年間100本以上の映画を鑑賞する筆者が独自視点で今からでも・今だからこそ観るべき または観なくてもいい?映画作品を紹介。
Netflix世界No.1の座に着いた話題のドラマシリーズ『イカゲーム』。人生のどん底の悲哀を味わう貧乏人たちが集まって、命を賭けたゲームに参加するが?

世界に認められた優秀さ

金がないということは本当につらい。そんなつらさの極致で喘ぐ、人生行き詰まった貧乏人たちを集めて、命懸けのゲームに参加させる。そしてそのあさましいゲームに勝ち残ろうと必死に抗う者たちを見ながら酒を飲み、勝者を当てる遊びに興じる金持ちたち。

そんな世の中の縮図のような世界を描いたのが本作、『イカゲーム』だ。参加者たちは、負ければ命を落とす決死の覚悟でさまざまなゲームもしくは遊びを行うことを強いられる。タイトルのイカゲームとは、そうした
“子供の遊び”の一つだ。

どこかで聞いたような設定やキャラクターなど、日本作品のパクリではないか?と騒ぐ向きもあるらしいが、その品質や出来栄えが世界で認められてしまえば もはやオリジナルがどこにあろうが関係なし。

K-コンテンツはいまやハリウッドに迫る一大産業となったと言っても過言ではなかろう。

世界中の観客を魅了した秘密は?

ところで、実際のその内容はどうかというと、正直いって、Netflix史上最大のヒット というほどのものか?という感想。
面白くないわけではないし、シーズンを通して一度も“途中でやめよう”という気にならなかった本作は、なかなかの出来であることは確かだ。
(途中でやめたくなる、もしくは本当に見るのをやめた作品は結構あるし、シーズン1は見たが続編は見ない、ということもままある)

しかし、本作においては、たとえば主人公のキャラに格別の魅力があるわけではないし(似ている、とされるカイジのような博才があるわけでもない)毎回のゲームに勝ち残るさまをみても、ホッとはしてもスカッとすることはない。

それでも世界中の人がハマったわけだから、きっと僕にはわからない、多くの人を中毒にする特別な魅力が本作にはあるのだろう。敢えて言えば、僕にしても結局最後まで見通せたわけだし、何度もいうが観て損することは絶対にないだろう。

本作が短期間で世界中のファンを勝ち得たその理由を、もしかしたらあなたなら見出せるかもしれない。それは、本作中にいくつか用意されている謎を解くことよりも、もっと重要で面白いことかもしれないのである。

小川 浩 | hiro ogawa
株式会社リボルバー ファウンダー兼CEO。dino.network発行人。
マレーシア、シンガポール、香港など東南アジアを舞台に起業後、一貫して先進的なインターネットビジネスの開発を手がけ、現在に至る。

ヴィジョナリー として『アップルとグーグル』『Web2.0Book』『仕事で使える!Facebook超入門』『ソーシャルメディアマーケティング』『ソーシャルメディア維新』(オガワカズヒロ共著)など20冊を超える著書あり。