オメガ x スウォッチのコラボウォッチ
ファッションに関わらず、世間一般のトレンドは女性が引っ張っている気がしますが、やっぱり腕時計の主力は男性向け。高級ウォッチ、ラグジュアリーウォッチの市場は男性用が主体であることはまあ間違い無いですかね。(あ、もちろんメンズだけでなく各ブランドともにレディースウォッチの種類も豊富ですよ!)
正確さや機械の精度など機能面だけで語られてきたうちは、腕時計の一大生産地であるスイス(ドイツ的職人芸だけでなく、超綺麗な水→もちろん飲み水としてではなく工業用水としてですよ が豊富であるためですかね)一辺倒だったと言えますが(実はスウォッチグループもスイス発です)、ファッション要素が強まると、元々時計を作っていたこともあり、イタリア(パネライが代表格かな)やフランスなども台頭してきましたね。
腕時計に高級感あるデザインが必要になると、いわゆるハイブランドである、イタリアのブルガリ(外装だけでなくムーブメントも含めた一貫性ある開発ブランドはマニファクチュールと呼ばれてます。ブルガリもその一つです)やグッチ、フランスのシャネルやカルティエなどが素晴らしくリュクスな時計を生み出してくれています。
ただ、いわゆるラグジュアリーウォッチは機能面でもファッション面でも申し分なく優れたものなんでしょうが、いかんせんお高いんですな。まあ、ラグジュアリーと名乗る以上格安というわけにはそりゃいかないのはわかりますが、おいそれと買い求めるには数十万円から数百万円は当たり前ですからねぇ、クルマじゃねぇーんだ!と怒ったところで相手はほんの小さな筐体にとてつもなく精密な技術を組み込んだ、いわば小宇宙みたいな存在ですからねぇ。
前述のスピードマスターみたいに、世界で唯一無二のストーリーを持つ時計はそりゃお高いのは当然なんですわ。
じゃあ、お手頃価格で入手できるようにしようじゃないか、と乗り出したのがスウォッチ様。傘下のブランドであるとはいえ、高級時計の代名詞の一つ、オメガのこれまた代表的な逸品スピードマスターを取り上げて、コラボレーションした“11種類の特製コラボウォッチ「バイオセラミック ムーンスウォッチ」”を作っちゃったんですな。2022年6月時点の販売価格は一律 税込 ¥33,550)
11種類というのは、ムーンウォッチにリスペクトを捧げた月(Mission to the Moon)に加え、太陽(Mission to Sun)を含む太陽系の惑星(水星 Mission to Mercury 金星 Mission to Venus 地球 Mission on Earth 火星 Mission to Mars 木星 Mission to Jupiter 土星 Mission to Saturn 天王星 Mission to Uranus 海王星 Mission to Neptune)+準惑星(冥王星 Missin to Pluto) をオマージュして、それぞれのイメージカラーを筐体のバイオセラミックプラスチックに加えたもの。
さすがに本家のスピードマスターと全ての素材や作りを備えることはできないものの(例えば本家は機械式だけど、コラボ版はクォーツ式。ただ、電池交換蓋がそれぞれの星をイメージしていてかわいいです)、一番人気とされる Mission to the Moon などは落ち着いた黒ペースで本家と見紛う出来。宇宙服の袖口の上から嵌められるようにマジックテープで留めるいわゆるベルクロストラップが全モデル共通で採用されていますが、このストラップを高そうなストラップに替えたりしたら、時計に詳しくない人ならすごい高級時計(もしかしたらオメガ?みたい)に誤解してくれそう?です。
このコラボウォッチ、先着順とか数量限定などの特別販売ではなく、汎用モデルとしての販売で旬が過ぎれば 誰でも入手できるようになるとのことですが、通常のオメガブランドなら数十万数百万するスピードマスターが、3万円台で手に入るとしたら時計マニアが黙っているはずもなく、一斉に販売店に殺到し、あっという間に店頭在庫なしの状態になってしまったんです。
いわゆる転売ヤーもこの現象を見過ごすはずなく、市場ではこの時計、モノによっては10万円以上の高値で取引されるようになってしまいました。
そんな折、このワタクシメ、通常価格よりだいぶ高いことは知りつつ、その転売屋さんの企みにまんまと乗ってしまったんです。
赤い差し色の時計が欲しかったこともあるんですが、火星モデルを倍以上の価格で買ってしまいました(それでも欲しかったんです、ミーハーなんです泣)。それがコレ。
黒や茶色ベースと比べるとかなりチャチい。
でもそれがいいんです。オモチャぽさがかえってキッチュでイイと思ってたので。
定価3万円台のクォーツをしてて、本物のスピードマスターと間違われる方がなんだか恥ずいてモノでしょう?初めて会う人の前ではちょっとつけられないかな、本当は本物買いたかったんだろうな、と思われてこの時計に触れてくれなかったらイヤだし。いやいや、ちゃんとした時計も持ってますよと言い訳するのイヤだしね。
ちゃんとした腕時計も持ってるし、その価値も知ってるんだけど敢えてつけてるんですよ、と分かってくれる人に「ようやく手に入れましたよ、可愛いでしょ」と見せびらかしたい。この時計の持つストーリーをこんこんと話し聞かせたい。そんな気分の時計なんですよ、このバイオセラミック ムーンスウォッチは。
楠雅彦 | Masahiko Kusunoki
車と女性と映画が好きなフリーランサー。
Machu Picchu(マチュピチュ)に行くのが最近の夢。住みたいぜ!