年間100本以上の映画を鑑賞する筆者が独自視点で今からでも・今だからこそ観るべき または観なくてもいい?映画作品を紹介。
チェリストを目指す優等生の少女マリーと、彼女が抱える秘密と苦悩を知り彼女を支えることを決意する少年ヴィクトールの、淡く可愛らしい恋を描いたフランス映画。

ウソを受け入れない?嘘を受け入れる?

女はウソをつく、とヴィクトールは言う。男は、とか、女は、みたいな決めつけはジェンダーハラスメントだ!と叫び攻撃されそうな、切ない時代になりつつあるが、そんな中でとにかく彼はそう思い、だから女を信じない。

実際、マリーは彼に自分の目のことを打ち明けようとはせず、二人の仲が接近してからもなかなかその秘密を明かそうとはしなかった。むしろ、その秘密を隠す手段としてヴィクトールに近づいたのだと嘘をつくのである。

ヴィクトールはマリーのつらい気持ちを簡単には理解できないし、マリーが自分に対して抱く恋心を信じず、マリーの嘘を真実として受け止める。“女はウソをつく“からであり、落ちこぼれとして自分に自信を持てないからでもあった。

かのルパン3世は「男は騙されるために生きてんだ」と嘯き、自分を騙す女(峰不二子)を愛し嘘を許すのだが、ヴィクトールがこの境地に達するにはまだまだ幼すぎる、というわけだ。

だが、それでもマリーへの恋慕の気持ちを断ちがたいヴィクトールは、彼女の秘密を守り通す手伝いをすることを決意するようになる。そしてマリーもまた、ヴィクトールにその本心を打ち明け恋は成就、2人はマリーの音楽院受験の実現に向けて努力し始めるのだった。