最小の認定を受けたのです。

www.tsukuba.ac.jp

「今回の認定をきっかけに、日本からも世界一となる恐竜化石が見つかることを知っていただければ、うれしく思います。太古の多様な恐竜たちに思いをはせていただければ幸いです。これからも、恐竜たちの不思議な生態や進化を探っていきたいと思います。」

と田中康平助教授は筑波大学のホームページにてコメントされています。

www.tsukuba.ac.jp

卵は小さくて可愛いし、完全に拍手祭りです!喜ばしいですね!本当におめでとうございます。(拍手)これからさらに小さい恐竜の卵が発見される可能性もありますし、記録更新や新たなる恐竜ギネスニュースも楽しみですね!

ではまた!

生田晴香 | Haruka Ikuta
恐竜タレント。TV、CMのほかモデルとして活躍中。福井恐竜博物館の公認恐竜博士で恐竜検定所持。恐竜トークショー、クイズ、鳴き声コンテスト審査員。古生物学会友の会&恐竜倶楽部メンバー。恐竜のうた「ダイナソーDANCE」監修。実は元あやまんJAPAN。
YouTubeちゃんねる「恐竜わっしょい!」始めました。

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