安い後発薬の流通を不正に妨げる大手薬品メーカーによって、癌を患った妻を救えなかった男レイ・クーパーの復讐劇。「アクアマン」で大ブレイクしたジェイソン・モモアがレイを演じ、その娘レイチェルを「トランスフォーマー/最後の騎士王」や『ボーダーライン: ソルジャーズ・デイ」での活躍が記憶に新しい美少女イザベラ・メルセードが演じている。

『スイートガール』予告編 - Netflix

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粗い展開を気にしないこと

本作は、ジェイソン・モモアの巨体(190cm over)と、イザベラ・メルセードの小柄な体躯(150cm台前半か?)の対比が目立つが、アクション映画としては2人の頑張りに及第点を出せる出来になっている。ただし、脚本は非常に粗く拙いので、細部の作りが気になる人にはとても向かない作品である。

サマリーに書いたように、ストーリーはシンプルだ。
癌を患う妻の治療費の支払いに追われるレイは、安くて高い効能が期待される治療費の登場に期待をかけるも、大手薬品メーカーの横槍で希望を潰され、敢えなく妻は他界してしまう。

そのことで大手薬品メーカーを恨むレイだったが、ビジネス上のことであればそれは仕方ないと諦めざるを得ない。しかし、そのやり口に大きな不正があったことをあるきっかけで知り、復讐の想いを再燃させる、というもの。

俳優陣の存在感に負っているのに、その事実を良しとしない?製作陣のプライド??

「アクアマン」でジェイソン・モモアを知った多くの日本人にとっては、ジェイソン=ものすごい肉体美、という図式が頭の中に出来上がっているかもしれない。
しかし本作では、ジェイソンが裸になるシーンは皆無で(服を着ていても体格の良さはもちろんすぐわかるが)、むやみに肉体美をアピールさせることはない。長髪も豊かな髭も残したままの、ビジュアル的には「アクアマン」のそれのままなので、逆になぜ?と思わないでもないが、本作的にはあくまでオリジナルのストーリーで勝負をしたい、という気分だったのかもしれない。ただ、それにしては、前述のとおり、勢いはあっても緻密な物語とはとても言えない本作の出来は、正直 あまり高得点を与えられないものだと言っておこう。

ジェイソン・モモアは愛する妻を 虚しく死なせてしまうことの哀しさや無力感を表現しているし、娘のレイチェルを演じるイザベラ・メルセードは ハッとするような美貌に頼らず、親を喪っても明るく生きる少女のひたむきさをうまく引き出している。(イザベラに注文を入れるとしたら、あと10cm背が高かったら、世界的な人気を得たろうにと思うところだ)

しかるに、そんな俳優たちの頑張りに応えきれていない脚本の稚拙さはかなり問題だ。これがNetflixで(つまり月額払いのサブスクで)の視聴でなく、劇場で鑑賞していたとすれば、少し気分を害したかもしれない。

ただ、冒頭で述べたように、アクションそのものは悪くない。リアルでありながら派手さは保ち、殺気も十分ある。
だから本作は、細かい展開を追うのはやめて、激しいアクションと、イザベラの可憐な美少女ぶりを楽しむことに専念するべき一本であり、タイトルであるSWEET GIRL が意味するところを素直に受け止めればそれでいい、そう思うのである。

小川 浩 | hiro ogawa
株式会社リボルバー ファウンダー兼CEO。
マレーシア、シンガポール、香港など東南アジアを舞台に起業後、一貫して先進的なインターネットビジネスの開発を手がけ、現在に至る。

ヴィジョナリー として『アップルとグーグル』『Web2.0Book』『仕事で使える!Facebook超入門』『ソーシャルメディアマーケティング』『ソーシャルメディア維新』(オガワカズヒロ共著)など20冊を超える著書あり。