動物と会話ができる特殊能力を持つ医者ジョン・ドリトルの活躍を描いた、名作児童文学“ドリトル先生”シリーズ(ヒュー・ロフティング原作)の実写映画化。1998年公開のエディ・マーフィー版では米国サンフランシスコを舞台としていたが、今回のロバート・ダウニー・Jr版では原作通りのヴィクトリア朝期のイギリスに変更されている。

ストーリー

動物と話せる特殊能力を持つ獣医ドリトル先生は、ヴィクトリア女王の寵愛を受けて特別な動物保護区を与えられていたが、最愛の妻である冒険家のリリーの客死をきっかけにその中に閉じこもり、世捨て人のような生活を送っていた。

しかし、その女王が突然の病で危篤状態にあると知ったドリトル先生は、女王が何者かに毒を盛られていることを見抜き、彼女を救うために万能薬である“エデンの樹の果実”を採取する旅に出ることを決意する。

しかし、それは彼の妻リリーが探し求めていたモノであり、リリーが命を落とすことになった危険な冒険に赴くことであった。

『ドクター・ドリトル』本予告<6.19(金)公開!>

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主人公のドリトル先生役には“アイアンマン”ことトニー・スターク役で知られるロバート・ダウニー・Jr.、彼と共に冒険に赴く動物たちの吹替(声優)陣に、スパイダーマン役でブレイクしたトム・ホランドや、マリオン・コティヤール、ラミ・マレックなどの人気俳優が配されている。
また、ドリトルの妻リリーの父親であり海賊王ラルーソとして、アントニオ・バンデラスがあてがわれている。

児童文学の実写化として、子供向けの作品に振り切った作り

本作を評価するならば、100%子供向けに仕上げた作品である、ということだろう。
つまり、大人が鑑賞するには、かなり雑で粗い作りだということだ。上映時間は101分と、それほど長くはないので、そこは良心的だと思うが、ドリトルを演じるロバート・ダウニー・Jr.にたいていの人が期待するであろう、いつもの諧謔的なガキオトナぶりはほぼない(良くも悪くも彼に“トニー・スターク”の皮肉まみれの上機嫌ぶりを投影してしまうという意味だ)。

妻を亡くした哀しみに暮れるあまり人との付き合いを断ち、動物に囲まれて暮らす変人ぶりは愉快だが、そこに複雑な深みはなく、やはり子供向けでしかない印象なのである。

逆に言えば、大人でも楽しめる作品にするという意識を捨て、子供向けと大人向けを両立させるという野心を諦めて子供(だけ)が喜べばそれでいい!と腹を決めた作品であると言えるのかもしれない。
子供向けの作品を、大人の目線で観てとやかく批評することは大人気ないの一言、のような気がする。
その意味で言えば、本作はファミリー映画として正しい選択をした作品として、評価するべきなのかもしれない、と思う。

小川 浩 | hiro ogawa
株式会社リボルバー ファウンダー兼CEO。
マレーシア、シンガポール、香港など東南アジアを舞台に起業後、一貫して先進的なインターネットビジネスの開発を手がけ、現在に至る。

ヴィジョナリー として『アップルとグーグル』『Web2.0Book』『仕事で使える!Facebook超入門』『ソーシャルメディアマーケティング』『ソーシャルメディア維新』(オガワカズヒロ共著)など20冊を超える著書あり。