こんにちは、恐竜おねえさんこと生田晴香です。今回は、肉食恐竜『グアンロン』についてご紹介します。とてもかっこ良いネーミングですが、それ以上に見た目もものすごくカッコいいんですよ。このコラムを読んだら、グアンロンのことを好きになり、守りたくなるかもしれません!

連載コラム「生田晴香、恐竜と生きる」。福井恐竜博物館 公認恐竜博士、古生物学会友の会・恐竜倶楽部メンバーでもある自他共に認める恐竜ラバーのタレント生田晴香が、恐竜の素晴らしさを隅から隅まで語り尽くす。壮大な歴史とドラマ、未解明の不思議が交差する魅惑の恐竜ワールドへ、ようこそ。- dino.network編集部

冠恐竜!? グアンロン

グアンロン(学名:Guanlong wacaii 読み方:グアンロン ウカイイ)は、全長約3m、体重70kg〜100kgの小型の獣脚類です。二足歩行で歩く様子は、小型のティラノサウルスのようにも見えますね。

ザ・肉食恐竜と言わんばかりの鋭い歯を持ち、頭にはまるで包丁を刺したかのような立派なトサカがあり、とてもカッコいいです。

名前は、立派なトサカから『かんむりの竜』という意味でつけられました。漢字だと『冠龍』。中国語で“冠の竜”(そのまんまですけど)を意味します。時代は中生代ジュラ紀後期(約1億6000年前)で、中国の新疆ウイグル自治区ジュンガル盆地にて発見されました。

グアンロン・ウカイイ……いくら可愛いからと言って“カワイイ”を変換ミスしたわけではありません(笑)

『グアンロン・ウカイイ』、何度も書きますが『ウカイイ』です。

lesdinos.free.fr

目立つトサカは、実は空洞になっています。
『ディロン』という原始的な羽毛がある恐竜と似ているので、グアンロンももしかしたら羽毛恐竜だったかもしれません。

トサカの空洞は軽量化の為の空洞だったのではないかと考えられますが、生田晴香的には周りの恐竜と差をつけるため、オシャレでモテるためにあったのでは!? とも考えます。

人間でも昔からモヒカンやリーゼントヘアーでトサカを作るのが流行っていましたが、「グアンロンみたいにかっこよくなりたい!」と真似をしていたのかもしれませんね。

というのは冗談で、グアンロンは2005年に発見された恐竜(2009年に中国の古生物学者、執筆家、映画監督である徐星さんにより記載)なので、いわゆるおじさん世代で昔のヤンキーヘアーをしていた人は、若い時にはグアンロンの存在を知らないんですよね。

いまは2021年、グアンロンみたいにセンターに立派なトサカがあるようにしたい!と美容師の人にお願いする人も現れていい頃だと思いますがが…(えっ?いますよね?図鑑を見せながらそうオーダーしてみてもいいんですよ!?)

最古のティラノサウルス類

グアンロンは、実はあの超肉食恐竜ティラノサウルスの祖先の可能性が大きいです!

グアンロンの前あしは後ろあしに比べて60%弱くらいの長さですが、ティラノサウルスの前あしの短さに比べると長いので、グアンロンからの進化は体や頭が大きくなっていき、その分バランスを取るよう前足が小さくなったと考えられますね。

グアンロンもティラノサウルスも、その他の種類の恐竜もどれも美しいことには変わりません。見た目の良さって素晴らしいですね(拍手)

ちなみに、前あしの指の数はグアンロンは3本ですが、ティラノサウルスは2本です。後ろあしは、脛骨が大腿骨よりも長いです。

死の足跡

突然ですが……大きな穴に落ち、誰も助けが来ずに心臓が動かなくなってしまった…という経験は皆さまありますでしょうか。

もしいるのならあなたは既に死んでいますが、死んでいなかったとして、穴に落ちて登りようもなく誰も助けも来ない状態になってしまったらどうなるでしょう。

孤独でいつどんな動物に襲われるかもわからない不安と恐怖、もし敵も一緒に落ちてしまった場合のありとあらゆる可能性。雨風嵐、気温の変化や空腹に耐え、泥などで埋もれて動けなく、トイレもそこでし「このまま化石になれるかな」なんてぼんやり考えながら走馬灯が…などなど、想像するだけで楽しくもあり?辛いですよね。

穴に落ちるのはいつの時代にもあり、もちろん中生代の恐竜がいた時代に恐竜が落ちるなんてこともあります。

そう、グアンロンは穴に落ち、埋もれたまま化石となって発見されたのです。

穴には5体の恐竜がいたのですが、底にはリムサウルス、上層部にはグアンロン成体(ホロタイプ)と亜成体の2体が発見されています。

中生代ジュラ紀は、首としっぽが長い大きい竜脚類という植物食恐竜が繁栄した時代ですが、その重くて大きいマメンチサウルスだと思われる恐竜もグアンロンと同じ時代と場所にいました。

マメンチサウルスの足跡が残っているのですが、その足跡からできた穴にグアンロン含むリムサウルスなどの恐竜が落ちて、そのまま動けなくなってしまった……いわゆる「死の足跡」です。

マメンチサウルスは植物食恐竜なので、穴にハマった生き物を食べるためにわざと罠を仕掛けたわけではなく、自然に悪気もなくただ平和に歩いて自然にできた足跡が大きな穴となったのでしょう。

足跡に落ちて、もがいてもがいて上がれないところを想像したら、手を差し伸べて助け、守ってあげたくなりますよね。

2021年もよろしくお願いします!

では、また次回!

生田晴香 | Haruka Ikuta
恐竜タレント。TV、CMのほかモデルとして活躍中。福井恐竜博物館の公認恐竜博士で恐竜検定所持。恐竜トークショー、クイズ、鳴き声コンテスト審査員。古生物学会友の会&恐竜倶楽部メンバー。恐竜のうた「ダイナソーDANCE」監修。実は元あやまんJAPAN。
YouTubeちゃんねる「恐竜わっしょい!」始めました。

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