それぞれの死地でお互いを想う男女が行き着く場所とは??
シェークスピアの傑作戯曲「ロミオとジュリエット」では、互いに仇と任ずる2つの名家に生まれた男女が運命的な邂逅を果たし、やがて哀しい死を迎えるが、出会いから自死までの期間はわずか1週間でしかない。火花が刹那的な光を放つかのような切なくも激しい恋を描いているわけだが、本作におけるジェームズとダニーも、その出会いから深い関係の男と女になるまでにわずか5日間しか必要としなかった。
ジェームズとダニーは2人とも、わずかな誤算で惨死を覚悟しなければならない過酷なミッションに赴くのだが、そこで味わう死に瀕する絶望に抗えるのは、5日間という短い時間を過ごした相手との再会を絶望する想いがあるゆえである。
なぜそこまで互いを深く愛し求めるようになったのかはわからないが、時間をかけることで醸成していくような愛ではなく、一目惚れに近いと言えるほど 短期間で魂を絡め合うような惹かれ方を2人は体験する。
死を覚悟する者たちだからそんな奇跡的な愛の邂逅を果たせたのか、それとも そんな愛を求め捧げることができる気質の持ち主だったから 目的のためにすべてを注げる献身的な仕事に打ち込めたのかはわからない。
本作は、テロ対策に命を賭ける男と生命の起源の解明に全てを捧げる女が起こす、一瞬のスパークであり、現代のロミオとジュリエットのお話だ。その奇跡的な化学反応を信じられるかどうかによって、自分の人間性をはかられるような、そんな気がする作品である。
小川 浩 | hiro ogawa
株式会社リボルバー ファウンダー兼CEO。
マレーシア、シンガポール、香港など東南アジアを舞台に起業後、一貫して先進的なインターネットビジネスの開発を手がけ、現在に至る。
ヴィジョナリー として『アップルとグーグル』『Web2.0Book』『仕事で使える!Facebook超入門』『ソーシャルメディアマーケティング』『ソーシャルメディア維新』(オガワカズヒロ共著)など20冊を超える著書あり。