世界の犯罪史上、切り裂きジャック並みのインパクトを持つシリアルキラーと言えばテッド・バンディ
ハンサムな見た目とIQ160とも言われる頭脳を持った連続殺人鬼を、イケメン俳優ザック・エフロンが鮮やかに演じている。
見た目が良くてスピーチもうまい、そんな男の底知れぬ悪意の存在を、あなたは見破れるだろうか?

少なくとも30人は殺害したとされる稀代の殺人鬼テッド・バンディ

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1970年代、数十人の女性を凌辱・殺害した(特定された被害者は30人だが、実際にはその倍は彼の毒牙にかかっていると思われる)セオドア・ロバート・バンディ(テッド・バンディ)。シリアルキラーの代名詞となった彼は、殺害した女性の首を切断し、自宅に飾っていたとも言われるほどの異常人だが、同時に優れた容姿と洗練された物腰は高いカリスマ性を持ち、若い女性を殺害した容疑者でありながら多くの女性ファンを勝ち得ていたという。

彼は、1989年1月24日に電気椅子により死刑執行されたが、裁判中は一貫して無罪を主張し、罪を認めて情状酌量を求めるべきとする弁護団を罷免し、自ら弁護人として答弁を行った。しかし、本職顔負けの弁舌も虚しく、上述のように死刑判決を言い渡されることになったのだった。

巧みに悪意を隠せるのが悪魔

美形スターのザック・エフロンが猟奇殺人犯を演じるということで話題になっていた本作だが、コロナ禍のおかげか、公開時にはあまり騒がれることもなかったように思う。

テッド・バンディは優れた容姿を持つ白人男性であり、高い知性を感じされる話ぶりからも、とても殺人を犯すような相手に見えない。イケメン俳優として知られるザック・エフロンが演じているからだけではなく、実際のバンディもカリスマ性のある魅力的な男だったらしい。
ただ、見た目が良いからといって、その身内に邪悪な精神が宿っていないとは言えない。むしろ、悪魔の方が外見的にはチャーミングでセクシーである可能性が高いと、理屈では思っていても、実際にそうした人物に相対すると簡単に騙されてしまう。彼のような異常者は感染症を引き起こすウイルス以上に危険であり、フィクションではなく、我々の良き隣人のような顔をしてそばに佇んでいる可能性があるということをよく知っておくべきだ。

その意味で、テッド・バンディその人、もしくは彼のような異常者が我々の社会には常に存在し、何食わぬ顔で大衆に溶け込んでいるかもしれないことを知っておくことは大切だと思う。

テッド・バンディの悪業は酷く惨たらしいものだが、本作においては、それほど残虐なシーンはない。ホラー的な要素はほとんどないから、安心して観劇して、時として人類が生み出すわけのわからない悪意の塊の存在を検証してみることをお勧めする。

小川 浩 | hiro ogawa
株式会社リボルバー ファウンダー兼CEO。
マレーシア、シンガポール、香港など東南アジアを舞台に起業後、一貫して先進的なインターネットビジネスの開発を手がけ、現在に至る。

ヴィジョナリー として『アップルとグーグル』『Web2.0Book』『仕事で使える!Facebook超入門』『ソーシャルメディアマーケティング』『ソーシャルメディア維新』(オガワカズヒロ共著)など20冊を超える著書あり。