結婚式場のWebサイトのデザインを請け負った島崎は、プランに必要な写真撮影現場に向かう。新しい相棒、ホンダ Rebelとともに。
オートバイ2020年10月号別冊付録(86巻 第15号)付録「Seaside Sandwich」(東本昌平先生作)より
©東本昌平先生・モーターマガジン社 / デジタル編集:楠雅彦@dino.network編集部

人生のパートナー選びの手伝いは楽しい。そうだろう?

ボクは島崎。フリーのWebデザイナーだ。
請けたばかりの仕事は結婚式場のWebサイトのデザイン。いろいろと注文が多くて手直しも多い。だけど人の幸せの手伝いをしていると思えば楽しくもある。長くて短い人生を共にするパートナーとの新しい暮らしを始めるための儀式をするんだ、あれこれ考えたって当然だ。

クライアントの要望を遅滞なくサイトに反映する。それがボクの仕事だ。
お客様に満足してもらうのがボクの役目だし、それを楽しいと思えなければフリーランスなんてやってられないってもんだろう。

『格安結婚式をご提案』を全面に・・・はい
プラン表も追加・・・ええ、大丈夫です

「いつでも連絡ください」そう言ってボクはクライアントとの電話打ち合わせを終えると、いつものジャケットを羽織り、バックパックを背負って外にでた。サイトに使う写真撮影の具合を見るためだ。
今日はビーチで模擬結婚式の様子を撮影しているはず。ボクは新しく手に入れたバイクのエンジンをかけた。

胸の高まりと同期するエンジン

愛車の調子は上々だ。天気もいい。Rebelのエンジンは軽やかに回る。それはボクの胸の高鳴りと同期しているかのようだ。
そうさ、ビーチへの道のりはまるでツーリングのような心地よさだった。ボクは浮き立つような気分のまま、ヘルメットを脱ぐと、撮影クルーたちに合流した。

お、いたいた。
馴染みの女の子に声をかけると、とびきりの笑顔で迎え入れてくれる。気分は最高のままだった。
ほんとに最高さ、最高でないわけがない。

バイクなら恋だって加速できるさ

撮影は無事進み、クルーたちは各々帰路に着く。
ボクは馴染みの子を誘って、停めたバイクにまで連れ立って歩いた。新しいバイクを見せたかったのだ。

ボクの期待に応えるかのように、彼女は「これなに?バイクかえたの?」と言った。
跨ってごらんヨ、とボクは言った。

帰り乗ってく?ボクは勇気をふりしぼって、でもできるだけ軽い調子で誘ってみた。
すると、彼女は「ヘルメットは!?」と答えたのだ。ボクは銃声に驚いたウサギのように走り出した。

ロケバスにヘルメットくらいあるだろ!とボクは叫んだ。

楠 雅彦|Masahiko Kusunoki
車と女性と映画が好きなフリーランサー。
Machu Picchu(マチュピチュ)に行くのが最近の夢。