女は幾つになっても夢を見る。白馬に乗った王子様が私を迎えに来るって。
あれ、馬は馬でも鉄の馬??
オートバイ2022年10月号(第88巻 第10号)「Don't Worry So.」(東本昌平先生作)より
©東本昌平先生・モーターマガジン社 / デジタル編集:楠雅彦@dino.network編集部

きっとそうだわ、あれは絶対王子様!

大学時代の旧友ふたりと久しぶりに集まった私は、最近ものすご〜く気になっている愛しの君?について力説していた。
そう、彼こそ私の、白馬の王子様なのだと。

だって、山道で転けた私を助けてくれたり、クルマの調子が悪くて困っていたときにもサクッと助けてくれたり、スーパーヒーローみたいなタイミングで私の前に現れるのよ!あれは絶対王子様。

友達からは、「歳いくつだよヨ」と呆れられるけどさ。

絶対ぜったい王子様なの!

友達と別れた私は、愛車にまたがって帰路に着いた。最近なんか嫌な振動がするけど、そんなに気にするほどじゃない。大通りに出ると、私は右手に力を込めてスロットルを軽く開けた。

そのとき、何かが噛んだような音がして後輪がロックされた!私は必死にバイクの姿勢を立て直そうとしたが、バイクはいうことをきかない。私はモノの見事に転倒し、バイクから放り投げ出されてしまった。

あちゃー

思いがけない事故に私は動転したが、もしかしてまたあの王子様が助けに来てくれるかも?という思いがよぎり、心拍数が一気に上がった。転んだ恥ずかしさや路面に転げた痛みよりも、に会えるかもしれないという期待が上回ったのだ。

私は起き上がりながら、ヘルメット越しに周囲を見渡した。

あっ

そのとき後方からやってくる一台のバイクを発見した私は、思わず小さく叫んでしまった。

(来た‼︎ 彼だわ‼︎)

さて、彼は本当に王子様なのか?

彼女の願いは叶うのか?

あなたにこんな偶然?幸運?が現れたら、どうしますか?

楠雅彦 | Masahiko Kusunoki

車と女性と映画が好きなフリーランサー。

Machu Picchu(マチュピチュ)に行くのが最近の夢。蚊に刺されまくっても行きたい。