こんにちは、恐竜おねえさんこと生田晴香です。ビッグニュースです! 日本で新たに新属新種の恐竜が発表されました。その名も「ティラノミムス・フクイエンシス」。その恐竜は一体どんな恐竜なのか、見た目はティラノサウルスに似てるのか? 見ていきましょう!

連載コラム「生田晴香、恐竜と生きる」。福井恐竜博物館 公認恐竜博士、古生物学会友の会・恐竜倶楽部メンバーでもある自他共に認める恐竜ラバーのタレント生田晴香が、恐竜の素晴らしさを隅から隅まで語り尽くす。壮大な歴史とドラマ、未解明の不思議が交差する魅惑の恐竜ワールドへ、ようこそ。- dino.network編集部

福井恐竜

Tyrannomimus fukuiensis(ティラノミムス・フクイエンシス)

学名の種小名に「フクイ」と入っているのと、ニュースなどいろんなところで話題になっていたのですでにご存知の方も多くいるのではないでしょうか。

なんと! 福井からまた新たに新しい恐竜が発表されました!

国際的学術誌 「Scientific Reports」に論文が受理され、2023年9月7日に公開となったのです。
おめでとうございます!

これまでこれらの恐竜が発表されているので、今回発表されたティラノミムス・フクイエンシス (2023年)で6つ目の福井恐竜となります。

  • フクイラプトル・キタダニエンシス(2000年)
  • フクイサウルス・テトリエンシス(2003年)
  • フクイティタン・ニッポネンシス(2010年)
  • コシサウルス・カツヤマ(2015年)
  • フクイベナートル・パラドクサス(2016年)

いらすとやさんのフクイベナートル

ちなみに日本では他にも…

  • アルバロフォサウルス・ヤマグチオロウム(2009年)
  • タンバティタニス・アミキティアエ(2014年)
  • ヤマトサウルス・イザナギイ(2021年)
  • カムイサウルス・ジャポニクス(2019年)
  • パラリテリジノサウルス・ジャポニクス(2022年)

という恐竜がいるので、ティラノミムスは日本では11番目の恐竜となります。

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ティラノミムスは、中生代ジュラ紀前期から白亜紀前期にかけての時代に形成された海成~陸成の地層である、「手取層群」から発見されました。

手取層群は、福井県東部から石川県南東部、岐阜県北部、富山県南(新潟もほんの少し)へかけての地域に分かれて分布しているのですが、今回は北谷層という中生代白亜紀前期、約1億2000万年前の地層があるところからの発見ですね。

さすが恐竜王国「福井」です(拍手)。

どんな恐竜か

他のオルニトミモサウルス類にはみられない特徴

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ティラノミムス・フクイエンシスの学名の意味は、「福井産の暴君もどき」です。

属名が、ティラノミムス。種小名がフクイエンシス。

属名のティラノは暴君、ミムスがもどき。ティラノサウルス上科によく似た腸骨を持つことに由来しています。種小名のフクイは、発見された場所である福井県と、エンシスは場所を意味します。

福井の恐竜は場所を学名に入れることが多いので「エンシス」と付く恐竜がチラホラいますね。
(↑戻って確認してみましょう!)

ティラノと付いていることから、ティラノサウルスみたいに頭が大きくて暴れてそうな肉食恐竜だと思った方も多いのではないでしょうか。

実はティラノサウルスと同じ獣脚類ではあるものの、その先の分類が違います。獣脚類、オルニトミモサウルス類、デイノケイルス科です。

オルニトミモサウルス類は基本的にスラっとしてて足が速く、ダチョウ型恐竜と呼ばれてたりしますね(デイノケイルスみたいにがっしりとしてて走るのが遅い恐竜もいますが)。

「ジュラシック・パーク」シリーズに出てくるガリミムスをイメージしていただけたらと思いますが、見た目あんな感じです。

ティラノミムスのサイズは全長約2メートルと小型ですが、もっと大きい可能性もあるそうです。

この研究で新たに発覚したこと

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腸骨の垂直稜は、これまでティラノサウルス上科の特徴と考えられてきましたが、一部のオルニトミモサウルス類にも見られる特徴であることがわかったのです。

ティラノミムスの腸骨は、ポルトガルのジュラ紀の地層(〜約1億5250万年前)から発見された肉食恐竜「アヴィアティラニス」に類似しています。

アヴィアティラニスは、主に腸骨の特徴からティラノサウルス上科とされていましたが、ティラノミムスとの比較により、オルニトミモサウルス類である可能性が示されたのです。

オルニトミモサウルス類の最古記録は前期白亜紀(約1億4500万年前〜)とされてきたため、上記の発見はアヴィアティラニスが世界最古のオルニトミモサウルス類であるとともに、同グループの出現時期がこれまで考えられていたよりも、なんと! 700万年以上もさかのぼることを意味するのです。

この研究から他の事までわかるなんて、素晴らしいですね!

論文
「日本の前期白亜紀の地層から産出した新たな獣脚類恐竜がオルニトミモサウルス類の初期進化の知見に重要な示唆を与える」
https://www.nature.com/articles/s41598-023-40804-3

ティラノミムス、、、生で見たいですよね? 化石は福井県立恐竜博物館新館3階で2024年1月9日まで展示されるそうなので、ぜひ見にいきましょう。恐竜博物館自体も2023年夏にリニューアルされているので、さらに楽しめる事間違いなし!

ティラノミムスが話題になったことにより、ティラノサウルスを「ティラノ」「ティラ」と略して呼んでいた人は同じように呼ぶと「どのティラノ?」となりますね…略しにくくなりましたが、どうしても略したい人は「ティーレックス」を使いましょう。

ではまた次回。

生田晴香 | Haruka Ikuta
恐竜タレント。TV、CMのほかモデルとして活躍中。福井恐竜博物館の公認恐竜博士で恐竜検定所持。恐竜トークショー、クイズ、鳴き声コンテスト審査員。古生物学会友の会&恐竜倶楽部メンバー。恐竜のうた「ダイナソーDANCE」監修。実は元あやまんJAPAN。
YouTubeちゃんねる「恐竜わっしょい!」始めました。

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