007シリーズで世界的なスターの仲間入りをしたオルガ・キュリレンコ主演のアクション映画。証人を消そうとする暗黒街のボス エゼキエル役にゲイリー・オールドマンが配されている。
シンプルなストーリー
闇の組織を牛耳り、暗黒街の最大の権力者として君臨するエゼキエル。しかし彼は今や殺人の罪で投獄されそうになっていた。
彼が殺人を犯す瞬間を目撃した証人ニックを法廷に立たせて証言させようとするFBIだが、当然エゼキエル側もニックを暗殺して、証言台に立たせまいとする計画を進めていた。
ニックと裁判所をオンラインで繋ぐ通信機器の配送を委託されたのは、特殊なブツの配達を請負う特別な配送業者。その中でもとびきり腕利きの女配達人が機器を運び込むが、なんとエゼキエルはFBIの捜査官の中にも内通者を抱えており、通信機器に仕込まれた毒ガスによってニックの警護チームは全滅してしまう。
風前の灯となったニックの命を救ったのは女配達人だった。彼女は実は元米軍特殊部隊の脱走兵。身分を隠すために裏社会の配達人として働いていたのだ。
ニックと、図らずも彼を守ることになった配達人は、エゼキエルの命を受けた刺客たちの襲撃を受けるが・・・
口封じのために暗殺の対象となる証人と、それを助けることになる元軍人の主人公、という、よくあるストーリーライン、かつ闘いの舞台となるのは、ビルの駐車場に限定される、低予算を逆手にとった“ダイ・ハード”的なアイデアは、世間的には酷評されているようだが、僕にはなかなか面白く楽しめた作品だ。
B級かもしれないが、悪くない
本作はゲイリー・オールドマンという名優を使い、しかもわりと長めの尺で彼を登場させている点で、製作側がそこそこの予算と手間を投入して作った作品であるように思う。
007シリーズでボンドガールとして高い知名度を得たものの、それを活かしきれているわけでもないオルガ・キュリレンコを闘うヒロインに起用しているが、もしかすると シリーズ化を狙っていたのかもしれない。
前述したように、本作は評論家筋の評価はかなり低いらしいので、その夢は潰えた、と思われるが、アクションは悪くないし、オルガ・キュリレンコもあまり老け込まない美貌としなやかな四肢(とそれを強調する衣装)で、生き生きとこの名のない主人公を演じているので、決して悪くない出来だと思う。
(あとで知ったのだが、オルガ・キュリレンコは本作のスタントのほとんどを、自身でこなしたとのことだ)
ちなみに、ちょっと惜しいなと思わされたのが、せっかくわりと長い時間 オートバイ(BMWの提供だそうだ)を使うシーンがあるのに、とりたてて魅せるスタントがなく、ただ走っているだけという感じで終始してしまっていることだ。せっかくなら「ミッション・インポッシブル」なみとは言わないまでも、観客を唸らせる激しいアクションを取り入れて欲しかったと思わざるを得ない。まあ、オルガ自身が乗っていたとしたら、精一杯のスタントだったのかもしれないが。
小川 浩 | hiro ogawa
株式会社リボルバー ファウンダー兼CEO。
マレーシア、シンガポール、香港など東南アジアを舞台に起業後、一貫して先進的なインターネットビジネスの開発を手がけ、現在に至る。
ヴィジョナリー として『アップルとグーグル』『Web2.0Book』『仕事で使える!Facebook超入門』『ソーシャルメディアマーケティング』『ソーシャルメディア維新』(オガワカズヒロ共著)など20冊を超える著書あり。