1969年、人類初の月面着陸を果たしたアポロ11号。月面に降り立った宇宙飛行士達の手首に巻かれていたのはオメガのスピードマスター。ムーンウォッチの愛称で記憶に残ることになったこのスピードマスターが、オメガとスウォッチのコラボレーションにより新たにリファインされ、お手頃な値段で発売中です。

腕時計市場を救ったスウォッチグループ

腕時計は、そのムーブメント(車におけるエンジンのようなものですね)の種別によってざっくり分類できます。つまり電池で動くクォーツ式(電子時計とか太陽光発電の時計などもここに含みます)とゼンマイで動く機械式。機械式には、手巻き、自動巻きに分けられます。
(高性能ムーブメントの中にはキャリバーと呼ばれるブランドもあります。ちなみにゼンマイを巻き切って時計が止まるまでの時間のことをパワーリザーブと言いますが、ムーブメントの性能によって24時間とか72時間など、まちまちです。当たり前ですがクォーツ式、つまり電池による駆動であればほっておいても一年くらいは動いてるでしょうから、比較すべきポイントではないですね)

時間の精度で言えばクォーツ式に軍配が上がりますが(機械式だと1日に数秒単位、クォーツ式なら1ヶ月、へたしたら1年で数秒単位 の誤差ですからねえ)、作るのが手間なうえに、高性能なムーブメントを作れる職人や工房は多くない(つまり同じ機械式でも、古臭い仕組みである 手巻き式の方が 自動巻きのムーブメントより 作るのが難しいし、そもそものパーツ数が多いので高くつく→高い時計になる)機械式時計は、まあ今どきじゃないわけです。高級感なかったらとてもじゃないが買わないですね。

私の個人的な感覚で言えば(あくまで私の見立てに過ぎないし、ブランドによって異なりますよ!)、ざっくり20万円まではクォーツ式、それ以上だと機械式で自動巻き中心、高価格になればなるほど、手間をかけても見合うので手巻きが増えてくるイメージ。なにせ腕時計は自動車並みに高くなりますからね(高いものは数千万円します!)。

また、クォーツ式であれば部品点数も少なく、長針短針を使うアナログ表示だけでなく電卓のようなデジタル表示など好きなデザインを選べますが もともとは正確さの代償としてトルクというか重い部品を動かすパワーに欠けるとしてクロノグラフのように動かさなくてはならないパーツが多い時計には向かないとされていました(今はそんなことないでしょうが)。クォーツ式のムーブメントは入手しやすいため多くの時計メーカーが採用し、時計市場を席巻しましたが、ケータイやスマホなどでも同じように時間を知れて、電気で動いていることから時間を知るために腕時計をもつ意味なくない?という気分が広がり、腕時計市場が崩壊しかけてしまいました。

それを救ったのがスウォッチグループです。スウォッチは、クォーツやエコなバイオセラミックなどを使いつつ、お洒落な時計をシーズンごとに発表するという手法を用いて日本勢中心のクォーツ式時計からシェアを奪い返しました。一生モノみたいな感覚の腕時計を、季節ごとに着替えられるファッションプロダクトとして定義し直したのです。

今では、今回登場のオメガやロンジンなど、数々の高級ブランドも傘下に収め、グローバル企業としての地位を確立しています。

ちなみにクォーツ式を腕時計に初めて採用したのはセイコーだそうです。