「ジュラシック・パーク」「ジュラシック・ワールド」シリーズの舞台となったイスラ・ヌブラル島で開催されるサバイバル・キャンプに参加したのは6人の少年少女。予期せぬトラブルのため暴走し始めた恐竜たちの、容赦ない襲撃に晒されることになった彼らの、命懸け・真剣勝負のサバイバルゲームを、ドリームワークスが実写を超えるリアルさでアニメ化。

人種や性別など立場を超えた少年少女たちが一致団結して危機に立ち向かう

本作は劇場公開された過去のジュラシック・パークシリーズと同じ世界観・舞台、時間軸を共有しており(製作にスティーブン・スピルバーグももちろん加わっている)、イスラ・ヌブラル島の北部に設置された恐竜の収容区画に新たに造設されたキャンプ場に招待された、6人の少年少女たちが暴走した恐竜たちの襲撃を逃れて島を脱出する様を描いている。
(この危機を生み出した原因は、映画『ジュラシック・ワールド』で、最新の遺伝子工学で作られたハイブリッド恐竜インドミナスが脱走を試みたことによって起きた事件と思われる。つまり本作は、シリーズ第4作となる『ジュラシック・ワールド』のサイドストーリー的な存在、と言えるだろう)

主人公のダリウスは(ちょうど『スパイダーマン:スパイダーバース』のマイルスによく似た感じの)明るく素直な性向の黒人少年。幼いころからの恐竜好きは、共にジュラシック・ワールドに行こうと約束をしていた父親が若くして病に斃れたあとも変わらない。彼を中心に、人種も性別も立場も異なる6人が、互いの違いを超えて協力し合って未曾有の危険に立ち向かっていく。

恐竜たちのリアルさは実写映画以上?

本作は、これまで実写映画として製作されてきた『ジュラシック・パーク』シリーズの正当な続編であるが、CGを駆使して作られたアニメーション作品だ。
人物は前述したように『スパイダーマン:スパイダーバース』で描かれた作風に準じており、不気味の谷にはまることのないアニメーション的な造型でありながら、その表情や動きは十二分にリアルさを感じさせる。そして、肝心の恐竜はというと、そもそも実写版でも実在しない存在を再現しているからということもあるが、実写版に負けない精巧さと迫力をもっている。いや、むしろCGで恐竜を描くならば、実写でよりもアニメーションのほうが向いていると言えるだろう。

本作では従来の『ジュラシック・パーク』シリーズに登場する様々な恐竜たち(ヴェロキラプトルやT-レックス、人気の翼竜プテラノドンなど)が登場するが、そのどれもが驚くほどの精彩を放っていて、実に見応えがある。

ジュベナイルストーリーながら大人でも楽しめる超娯楽作品

本作は全世界に向けたジュベナイルストーリー(少年少女向けの創作物)であり、大人の鑑賞に耐えることを目的に作り込まれた作品ではない(鑑賞年齢を引き上げるような残虐なシーンはほぼない)。基本的に親子で観ることを想定して創られたシリーズと思われ、パニックホラーとしてはかなり甘めな仕上がりだ。
だが、それでも、本作は"大人からみても"よく出来ている。子供が殺されることがない、つまり主人公の少年少女たちが いくら絶望的な状況に陥っても 絶対に諦めないし、絶対に死ぬことはない、そんな“甘い基準”で作られたコンテンツではあるが、ちゃんとスリルもあるし、エキサイティングである。

シーズン1で終了でなく、続編を作る気満々の作品だと思うので、是非とも続編制作に繋がる成功を収めることを期待している。

小川 浩 | hiro ogawa
株式会社リボルバー ファウンダー兼CEO。dino.network発行人。
マレーシア、シンガポール、香港など東南アジアを舞台に起業後、一貫して先進的なインターネットビジネスの開発を手がけ、現在に至る。

ヴィジョナリー として『アップルとグーグル』『Web2.0Book』『仕事で使える!Facebook超入門』『ソーシャルメディアマーケティング』『ソーシャルメディア維新』(オガワカズヒロ共著)など20冊を超える著書あり。